おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
三連休はいかがお過ごしでしたか?暑かったですね? さて今日は暑さも吹き飛ぶ寒い話をしたいと思います。僕の失敗談なのですが、支援先の管理職に詰め寄りすぎて泣かせてしまったことがありました。介入が過度であった失敗談として、僕自身がコンサルティングで支援先の方々と接する際に、常に自分で反面教師としている事例です。
目標管理(OKR)の進捗確認の場において
僕の仕事の一つに、目標管理(OKR)の進捗管理という仕事があります。PDCAでいうところのC(確認)を、経営層と僕とが一緒になって行うという仕事です。多くの会社ではP(計画)はできてもD(実行)はできないとか、PとDはできてもCができない、ということが往々にして起こります。それでは計画遂行ができないので、僕が進捗確認の場を作り、活動が停滞しないように推進役となる、という仕事です。
ある企業においては、進捗確認の場を毎月持つことになっていました。具体的には、各部署の部門長(課長レベル)と経営者、僕とが三者面談するようなかたちで、目標・計画について直近1ヶ月間でどういうことをやり、どういう結果が出て、問題点があるとしたらどのような問題が生じたのかを確認していました。その企業の管理職(仮にAさんとしましょう)は、なかなかこの目標管理に対して身が入らないというか乗り気ではないというか、立てた目標・計画に対して「忙しかった」という理由で、何にも取り組まないということが数回にわたって起こっていました。
「今村さんからも厳しく言ってやってください」という経営者の言葉
過去数回、このAさんが目標管理活動に積極的でないことを見ていた当社の経営者は、僕に何度かこう言いました。
「ちゃんとやるように、今村さんからも厳しく言ってやってください」
僕も経営者のその言葉に責任を感じ、はっぱをかけようと、Aさんには厳しく接していました。そしてある月のこと。いつものように、やはり忙しさを理由に、計画したことができなかったことを列挙するAさん。厳しく接しないとという経営者の言葉が僕の頭をよぎり、Aさんにきつく詰め寄ってしまいました。するとAさんは、よほど悔しかったのか、涙をぼろぼろと流しはじめ、会議の場が緊張感に包まれました。
自分自身で詰め寄っておきながら、誰かを泣くまで追い詰めてしまった自分に今さらながら驚き、これは取り返しのつかないことをしたのではないかという気持ちになりました。そうなってみないと人の気持ちがわからないコンサルタントだったんですね、僕は。
コンサルタントの役割は、厳しく接して行動を促すことだけではない
その会社の支援はどうなったかというと、その出来事から間もなく、契約途中で支援打ち切りとなりました。このような僕の態度がよろしくないと経営者が判断したのでしょう。もちろんこの一件が全てだとはいいませんが、トリガーのひとつにはなっていたはずです。今考えると、僕は経営者が「厳しくしてください」ということばを過度にとらえすぎていたように思います。厳しくしなければ「甘すぎる」と思われて、契約を切られてしまうのではないかと恐れていたのかもしれません。
しかしその後、僕もいろいろと考えた結果、コンサルタントの役割は、支援先の従業員や管理職に厳しく接して行動を促すことではない、と思うようになりました。例えばAさんの例でいうと、Aさんがどうしてこの目標管理活動に積極的でなかったのか、もう少し掘り下げる余地があったように思います。Aさんはどちらかというと、管理されずに自律的にことを起こしていきたいというタイプの人だったので、過度に管理されていると感じて反発をしていたのかもしれません。そのあたりの本音を、1対1のミーティングなどで引き出すようなことは、今の僕だったらできることです。過度な管理を窮屈だと思っていることが事実としてわかれば、この目標管理の仕組みも、それに応じて変えることもできたでしょう。
もしくは、経営者と管理職の関係に問題があった可能性もあります。今となってわかることですが、管理職や従業員が経営者を信頼していない場合、僕のような外部のコンサルタントも敵視されることがよくあります。信頼していない経営者の一味だと思われるからですね。もしそうだとすると、厳しく詰め寄る前に、僕とAさんとの間で十分に信頼関係を構築しなければならなかったでしょうし、経営者に問題があったとすれば、折に触れて経営者に対して是正を求めることもできたでしょう。
当時の僕は、ただ「厳しくやってくれ」という経営者の言葉をうのみにし、その背後にある組織の問題や個々の従業員の感情にフォーカスすることができませんでした。そのような浅い接し方がAさんを泣くまで追い詰めてしまったのだと思います。
どんな組織であれ、制度や手法、管理技術を導入しただけでうまくいくことはありません。それらを運用する人間には感情があります。感情を無視したコンサルティングなど、うまくいくはずはないのです。