2月28日、中小企業庁が「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」の公募開始を発表しました
3/1追記
2月28日、中小企業庁が「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」の公募開始を発表しました。公募要領を解説しましたので、こちらもご覧ください
1/12追記
中小企業庁から「事前予告」が出たことにより、詳細な内容が明らかになりました。下記の記事もあわせてご覧ください。
2/22追記
2/20に京都銀行が主催したセミナーで、近畿経済産業局担当者が「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業の公募開始は3月以降ではないか」と述べたという情報を得ました。公募期間は2ヶ月だそうです。
12月15日の日刊工業新聞に『ものづくり補助金、“1万社支援”が復活 17年度補正予算1000億円』という記事が掲載され、補助事業の全体像が明らかになりました。日刊工業新聞は毎年「ものづくり・サービス補助金」の正式な公募開始に先立って、情報をすっぱ抜いてきています。例年だと、日刊工業新聞の情報は概ね正確なので、今回の記事内容も、ある程度の信憑性をもって受け止めてもよさそうです。
内容をすこし見ていきましょう。
ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業(ものづくり・サービス補助金)の特徴は4点
(出典:日刊工業新聞 平成29年12月15日)
①中小企業・小規模事業者の約1万社を支援
これは以前、安倍首相が東京都内で開かれた商工会全国大会で述べたことと一致していますね。
日刊工業新聞の記事には、次のように書かれています。
(予算として)1000億円を計上する。補助上限を1000万円とし、3年ぶりに1万社支援(16年度補正での採択数6157件)を復活させる。(中略)16年度補正では約763億円に縮小した。17年度補正は、人手不足や働き方改革への対応が待ったなしになる中、2年ぶりに1000億円の大台を取り戻す。
補助上限が1,000万円とすることから、前回行われたような「第四次産業革命」「賃上げ」にともなう補助上限額の増額はなくなるようです。僕も補助上限額の増額措置はないほうが望ましいと思います。前回も「第四次産業革命型」がありましたが、「えっ?これでIoTやAIだといえるの?」というものが採択されるケースが散見され、審査の現場での定義の不透明さが見え隠れしていました。
また、賃上げに伴う補助上限額の増額も、従業員の給与を一時的にあげるが、その後またもとに戻し、補助金だけ3,000万円もらうという策を講じる企業もあり、必ずしも公平とは言える運用ができていませんでした。
今回は1,000万円が上限であり、予算も1,000億円と見込まれることから、2次公募もあるかもしれません。
②事業類型における「企業間データ活用型」の創設
これは、従来の「共同設備投資」という類型の名称が変わったものでしょうか。記事によると、
新たに複数の中小企業が連携する「企業間データ活用型」を創設する。同制度では補助金を200万円上乗せする。例えば5社で連携した場合、連携企業体に1000万円を支給し、連携体内で配分できる。
とあります。
中小企業庁は昔から、中小企業同士の連携にこだわっています。それは、中小企業が単独で新事業展開を実現することは容易なことではないので、連携しながら経営資源を有効活用するという方針を持っているためです「新連携」という制度が昔はありました。今も形を変えて残っていますけど。ただ、ものづくり・サービス補助金の「共同設備投資」類型については、兵庫県の事例でも、毎年1件あるかどうかという少なさだと聞いたことがあります。このような連携をするということ自体も、なかなか容易ではありません。
12/24追記
「企業間データ活用型」について考察をしました。
③専門家を活用した生産性向上を支援
これは、生産性向上のためのコンサル費用を、一部補助するということでしょうか。記事にはこうあります。
設備導入の効果を高めるため、スマートものづくり応援隊など専門家を活用する場合には補助上限額を30万円引き上げる。
スマートものづくり応援隊とは、平成28年度から実施されている事業で、製造業出身者等に研修を実施し、現場改善指導者にしたてあげるという施策です。この研修修了者の派遣費用などを、ものづくり・サービス補助金で負担してもらえるということでしょう。
記事には「スマートものづくり応援隊など」とあります。民間のコンサルタントの費用も負担できるかもしれませんし、IoTやAI、ロボット導入のシステムインテグレーターによる費用の負担などもありえるかもしれませんね。
④認定支援機関による採択後のフォローアップ体制の強化
認定支援機関とは、税理士や金融機関、民間コンサルティング企業など、国(経済産業省)が認めた中小企業の支援機関のことです。これまでの「ものづくり・サービス補助金」でも、認定支援機関が事業計画の確認をすることが求められてきましたが、その役割がもっと踏み込んだものになりそうです。
記事にはこうあります。
ものづくり補助金は補助金を受けた企業の半数以上が5年後までの事業化を目標とする。12年度補正で採択した企業のうち約44%が事業化を達成した。今回、「認定経営革新等支援機関」との連携を要件とし、採択後から終了後5年間のフォローアップを求めることで成果を可視化する。
行政施策としてのこの「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業」は、5年後までの事業化率の目標を50%と定めています。つまり、補助金を交付した企業の半数が経営革新に成功すれば、施策としても成功だ、と行政側がみなしているということです。その事業化率の現状が44%であり、目標未達の状態なので、認定支援機関がフォローアップにまわることが要件になるということでしょう。
しかし税理士や金融機関が、どこまでものづくり現場の経営革新に踏み込んだフォローアップができるかというと、なかなか難しいものがあると思います。記事にもあるのですが、できるとしたら結果(数値)をまとめるといった程度ではないでしょうか。
公募開始までにすべきことは何か
今回の施策名が「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業」であることから、前回同様「経営力向上計画」「経営革新計画」の認定取得が加点要素となる可能性が高いです。今のうちから認定を取得しておいたほうがよいでしょう。加点の幅はそれほど大きくないという噂も聞きますが、ないよりはあったほうが望ましいです。
そして、事業開始時期と思われる来年6~7月以降に導入するとしたら、どういう設備であり、その設備を使ってどういうことを実現したいのかについて、構想を練り始めるのがよいでしょう。
1/12追記
中小企業庁から「事前予告」が出たことにより、詳細な内容が明らかになりました。下記の記事もあわせてご覧ください。
2/22追記
2/20に京都銀行が主催したセミナーで、近畿経済産業局担当者が「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業の公募開始は3月以降ではないか」と述べたという情報を得ました。公募期間は2ヶ月だそうです。