おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2020年実施ものづくり補助金では、申請要件の一つに「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上」というものがあります。これを実施するというエビデンスとして、就業規則の変更が必要なのではないかと当社では想定しています。
業務改善助成金における要件
2020年実施ものづくり補助金では「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上」という要件が定められていますが、実はこれとよく似た要件が定められている助成金があります。それは「業務改善助成金」なのですが、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内の企業が、事業場内最低賃金の引上げを行うことにより受給できる助成金なのです。ものづくり補助金の要件と似ていますよね。
エビデンスとして「就業規則等に規定」が求められている
この業務改善助成金では、何をもって事業場内の最低賃金を引き上げたのかを確認するのか(エビデンスとするのか)というと、就業規則への規定なのです。下記の資料には、次のような記述があります。
4 事業実施計画に基づき、次の措置を実施した事業主であること。
(1) 事業場内最低賃金規程の作成賃金改善計画に基づき、就業規則などで、申請年度において事業場で最も低い賃金から時間給等で40円以上高い事業場内最低賃金額を定めてください。(最低賃金の減額特例許可を受けた労働者を除く)
(2) 賃金改善の実施上記(1)により定められた就業規則などに基づき賃金を引き上げてください。(確認期間として一回の支払実績が必要です)
(3) 業務改善の実施業務改善計画に基づき業務改善を実施し、その経費として合計10万円以上の支払いを行うことが必要です。
「就業規則など」と書かれているので、就業規則以外のエビデンスでもいいんじゃないか?と思うかもしれませんが、僕が社労士の先生(神戸三宮社会保険労務士事務所の石川琢磨先生)に確認したところ、これは10人未満の事業場(就業規則の作成と届け出が必須ではない事業場)のケースを指しているのだろうとのことでした。つまり就業規則の作成・届け出が義務付けられていないので、就業規則に準じるもの(内規のようなもの)のことを指しているとのことです。
最低賃金額は就業規則の「相対的記載事項」
最低賃金額は、就業規則の「相対的記載事項」です。「相対的記載事項」とは、当該制度がない場合は記載しなくてもよいが、当該制度がある場合は記載しなくてはならない事項です。つまり、「最低賃金+30円」を企業が実施するとなれば、就業規則には記載しなければならない、ということですね。
したがって2020年実施ものづくり補助金補助金でも、最低賃金額の変更については就業規則の変更を要求する可能性が高いのではないかと思っています。さらにいうと、就業規則は労働者がいつでも見られるようにしておく必要がありますし、このような周知義務違反の場合は罰則もあります。就業規則をエビデンスとすることは、ものづくり補助金の申請要件を満たすために「ニセのコミット」をする企業を出さないようにする抑止力になりそうです。