おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
4月7日に発表された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」には、様々な資金繰り制度が盛り込まれています。その中でも無利子・実質無利子の融資制度をまとめました。
無利子・実質無利子の融資制度一覧
4月13日時点で明らかになっているのは、下記の制度です。順番に紹介しますね。
一覧
- 日本政策金融公庫等による特別貸付及び危機対応業務による資金繰り支援
- 民間金融機関でも実質無利子・無担保の融資を受けることができる制度
- 小規模事業者経営改善資金(マル経融資)
- 小規模企業共済の契約者に対する、掛金納付額の範囲内での無利子融資
- 農林漁業者向け融資の実質無利子・無担保化等の資金繰り支援
【実質無利子・無担保】日本政策金融公庫等による特別貸付及び危機対応業務による資金繰り支援
貸付条件と実質無利子の要件について
まずは政策金融公庫の融資についてです。この融資制度自体は「新型コロナウイルス感染症特別貸付」として、既に申し込みが可能です。ただし「実質無利子」を実現するための制度については、この4/13の時点では詳細検討中です。
じゃあまずは「新型コロナウイルス感染症特別貸付」について教えて。
「実質無利子」の対象となるのは、この「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を受けている企業・個人のうち、さらに別の要件に該当する必要があるんだ。その別要件は次の通りだね。
なるほど。「売上高が減ったかどうか」というのは、いつの時点比べるの?
ちょっと複雑なので事例で説明するよ。中小企業の場合(小規模事業者ではない場合)で、昨年の売上と比較をする場合だけど、次のような感じになるのかな。
昨年同月と比較できない場合も対象になるケースがあるので、詳しくは政策金融公庫に問い合わせてみてね。
そもそも「実質無利子」とはなにか?
そもそも、なんで「実質」なの?ふつうの無利子の融資と何が違うの?
政策金融公庫に利子は払うんだけど、払った利子の分を別の機関が補填をしてくれるんだよ。だから「実質」なんだね。
図で示すとこんな感じだね。赤線で囲んだ部分が無利子化を実現するための流れになるね。
ああ「補助金」って書いてるね。補助金みたいなイメージなんだ。
そうだね。でも「実質無利子」の期間は3年間なので気をつけてね。
この貸付制度の本来の利率に戻るのかもね。3年後もコロナウイルス感染症の影響で経済が冷え込んでいれば、そのときになにかの措置があるかもしれないけど、今はなんとも言えないね。
民間金融機関でも実質無利子・無担保の融資を受けることができる制度
さっきのは政策金融公庫の貸付制度だけど、民間金融機関でも実質無利子・無担保で融資が受けられるようになるんだね。
うん。政策金融公庫の窓口がめちゃめちゃ混雑してるから、緩和の意味も込めて民間金融機関にも広げるようだね。
対象要件
新型コロナウイルス感染症の影響により売上⾼等が減少した事業者(セーフティネット保証4号、5号、危機関連保証の認定を受けた事業者が対象)
セーフティネット保証4号とか5号とか危機関連保証とかって何なの?
今回のコロナウイルス感染症の影響を受けた企業(だけじゃないけど)で、売上が減少した企業に対して、保証協会という組織が保証人になりますよ、という制度なんだよ。市区町村から認定書をもらう必要があるので、詳しくは自社の所在する市区町村の商工担当課等の窓口に確認をしてみてね。
※融資上限額3,000万円
これも「実質無利子」になる仕組みとしては、利子の補給なの?
小規模事業者経営改善資金(マル経融資)
商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人でご利用できる制度だね。
そうだね。原則6ヶ月の指導をうけていることや、最近1年以上商工会議所地区内(商工会地区内)で事業を行っているという制限が普段はあるけど、このあたりの要件が緩和になるかそのまま適用されるかはわからないね。
まず本体枠という通常の貸付枠があって、その上でコロナの影響を受けている企業には別途、別枠として貸付枠が設定されるね。別枠部分だけ下記に示すよ。
ポイント
<ご利用いただける方>
新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方(※)
※商工会議所、商工会または都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けており、商工会議所等の長の推薦が必要です。
<ご融資限度額>
通常のご融資額 + 別枠1,000万円
<利率>
【当初3年間】 特別利率F - 0.9%(別枠の1,000万円以内)(注)
【4年目以降】 特別利率F
<ご返済期間(うち据置期間)>
設備資金10年以内(4年以内(別枠の1,000万円以内))
運転資金 7年以内(3年以内(別枠の1,000万円以内))
どうもそんな感じだね。
政策金融公庫のホームページを見ると「一部の対象者については、特別利率F-0.9%の部分に対して別途決定される実施機関から利子補給され、当初3年間が実質無利子となる予定です。」とあるので、別枠部分だけが対象っぽいね。
小規模企業共済の契約者に対する、掛金納付額の範囲内での無利子融資
これは地味だけど、該当者にはすごくいい施策だと思うよ。
小規模企業共済という、いわば経営者のための退職金制度のようなものがあるんだよ。毎年最大で840,000円まで掛金をかけられるんだ。その掛金を支払っている人が対象で、支払った掛金の範囲内で無利子融資をうけられるという制度っぽいね。
中小機構のホームページを見ても、まだわからないようだね。
「緊急経営安定貸付」という従来からの制度があるんだけど、これに近い感じになるんじゃないのかなと勝手に思っています。
農林漁業者向け融資の実質無利子・無担保化等の資金繰り支援
農林漁業者向けの実質無利子・無担保化の貸付制度もあるんだ。
農水省の資料(4/19時点リンク切れ)によると、次のような感じだね。
ポイント
1.貸入対象者
① 認定農業者(※1)
② 主業農林漁業者(農林漁業所得が総所得の過半(法人にあっては総売上高の過半)を占めるもの又は粗収益が 200 万円以上(法人にあっては1,000 万円以上)であるもの)
③ 認定新規就農者(※2)
④ 集落営農組織
(※1)認定農業者とは、農業経営基盤強化促進法に規定する農業経営改善計画を作成して市町村長の認定を受けた方をいいます。
(※2)認定新規就農者とは、農業経営基盤強化促進法に規定する青年等就農計画を作成して市町村長の認定を受けた方をいいます。
2.借入条件
(1)資金の使途
① 災害(台風、冷害、干ばつ、地震等の自然災害)により被害を受けた農林漁業経営の再建に必要な資金
② 法令に基づく行政処分(CSF、鳥インフルエンザ等による殺処分、移動制限等)により経済的損失を受けた農林漁業経営の維持安定に必要な資金
③ 社会的・経済的環境の変化等(新型コロナウイルス、農林水産物の不作等)により経営状況等が悪化している場合(※)に農林漁業者の経営の維持安定に
必要な資金
(※)売上の減少(前期比 10%以上)、所得率が前期に比べ悪化、新型コロナウイルス感染症の影響、農林水産物価格の低下又は資材等(原油、飼料等)の価格高騰、取引先の破綻による売掛金の回収不能など
(2)借入限度額
① 簿記記帳を行っている場合:年間経営費の 6/12 又は粗収益の6/12 に相当する額のいずれか低い額
② ①以外の場合:600 万
(3)借入金利: 0.10% (令和2年2月 20 日現在) →貸付当初5年間実質無利子化
(4)償還期限:10年以内(うち据置期間3年以内)
この他にも無利子融資はあるか?
いま挙げたのは、国による施策(緊急経済対策)だけど、これ以外にも無利子での融資が受けられる場合があるよ。
緊急小口資金等の特例貸付というのがあるね。貸付上限額は10~20万円と小規模だけど、いままさに目の前の資金繰りに苦しいって人にとっては、最も手っ取り早い方法だと思うよ。お住まいの市区町村社会福祉協議会に確認をしてね。
もしかしたらだけど、都道府県の制度融資で、無利子の貸付制度が出てくる可能性もあるだろうね。例えばさいたま市は2000万円を上限に無利子で融資する独自の制度を設ける予定だという報道もあったけど、こういうのが各地で行われる可能性もあるね。
これはコロナウイルス感染症とは関係がなく、もともとの制度だけど、経営セーフティ共済の加入者は、共済金の貸付を無利子、無担保、無保証人でうけられます。(ただし貸付額の10分の1に相当する掛金の権利が消滅するけど)。
自社でなにか共済制度に入っていないかかどうか、もう一度確認したほうがよさそうだね。