おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
昨日夕方、事業規模26兆円の「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」を、政府が閣議決定しました。中小企業・小規模事業者の生産性向上も重点支援のひとつとなっていますが、この経済対策の資料から、2020年実施の「ものづくり補助金」予算規模がどうなるかを読み解きます。
経済対策は26兆円の規模だが、2019年度補正予算の規模は4.3兆円程度
今回の経済対策、事業規模の総額は26兆円程度と報道されています。前回(2016年8月2日閣議決定)の「未来への投資を実現する経済対策」の規模が28兆円でしたから、前回より若干規模が縮小しています。
経済対策の規模の総額については、下記のような記事があります。
規模を大きく見せることで安心感を狙おうと、事業規模は26兆円程度となったが、15カ月予算分であること、民間資金の活用も含んでいること、財政投融資による5G投資なども含まれていること、学校のパソコン支給など複数年度分にまたがる内容になっていることなどで、数字が膨らんだかたちだ。
実際の政府の財政支出も13兆円程度、財政投融資などを除いた政府の直接支出は9.4兆円。うち2019年度補正予算の計上額は4.3兆円というのが実態だ。
2019年度補正予算の規模が4.3兆円という情報は、西村康稔経済再生相の会見でも語られています。
西村康稔経済再生相は5日の臨時閣議後の会見で、同日発表した経済対策で2019年度補正予算が4兆円超と、自民党幹部が提唱した10兆円を下回った理由に関し、「与党から規模感などさまざまな提言をいただいたが、規模ありきでなく効果のあるものを積み上げた」と説明した。
ものづくり補助金の予算規模も、例年の水準をほぼ維持か
この経済対策に関しては以前「2019年度補正予算だけで10兆円規模」という自民党幹部の発言もありましたが、結果としては4兆円超に落ち着いた形のようです。補正予算4兆円という規模は、安倍政権下での補正予算の規模としては、概ね例年通りのものです(2018年度の補正予算は3.9兆円でした)。このことからも、2020年実施ものづくり補助金の予算規模も、例年からそれほど大きくは変わらないのではないかという推察もできます。
この点については、12月2日の朝日新聞でも下記のような報道がされています。
中小企業支援は、競争力強化や新事業創出を目的に、開発や設備投資の一部費用を補助する「ものづくり補助金」が中心となる。この補助金は、2012年度から毎年度1千億円前後を補正予算に計上。財務省が成果の評価があいまいだとして見直しを求めていたが、規模がほぼ維持される見通しだ。
過去7年間のものづくり補助金の予算規模と採択率の推移
過去の補正予算規模と同等ということがわかれば、これまでのものづくり補助金の予算規模が、2020年の動向を推察する上で役立つはずです。過去7年間の予算規模と採択率の推移を見てみましょう。
予算規模は概ね800億~1000億円程度で推移をしています。前回の経済対策が行われた平成28年度は763億円と最低水準になっていますから、経済対策が行われるからと言ってものづくり補助金の予算が増えるということは一概には言えないでしょう。むしろ経済対策をするからこそ、他にも重点的に予算配分を行うべき政策があり、ものづくり補助金の予算が減ってしまう可能性もありそうです。
なお、今回の経済対策の資料では「中小企業生産性革命推進事業」と表現されています。これは2018年度補正での表現と同じですので、2020年にも「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」が一つの予算で運用されるのかもしれません。