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株式会社マネジメントオフィスいまむら

待つだけはNG!ISOの「機会」は自ら動いて成果を出す(3)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISOマネジメントシステムでもあまり語られることのない「機会」についてお話したいと思います。3回目の今回は、機会を活かすための標準的なプロセスと、機会の見つけ方のヒントを紹介します。

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前回までの記事はこちら

待つだけはNG!ISOの「機会」は自ら動いて成果を出す(1)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISOマネジメントシステムでもあまり語られることのない「機会」についてお話したいと思います。機会とはそもそも何なのか、そして機会をどう ...

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待つだけはNG!ISOの「機会」は自ら動いて成果を出す(2)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISOマネジメントシステムでもあまり語られることのない「機会」についてお話したいと思います。2回目の今回は、機会を活かす事例を使って、 ...

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機会活用プロセス

この事例を踏まえて、機会をどう取り扱えばいいかというお手本となる流れを解説します。

まず「機会特定の準備」です。ここでは「自社の課題は何か」「顧客は何を求めているか」を明確にします。これは箇条4.1「組織の状況の理解」や箇条4.2の「利害関係者のニーズの理解」にあたるのですが、幅広く自社を取り巻く状況を見て「機会のタネ」を見つける、といのがこの段階ですね。どうやって改善のタネを見つけるのかは、後ほど詳しく解説します。

続いては「機会の特定と仮説設定」です。準備段階で得た情報から、「もし〇〇をすれば、□□という良い結果が得られるかもしれない」という具体的な機会を特定し、仮説を立てます。ここからが箇条6.1「リスク及び機会への取組み」で求められる計画プロセスのスタートです。

3つ目のステップは「検証と試行」です。立てた仮説が本当に有効か、大きな投資をする前に小さく試します。

そして「計画化と責任設定」です。検証の結果、効果が見込めたら、本格導入のための公式な計画を立てます。ここでは箇条6.1の要求事項に基づいて「誰が、いつまでに、何をするのか」を明確にします。

そして「プロセスへの組込み」では、計画を、作業標準書やチェックリストに反映させ、日常の業務の中で実行します。これは、箇条8.1「運用の計画及び管理」に該当しますね。機会を実現するための新しいやり方を、日常業務に定着させるというステップですね。

現場での実施後は「効果検証」のステップとして、必ず結果を監視・測定します。これは、箇条9.1で求められるパフォーマンス評価そのものですね。事実やデータに基づいて、効果が得られたかどうかを客観的に判断します。

最後のステップは「継続的改善」です。一連の活動全体を振り返り、次の改善へとつなげます。箇条10「改善」に該当する活動ですね。

こうした一連の流れをぼくは「機会活用プロセス」と呼んでいますが、このような流れの中で機会を見つけ、取り組んでいくことを規格は求めています。反対にいうと、機会を行き当たりばったりで見つけて、たまたま何かがよくなった、ということは、規格が意図していることではありませんね。

「機会のネタ」はどうやって見つけるか

では、先程の最初のステップで説明した「機会のネタ」は、どこでどうやって見つければいいのでしょうか。ヒントとなる4つの視点をご紹介します。

最初の点は「お客様の声」です。クレームがあることは問題ですが、その裏には「機会」が隠れています。「公差を外れていた」というクレームを受けることは不名誉なことではありますが、ここで一念発起すれば信頼がアップするかもしれません。これは機会ですよね。

2点目は「現場の問題点」です。品質に課題がある工程や、ヒヤリハットが起きる作業は、機会の宝庫といえます。うまくいっていないからこそ、改善の余地があるからですね。

3点目は「データの変化」です。不良率や測定データの変化に注目して、機会を見つけます。例えば「不良が減る傾向」が見えたら、そのやり方を他の工程に展開する機会となります。逆に「データが悪化している」ときは、根本的な改善に取り組むきっかけになりますね。

最後は「技術革新や市場動向」です。新しい技術や設備の登場は、大きな機会です。今の課題を、これまでとは違うアプローチで解決できる可能性があるからですね。
はい、というわけで、ISOで見過ごされがちな「機会」について、その意味や探し方、事例、そして日常活動に落とし込むまでの流れを、規格要求事項と関連付けてお話しましたがいかがだったでしょうか。

まとめ

今回のテーマである「機会」の話を一言でまとめると、「見つけた機会を具体的な行動計画に落とし込み、最後は仕組みにする」ことが重要、ということです。こうすることで、問題が起きる前に先回りして手を打つことができるようになりますね。

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