おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
10月25日の時事通信記事によると、給付金二回目・再給付について「3次補正編成で議論になるとの見方は消えていない」と報じました。衆院解散を想定した国民へのアピール材料づくりとの見方を記事では示しています。詳しく解説します。
『与党、歳出圧力じわり 早期解散の可能性にらみ?』
時事通信の記事の該当部分を引用します。
14日には自民党若手の長島昭久、武部新、渡嘉敷奈緒美各議員らが菅義偉首相と官邸で面会。「消費をもう一度呼び起こすべきだ」として、国民1人当たり5万円を無条件で支給するよう申し入れた。
(中略)
5万円給付も自民党内は「スタンドプレー」(政調幹部)と冷ややかな反応が多かった。ただ、申し入れたのは二階俊博幹事長率いる二階派の若手ら。首相も「そういう方向で頑張る」と前向きな反応を示したとされ、「3次補正編成で議論になる」(同派幹部)との見方は消えていない。
(10月25日、時事通信記事より。赤字筆者)
5万円給付は自民党若手議員の提案
上記の記事中にある「5万円給付」とは、自民党有志グループ(経世済民政策研究会)が首相に対して行った政策提言の一つです。第二次補正予算の予備費で特別定額給付金5万円を追加支給し、さらに第三次補正予算で特別定額給付金の継続と、二段階に分けて特別定額給付金を給付する提言を行っています。下記に提言書のコピーを引用します。
これはあくまでも有志による提言にすぎませんが、時事通信記事でも言及されているように、首相も「そういう方向で頑張る」と前向きな反応を示したと言われています。
「菅首相の誕生を後押しした二階氏」
「5万円給付」の政策提言を行った自民党有志グループ(経世済民政策研究会)は、二階派の若手議員だと時事通信記事で言及されています。二階派とは、二階俊博幹事長の派閥ですが、二階幹事長は「菅首相の誕生を後押しした」と言われています(9月16日東京新聞記事より)。東洋経済オンライン記事では「菅・二階連合」だとも呼ばれています。
こうした二階幹事長との"蜜月"が、首相が有志グループの提案に対して「前向きな反応」を見せた理由の一つかもしれません。どういう背景から二階派の若手議員の提言書が提出されたかはわかりませんが、首相も二階俊博幹事長の派閥の提言に対して無下に扱うようなことはしないでしょう。
ただし「給付金二回目・再給付はない」との報道も
ただし、このような報道とは裏腹に、「給付金二回目・再給付はない」とする報道もあります。
10月9日ロイター通信によると、下村自民政調会長が「家計への再度の給付金については、一律給付も対象限定の給付もいずれも念頭にない」と述べたことを報じています。
政府は、コロナ対策として家計への一律10万円給付金を実施したが、下村氏は「考え方としては、岸田前政調会長が提案した所得制限をかけての給付という考え方が正しいと思う」と述べた。ただ「デジタル化の遅れで給付金の受け取りに3カ月も要し、スピード感に欠けていたことを考えれば、必要な時点で届かなければ意味がない」とした上で、「限定給付も一律給付も今時点では考えていない」と述べた。
(10月9日ロイター通信記事より。赤字筆者)
10月16日には共同通信記事が、麻生財務相が国民一律に給付金を再支給することに否定的な考えを示したことを報じました。
麻生太郎財務相は16日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルス対策として国民一律に給付金を再支給することへの考えを問われ「特別定額給付金は緊急事態宣言が全国に拡大したことを踏まえて行った。宣言が解除されている現在とは状況が異なる」と述べ、否定的な考えを示した。
(10月16日共同通信記事より)
10月23日の毎日新聞記事では「一方、全国民一律の現金給付は実施しない方向だ」と書かれています。
新型コロナワクチンの接種を希望者全員が無料で受けられるようにするための医療機関への報酬費や、現在12月末までとなっている雇用調整助成金の特例期限延長に関連する予算などが検討される見通し。公明党が要求している、旅行需要喚起策「Go Toトラベル」の延長や、大学受験生らに2万円を支給する案なども論点になりそうだ。一方、全国民一律の現金給付は実施しない方向だ。
(10月23日の毎日新聞記事より)
こうした否定的な報道がある中、10月25日の時事通信記事は、含みを残した記事になっています。解散を睨んだ観測気球なのか、対抗する派閥に対する牽制なのかはわかりませんが、今の時点では確かなことは何も決まっていないといってよいでしょう。