おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
9月9日、第27回産業構造審議会総会が開かれ、令和3年度 経済産業政策の重点(案)が公開されました。経済産業省はこの方針をもとに、必要な費用を来年度予算案の概算要求に盛り込むものと思われます。
第27回 産業構造審議会総会
第27回 産業構造審議会総会の資料は下記から閲覧ができます。
令和3年度 経済産業政策の重点(案)
公開された「令和3年度 経済産業政策の重点(案)」は下記の資料です。こちらからPDF版にアクセスできます。
令和3年度の中小企業政策はどうなるか
企業経営のデジタル・トランスフォーメーションの加速
デジタルトランスフォーメーションを単なるITツールの導入と考えるのではなく、補助金や税制優遇措置による「ツールへの補助」に矮小化したくない、という経済産業省のコメントがありました。(総会動画の1:45:00ごろ)
具体的にどういう施策になるのかはわかりませんが、この文脈から見ると、IT導入補助金の拡充などというレベルではない政策の立案を検討するのではないかと思われます。(具体的にどういうものになるのかは、ちょっと想像ができませんね)
生産性向上、規模拡大、マークアップ率上昇といった成長を志向する中小事業者に向けた支援
生産性向上は、これまでの中小企業政策でも大きなテーマでした。したがってこれまでの流れを踏襲した政策が実施されるのではないかと思います。具体的には補助金の拡充であり、例えば「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」の特別枠の見直しや継続といった形になるのかもしれません。(現行のこれら補助金の特別枠は、2020年度内で終了する見通しですので、これに類するものの継続になるのではないかと考えます)
規模拡大というのは、中小企業から大企業へと拡大していく企業にも、中小企業が受けられる優遇措置が継続して受けられる仕組みを作るのではないかと思われます。中小企業は補助金や税制優遇措置などの施策が、大企業と比べて手厚く講じられています。これが反対に、大企業へと拡大していこうという意欲を削いでいるのではないかという議論が長年ありました。これに関しては、「菅氏、中小企業の再編促す 競争力強化へ法改正検討」という日経新聞の記事もあります。
マークアップ率というのは、原価に占める利益の割合のことです。マークアップ率向上というのは、つまり粗利益率の向上ということでありますので、製品やサービスの付加価値向上と同義ではないかと思われます。上記の生産性向上もそうですが、これは従前どおりの中小企業政策とそれほど変わらない流れではないかと思われます。具体的には上述のような補助金の拡充になるのではないかと思われます。
事業承継・M&A・再生の更なる円滑化支援
これは従来どおり、事業承継補助金や事業承継に関する税制優遇措置(相続税や贈与税の納税を猶予)の継続または/および拡充や、サポート体制(支援窓口や専門家派遣)の構築が検討されるのではないかと思われます。
大企業とのパートナーシップ構築促進・フリーランスも含めた下請取引適正化策の強化
大企業とのパートナーシップ構築は、従来も「ジェグテック」というマッチングサイトを中小機構が運営していますが、これの拡充などを図るのではないかと思われます。
また、フリーランスは発注側事業者と比べて弱い立場に置かれがちです。政府としては、フリーランスへの契約書不交付が独占禁止法上、不適切であることを明確化するなど、法的保護の考え方をまとめたガイドライン(指針)の作成や、フリーランス保護に必要な対応について下請法の改正を含め立法措置、事業者とフリーランスの間のトラブルに迅速に対応できるよう体制強化を図るといった方向で進んでいます。この流れを継続・強化していくことを意味しているのだと思われます。