おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
生産性向上特別措置法案(生産性革命法案)に基づき、中小企業が生産性向上設備を導入すると固定資産税が3年間ゼロ~1/2に軽減されるという特例措置が、今年7月ごろから企業の申請受付・認定開始される予定です。
経済産業省や中小企業庁の資料をもとに、この固定資産税ゼロ特例措置の詳細を紹介します。
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「先端設備等導入計画」とは何か?
対象となる中小企業(後述)が、設備投資を実施する場所の自治体(市町村)に対し、「先端設備等導入計画」「経営革新等支援機関の事前確認書」「工業会等証明書」およびその他各自治体が求める資料を提出し、認定を受けると、固定資産税軽減などの各種措置を受けられるという仕組みです。
制度については、動画でも詳しく紹介をしています。
なお、認定申請時に工業会等証明書が用意できない場合は、後日に追加提出することも可能です。その際は、「誓約書」と「工業会等証明書」を併せて提出することになります。一方、固定資産税の特例措置を受けない場合は(例えば、補助金の加点だけを受ける場合)、「誓約書」も「工業会等証明書」も提出の必要はないと国は説明をしていますが、自治体によっては「工業会等証明書」の提出が認定の前提となっている自治体もあります(例えば京都市)。
先端設備等導入計画のメリット:「ものづくり・サービス補助金」で補助率が1/2から2/3へアップ
「先端設備等導入計画」の認定取得企業は、平成29年度補正ものづくり・商業・サービス補助金において、補助率アップや審査上の加点が受けられました。このメリットは今後も引き継がれるようで、平成31年度当初予算の概算要求でも、先端設備等導入計画の認定取得企業については補助率がアップすると明記されています。
この資料の中に、次のような文章があります。
先端設備等導入計画の認定又は経営革新計画の承認を取得して一定の要件を満たすものは、補助率2/3(類型2のみ)
「ものづくり・サービス補助金」試作開発型の補助率は1/2ですが、先端設備等導入計画の認定があると、補助率が2/3にアップします。ただし先端設備等導入計画の認定を取得して、ものづくり補助金の補助率アップや加点を狙う場合、さまざまなリスクがあるので注意が必要です。リスクは後述します。
先端設備等導入計画の認定受付はいつから開始されるのか
法律的には2018年6月6日から認定申請の受付が可能となりました。ただし、実際の認定受付の開始時期は、各自治体の準備状況によります。詳細なスケジュールは自治体(設備投資を行う場所)の産業振興課等にお尋ねください。
各自治体の意向(実施時期、固定資産税軽減率等の情報)
平成30年9月末までに、本措置に沿って1,605(復興特措法による減免を含む)の自治体が、条例制定等により固定資産税ゼロの措置を講じました。当該市区町村のリストは、下記のリンクから確認できます。
この情報のほか、各自治体のホームページでも、先端設備等導入計画の情報を公開しています。
先端設備等導入計画の認定件数
2018年11月19日、中小企業庁が先端設備等導入計画の認定件数を公表しました。運用開始から4ヶ月、経営力向上計画以上のハイペースで認定がなされています。
平成30年6月6日に施行された「生産性向上特別措置法」に基づき、中小企業者が策定する「先端設備等導入計画」について、固定資産税をゼロとする措置を実現した自治体からの報告をとりまとめたところ、平成30年9月30日時点で、1,566自治体で、14,272件を認定しています。認定を受けた計画に盛り込まれた設備等の数量は合計で37,133台、約3,562億円の設備投資が見込まれます。
なお、平成30年10月31日時点で、条例制定及び基本計画の策定により、固定資産税ゼロの措置を実現した自治体は1,582になりました。
先端設備等導入計画の認定を受けるメリット
1.償却資産に係る固定資産税の軽減
- 最初の3年間、課税標準を市条例でゼロ~1/2
2.国の補助金施策に対する優先採択、補助率アップ等
※2018年3月30日現在、対象補助金は、以下の4つ。
- ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業(ものづくり・サービス補助金)
- 小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)
- 戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン補助金)
- サービス等生産性向上 IT 導入支援事業(IT 補助金)
3.国による金融支援
- 信用保証(追加保証)
先端設備等導入計画認定による信用保証の別枠化の具体例について
大阪府では2018年8月1日より、中小企業者が先端設備等の導入計画を策定し市町村長の認定を受けた場合に、当該先端設備等の導入に必要な資金について、通常の保証とは別枠かつ、低率(料率固定)で、保証協会の保証が受けられよう、府の「設備投資応援融資」においても、同保証の利用が可能となるよう制度改正を行いました。
このような制度融資は、他の自治体にも広がっていくものと思われます。詳しくは自治体や金融機関にご相談ください。
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大阪府の「設備投資応援融資」で、先端設備等導入計画認定による保証メニューが創設されました
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 先端設備等導入計画の認定取得メリットのひとつに、信用保証の別枠化があります。あまり脚光を浴びるメリットではないのですが、この度大阪府で ...
先端設備等導入計画の認定が受けられる企業
中小企業等経営強化法第2条第1項の定義に基づく中小企業が対象です。詳しくは下記の通りです。
先端設備等導入計画の認定が受けられる企業と、固定資産税特例措置が受けられる企業の規模は異なります。固定資産税特例措置が受けられる企業は、自治体の認定を受けた事業者のうち、資本金額1億円以下の法人、従業員数1,000人以下の個人事業主となりますのでご注意ください。
固定資産税軽減対象設備
生産性向上に資する指標が旧モデル比で年平均1%以上向上する下記の設備であって、工業会等証明書が入手可能な設備。
- 機械装置(最低取得価格160万円以上/販売開始10年以内)
- 測定工具及び検査工具(最低取得価格30万円以上/販売開始5年以内)
- 器具備品(最低取得価格30万円以上/販売開始6年以内)
- 建物附属設備(最低取得価格60万円以上/販売開始14年以内)※ 家屋と一体となって効用を果たすものを除く
ソフトウェアは、先端設備等導入計画の指定設備ではありますが、固定資産税軽減対象設備ではありません。ソフトウェアは無形固定資産であり、償却資産税の課税対象とはならないためです。(つまり最初から課税されない)
具体的に、どのような設備に工業会等証明書が発行されるかという例については、下記のリンクをご参考ください。
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先端設備等導入計画・経営力向上計画で証明書発行される可能性のある設備まとめ
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 先日、支援先の経営者の方々とお話をしていたのですが、どのような設備に「工業会等証明書」が発行されるのか、意外とご存知ないことに気が付き ...
建物附属設備は、償却資産に該当するものだけが固定資産税の軽減措置の対象です。詳しくは下記のリンクをご参照ください。
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建物附属設備では、経営力向上計画の証明書が出ても、先端設備等導入計画の証明書が出ないというケースがある
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 当社では先端設備等導入計画の申請支援を26件おこないましたが、いろいろなケースに遭遇します。建物附属設備の場合、経営力向上計画の証明書 ...
最低価格を下回っていても、他の機械装置等と一組となって運用されるものについては、認定される可能性があります。詳しくは顧問税理士や自治体にお尋ねください。
固定資産税軽減や補助金優遇措置を受けるためのスケジュールは?
制約の多いスケジュールに注意が必要です。メリットを受けるためには、行政側が設定したスケジュールを守る必要があります。
固定資産税の軽減措置を受けるスケジュール
法施行日(2018年6月6日)以降の取得設備が対象です。固定資産税の賦課期日は毎年1月1日ですので、取得翌年からの固定資産税が軽減されます。なお、固定資産税軽減の特例措置の適用は、平成32年度末(2021年3月31日)までに取得された設備に限ります。設備は「先端設備等導入計画」の認定後に取得することが必須です。60日まで遡及申請できた経営力向上計画とは異なりますので、注意が必要です。ただし、工業会証明書が申請までに間に合わない場合は、特例として、賦課期日までに工業会等証明書と誓約書を追加提出することで特例を受けることができます。
補助金優遇措置を受けるスケジュール
補助金優遇措置を受ける場合、補助金の交付決定(平成29年度ものづくり補助金2次公募の場合は11月頃)までに、「先端設備等導入計画」の認定を受けている必要があります。
先端設備等導入計画の申請から認定までの期間は?
自治体によって異なりますが、おおむね申請書の提出から1~2週間程度と告知している自治体が多いように感じます。当社が支援した中で、実際にかかった日数は、早いところだと企業で投函をした日から認定書の到着まで、1週間程度のところもありました(神戸市、東大阪市など)。
ただしこの処理日数は、申請が立て込む時期などは、さらに伸びる可能性がありますのでご注意ください。
先端設備等導入計画の具体的内容・書き方・記載例について
下記に先端設備等導入計画の具体的内容・書き方・記載例をまとめています。ご参考ください。
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「先端設備等導入計画」の書き方・記載例をレビューする(まとめ)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 過去7回にわたり「先端設備等導入計画」の書き方および記載例をレビューしてきました。今回は、その総まとめです。 概要・全体像 1.名称等 ...
先端設備等導入計画の審査のポイント(要件)は?
パブリックコメント募集ページのなかに、中小企業者の先端設備等の導入の促進に関する指針(案)という書類があります。この中に、先端設備等導入計画の具体的な運用方法と思われることが数々書かれていました。この資料によると、市町村による認定判断に当たっての客観的な基準が公表される予定だそうです。
ものづくり補助金で補助率アップ・加点を得る上でのリスク
ものづくり補助金(特に平成29年度ものづくり補助金2次公募)に申請で、補助率アップや加点を得るために先端設備等導入計画の認定を受ける場合は、お早めに認定の取得を受けてください。認定がないと交付決定が出ません。先端設備等導入計画の申請・認定がギリギリになると、その分交付決定が遅れ、補助事業実施期間が短くなるリスクがあります。