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「パートナーシップ構築宣言」ひな形解説(その2)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

「パートナーシップ構築宣言」のひな形から、自社にあった「パートナーシップ構築宣言」を作成する方法を解説します(2回めです)

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「パートナーシップ構築宣言」ひな形解説(その1)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 「パートナーシップ構築宣言」し、ポータルサイトに登録されるには、自社にあった「パートナーシップ構築宣言」を作成し、代表者名を記名する必 ...

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「パートナーシップ構築宣言」ひな形と記載要領はこちら

「2.振興基準の遵守」の書き方

まず前提として、定形部分については、原則そのまま引用し、記載すればよいです。そして①~⑤の取組内容は、「振興基準」(取引対価決定の際の協議、契約条件の書面交付等)を踏まえた上で、業界の取引形態に合わせて変更することが可能です。(必要がなければ変えなくても良さそうです)

なお、「2.振興基準」では何の宣言をするのかというと、自社が取引先に発注をする際、相手方に一方的に不利な条件などを押し付けず、公平な取引ができる基準に基づいて発注をするという約束をするのです。概ね、下請法で発注者として求められていることと同じだと理解してもよいでしょう。ただ下請法の適用は資本金額で決まりますが、この「パートナーシップ構築宣言」では自社や相手方の資本金額がいくらであろうが、ここに宣言をする取引基準を遵守することを約束することになります。

まずは発注者として自社の下請けにはどういう企業があり、その先の下請け(再委託先)にはどういう企業があるかを想像するところから始めましょう。そして、その下請け、下請けの下請けと一緒に、どういうコトをやっていくのかというのを、a~dの中から選びます。全部選ぶ必要はありません。1つでも良いでしょう。(1つしか挙げてないけど登録している企業はいくつか見受けられます)

①価格決定方法」とはなにか

不合理な原価低減要請を行いません。取引対価の決定に当たっては、下請事業者から協議の申入れがあった場合には協議に応じ、労務費上昇分の影響を考慮するなど下請事業者の適正な利益を含むよう、十分に協議します。取引対価の決定を含め契約に当たっては、親事業者は契約条件の書面等による明示・交付を行います。

ここは、下請法でいうところの「下請代金の減額(第1項第3号)」や「買いたたき(第1項第5号)」をしないことを約束する部分です。また、契約は口頭ではなく、書面で行うことを約束します。

②型管理などのコスト負担」とはなにか

契約のひな形を参考に型取引を行い、不要な型の廃棄を促進するとともに、下請事業者に対して型の無償保管要請を行いません。

発注者が受注者に対して、長期間にわたり使用されない型を無償で保管させ、また、当初想定していない保管に伴うメンテナンス等を発注者の一方的な都合で行わせることは、下請法上の「不当な経済上の利益の提供要請」に当たり、問題となります(下請法第4条第2項第3号)。そういうことはしない、という約束がここに書かれていることですね。

なお、ひな形の注釈にもありますが、型とは、金属、プラスチック、ゴム、ガラス等の素材を、それぞれ目的とする製品の成形加工用に使用される金型のことです。型を活用した取引を行っていない場合には、除外してください。

「③手形などの支払条件」とはなにか

下請代金は可能な限り現金で支払います。手形で支払う場合には、割引料等を下請事業者の負担とせず、また、支払サイトを60日以内とするよう努めます。

これは下請法における「下請代金の支払遅延(第1項第2号)」に関連する部分です。 下請代金は、受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないと下請法違反になります。このひな形では「支払サイトを60日以内とするよう努めます」と書いていますが、下請法適用企業の場合は努力目標ではなく義務なので、「努める」という弱い表現ではダメだと思います。(「支払サイトを60日以内を厳守する」などに書き換える必要があるでしょう)

④知的財産・ノウハウ」とはなにか

知的財産取引に関するガイドラインや契約書のひな形に基づいて取引を行い、片務的な秘密保持契約の締結、取引上の立場を利用したノウハウの開示や知的財産権の無償譲渡などは求めません。

これは下請法から少し離れ、独占禁止法における優越的地位の濫用に関するものだと思われます。発注側が受注側に対して、ノウハウ開示強要したり、名ばかり共同研究を強いたり、特許出願干渉したり、知的財産権無償譲渡強要したりするようなことはしませんと約束をする部分です。

⑤働き方改革等に伴うしわ寄せ」とはなにか

取引先も働き方改革に対応できるよう、下請事業者に対して、適正なコスト負担を伴わない短納期発注や急な仕様変更を行いません。災害時等においては、下請事業者に取引上一方的な負担を押し付けないように、また、事業再開時等には、できる限り取引関係の継続等に配慮します。

政府が働き方改革に取り組んでいますが、発注側の働き方改革に向けた取組の影響が、受注側に対して負担となって押し付けられることは望ましくありません。例えばですが、短納期発注を行い、取引の相手方が休日勤務を余儀なくさせ、人件費等のコストが大幅に増加するにもかかわらず 、通常発注の単価と同一単価を一方的に定めるようなことが該当します。こういうことはしません、という約束ですね。

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