おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
年末の12月28日、中小企業庁は「平成30年度補正予算『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業』に係る事務局の募集及び同補助金の事前予告」を行いました。これで平成30年度補正のものづくり補助金の概要がかなり見えてきました。内容を読み解いていきたいと思います。
平成30年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」に係る事務局の募集及び同補助金の事前予告
下記のリンクからアクセスできます。このページには「事務局公募要領」と「補助金交付要綱(案)」を見ることができます。
このページでは、かなり重要な記述があります。下記に引用します。
これによると
①平成30年度補正予算の成立後、速やかに実施する予定です、②約2カ月の公募期間を設ける、③早期に公募を締め切って審査し、採択発表を速やかに(可能ならば年度内に)行う、④夏以降に2次公募を行う、とあります。
補正予算の成立後速やかに実施とありますが、具体的にはいつぐらいになるでしょう。過去のデータを見ると、おおむね国会召集日から長くて1ヶ月程度、短ければ10日程度で予算が成立しています。平成31年の通常国会は1月下旬ごろに召集予定ですので、早ければ2月の上旬には予算が成立している可能性があります。そこから考えると、2月中旬までには公募が始まっている可能性はあります。(事務局の決定もそれまでに発表されているというのが前提です。といっても、中央会に内定済みだとは思いますが)
また、②約2カ月の公募期間を設ける、③早期に公募を締め切って審査し、採択発表を速やかに(可能ならば年度内に)行う、というのはどのように考えればよいでしょう。
まず②約2ヶ月の公募期間を設けるというのは、文字通りでしょう。平成28年度補正では公募期間が64日、平成29年度補正では58日でしたから、近年の傾向通りの公募期間だと言えます。一方、③早期に公募を締め切って審査し、採択発表を速やかに(可能ならば年度内に)行う、というのは、平成24年度公募・平成25年度公募で行われた「1次公募1次締切」「1次公募2次締切」のような締め切り方法のことかもしれません。
1次締切、2次締切という締め切り方法の場合、過去の前例からいうと、1次の締め切りは公募開始から10日ないしは25日で締め切られています。このスケジュールであれば、1次公募1次締切のものについては年度内に採択発表をすることは可能だと思われますので、十中八九このような方法がとられるとみてよいでしょう。(この時のスケジュールは、2月中に1次締切を行い、3月末までに採択発表、というものになるでしょう)
上記をまとめると、次のようなスケジュールになるのではないかと予想します。(あくまでも1月7日時点の予想です)
事務局公募要領を読む
事務局公募要領は下記のリンクから読むことができます。
重要な点をピックアップして、読み解いていきたいと思います。
事業名の変更
平成29年度は「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業」という名称でしたが、平成30年度では「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」に名称変更されています。役所としての意味はあるのでしょうが、あまり申請企業にとっては大きな意味のある変更ではないと思われます。
予算総額
予算総額は800億円と明記されています。昨年度が1,000億円でしたから、200億円の予算減額ですね。厳密には、平成31年度当初予算として、企業間データ連携の公募のための予算が50億円ありますので、トータルでは850億円の予算と言えますが、昨年よりも減額なことには変わらず、狭き門となりそうです。
ちなみに「中小企業生産性革命推進事業」全体で1,100億円の予算です。うち、ものづくり補助金が800億円で、小規模事業者持続化補助金が(定かではありませんが)昨年同様の採択件数を目指すと言われていることから、昨年同様の120億円と仮定すると、IT導入補助金分が180億円となるでしょうか。IT導入補助金は昨年度500億円の予算ですから、大幅減額となりそうです。
事務局の公募期間
事務局公募期間は、平成30年12月28日(金)~平成31年1月23日(水)だそうです。ちなみに昨年度は、平成30年1月5日(金)~平成31年1月24日(水)までが公募期間でしたので、ほぼ昨年度変わらないスケジュールで事務局の公募が行われそうです。
ちなみに公募そのものは、1月下旬に召集される通常国会で予算の承認がされたのちに開始されます。そこから速やかに公募開始となるとのことですので、2月中旬までには補助金公募開始となるのではないかと推察します。
事業概要
事業の累計は一般型と小規模型のようです。30年度補正では、企業間データ連携と地域経済牽引型は公募されないのでしょうか。
なお、一般型の補助率は原則1/2です。2/3に増額する要件は、①12月21日以降の先端設備等導入計画の新規認定、②12月21日以降の経営革新計画の新規承認、の2点です。いずれも新規認定・承認が必要です。既に先端設備等導入計画の認定をとっている企業が補助率2/3アップをはかるのであれば、経営革新計画の新規承認しか方法がありません。
補助予定件数
補助予定件数は1万社を計画しているようです。ちなみに昨年度も事務局の公募時点では1万社への補助予定を計画していました。1万社の予定に対し、最終的には11,989件の採択がされました。
予算総額は1,000億円から800億円に減りましたが、補助率2/3にアップするハードルをあげることにより、昨年同様に広くあまねく交付をするという方針なのでしょう。
複数回の公募申請受付を予定
事務局公募要領にははっきりと「複数回の公募申請受付を予定」と書かれています。これは昨年度の事前予告ではなかったことです。これは、事前予告に書かれていた2次公募(夏ごろに実施)のことと、平成31年度当初予算で50億円の予算確保している企業間データ連携を中心とした公募のことを指しているのだと思われます。
交付要綱案を読む
交付要綱案は下記のリンクから読むことができます。
重要な点をピックアップして、読み解いていきたいと思います。
交付の目的
交付の目的が微妙に変わっています。昨年度のものと比較しましょう。
この変更は結構重要です。目的を変更しているというのは、必ず意図があってのことです。読んでいて感じることとしては「設備投資」という言葉が、平成30年補正での目的からは1か所減じられています。その代わり「革新的サービス・試作品開発・生産プロセスの改善」という表現が追記されています。ここから読み取れることは、設備投資が目的ではなく、設備投資を通じて、新しい(革新的な)取り組みを行うという企業に交付をするということをより明確化したと言えます。
どんな設備を入れるのかではなく、設備を入れてどんな新しいことをするのか、という点を強調しなければならないでしょう。
委託事業者の取り扱い
昨年度の交付要綱案にはなかった項目として、(補助事業の一部を委託する先である)委託事業者の取り扱いについての説明が手厚くなっています(下記の第3項~第6項)。簡単に言えば、補助事業の委託先も補助金交付停止措置を受けているとダメということですね。
実績報告
実績報告の期限は、補助事業完了から30日以内、または翌年度の4月10日のいずれか早い日、となっています。これは「新元号2年の4月10日までに報告すればいいの?」と思ってしまいがちですが、うのみにはできません。というのも、昨年度の交付要綱案でも「翌年度の4月10日のいずれか早い日」という期日になっていましたが、実際の事業報告期限日は翌年度(平成31年)の1月31日でした。
このことから言っても、次回のものづくり補助金の事業実施期間も前回同様、基本的には平成31年(新元号元年)の12月末までと認識しておいたほうがよさそうです。