おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
目標管理制度を導入している企業はたくさんあると思いますが、制度を導入しているからといって軒並み目標を達成できているわけではありません。目標が達成できない理由はもしかしたら、従業員が「忖度目標」を掲げているからかもしれません。
「忖度目標」とは何か?
「忖度目標」とは、僕が勝手に造った言葉です。その意味は「このくらいの高めの目標を立てないとバツがわるいだろう」と思い、自分自身やその組織の実力やに見合わない目標を立てることです。
最も顕著な例は「不良ゼロ」という目標ですね。どんな会社でも不良は出したくありませんし、ゼロにしたいというのが理想でしょう。しかし現実に不良をゼロにするための達成手段など思いつくことさえもできません(せいぜい「頑張る」くらいしか言えないのではないでしょうか)。現実的には、現状の不良発生件数の半減を目標にするとか、不良率を0.01%下げるとか、その程度が目標としては適切だと思います。
しかし、目標を立てる際に、次のようなことを考える人は必ずでてきます。
そうして上司や社長が望むであろう目標(すなわち不良ゼロ)を忖度して設定してしまうのです。
忖度目標は、自ら決めた体を取りながらも、やらされ感満載の目標である
目標管理制度では、目標は現場自らが設定するのがお約束です。それは、上から目標を押し付けられるよりも、自分で決めた目標のほうがやりたくなるだろうという前提の上にたっています。
しかし「忖度目標」は、自分で決めたという体をとっていながらも、実際は上の顔色を伺って立てた目標なので、「上から押し付けられた目標」となんら変わりはないのです。いくら自ら立てた目標だと言っても、「忖度目標」だとやらされ感を覚えるのですね。その上、上に気に入られるように無理な目標になっているので、どれほど頑張ったとしても目標を達成することは困難です。
困難なもの、他人から押し付けられたものには、人は動機づけられませんね。
結局は、上の顔色を伺わない(忖度の必要のない)組織でないと、忖度目標は防げない
いくら目標管理制度が現場を改善する定番ツールであるからといって、このような忖度目標を立てると全く効果は生みません。
忖度目標をどう防ぐかというと、「この目標は無理がある」というのを誰かが判断して、目標を修正するよう助言をする必要があります。ところが、これは僕の経験則にすぎませんが、「この目標は無理があるから、目標のハードルを下げなさい」と助言できる経営者や上司はほとんどいません。妥当な目標かどうかという目利きができないというのもありますが、「もしかしたら本当に不良をゼロにしてくれるかもしれない」という期待も込めてやらせてみようと思うのだと思います。
ですので、忖度目標を水際で防ぐというよりは、「そもそも経営者や上司に忖度しない組織」を作ることが根本的解決方法と言えるでしょう。しかしこのような「忖度の必用のない組織」というOSのもとで、目標管理制度というアプリケーションを実行しなければ、目標管理制度は効果を生むことはありません。現場を改善するという根底には、組織を変えるということがセットになっているのです。