おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
これから何度かに分けて、平成30年度(2019年実施)ものづくり補助金2次公募の結果分析をしてみたいと思います。まずは都道府県別の採択率を推測してみました。
動画でも2次公募結果について分析をしています!
都道府県別の採択率を推測してみる
都道府県別の採択数を調べるのは容易にできます。公表されている採択事業者一覧で数えていけばいいだけですからね。下記のリンクをクリックすると、pdfで公開されている採択者一覧を見ることができます。このpdfをExcelに変換し、countif関数で数えれば、都道府県別の採択数を調べるのは簡単です。
問題は分母。すなわち、都道府県別の申請数を調べることです。これはどこにも公表されていませんが、推測することはできます。同じくpdfで公開されている採択者一覧を見てみると、受付番号が書かれています。おそらくこれが、全ての申請者に対して割り当てられた、一意の通し番号です。
例えば北海道の採択事業者を追っていくと、北海道の最後の採択事業者(青森県との境界)の通し番号は3001210140です。(下記赤線部分)
番号命名規則は次のような構造になっているものと推察できます。
上4桁の3001までは北海道の申請に付与されたprefixのようですので、ここから北海道の申請数が140件程度であることがわかります。もしかしたら141件かもしれないし、142件かもしれないし、143件かもしれませんが、ここでは便宜上、140件だと仮定します。数件程度の誤差は、大まかな傾向をつかむ上では問題ないと判断します。
ところで、今回の公募から電子申請になって番号が自動的に付与されるようになったためか、これまで見られた都道府県による独自の命名規則はなくなりました。(例えば神奈川県や福島県などで、一般型・小規模型や、ものづくり技術・革新的サービスなどの類型に応じて、独自の付与パターンを持つ都道府県がかつてはありました)
また、何を識別しているのか謎のコードが一桁あるのですが(右から4桁目)、これについてはまた別の投稿で改めて分析をしたいと思います。
都道府県別の採択率の計算結果
上記の計算方法で集計をしたところ、全国の申請数予測が5,799件となりました。公表されている全国の申請数が5,876件です。まずまず近い値となりましたね。さてそれでは、この計算方法で算出した、平成30年度補正ものづくり補助金2次公募の都道府県別採択率(予測値)をご覧ください。H30年度1次公募の採択率、およびH29年度・H28年度の1次公募の採択率も参考として記しています。
結構ばらついていますね。僕の計算では、最高採択率が佐賀県の52.5%で、最低採択率が愛知県の29.7%です。
都道府県のバラつきの大きさ
平成28年度は、ほとんど判を押したように各都道府県の採択率40%前後で落ち着いていて、都道府県でのばらつきはほとんど見られません(標準偏差0.012)。ところが平成29年度に急にバラつきが大きくなり(標準偏差0.097)、平成30年度1次公募ではバラつきは落ち着き(標準偏差0.056)、2次公募でも同じようなバラつきとなりました(標準偏差0.053)。
被災地は有利であったか?
今回の2次公募では、審査機関内に台風や豪雨による激甚災害指定があったことにより、下記のような措置がとられました。
佐賀県又は千葉県に所在する事業者及び、神奈川県の被災事業者に限り、公募期間を9月27日(金)15時まで延長しました。また、激甚災害に指定された佐賀県の武雄市及び大町町、9月20日(金)0時時点で千葉県の停電未解消地域17市町区(激甚災害に指定された鋸南町含む)に所在する事業者に限り、公募期間を10月9日(水)15時まで再延長しました。
熊本地震の際に、九州各県の採択率が高かったこともあり、「被災地は有利である」という噂を耳にすることがあります。果たしてそうでしょうか。確かに(僕の我流の計算では)、今回公募期間が延長となった佐賀県、千葉県は、全国平均よりも高い採択率となったようです。しかし同じく公募期間が延長となった神奈川県の採択率は38%程度と予測され、全国平均と比べてもそれほど高いわけではありません。
また、採択率の高い都道府県の中には鳥取県や山口県、高知県など、今回の台風・豪雨で甚大な被害を受けたとはいえない都道府県も散見されます。これらのことから、必ずしも被災地が有利であったという確たる証拠は見られない、と言ってよいのではないかと思います。