おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です!
さあ5S活動をやろう!とトップが呼び掛けても、なかなか現場は行動しないものです。
私の経験則から言うと、現場は「悪意があって行動しない」のではなく「やったほうがいいのはわかるけれども、忙しくてそれどころではない」というケースのほうが多いのではないでしょうか。もちろん「こんな活動やってられるか!」と反発する人もゼロではありません。
最低限の負荷で、現場をその気にさせる方法はないものでしょうか?そういう時僕は「20分間の捨て活」というものをおススメしています。
「20分間の捨て活」とは
整理(いるものといらないものを分け、いらないものは捨てること)を20分でできるところまでやる、という方法です。具体的には次のようなプロセスで実施します。
ステップ1:赤テープを貼る(20分)
- 全社員を5~6人程度の小グループにわける(※全員参加が原則です。職場単位で編成することが望ましい)
- グループごとに、いらないものを探す場所(担当場所)を決める。基本的には業務の持ち場を担当場所とする
- 朝礼後など20分間限定で「持ち場へ行き、いらないものに赤テープを貼ってきてください」と指示をする
- グループは、いらないものに赤テープ(100円ショップで売っているビニールテープでよい)を貼る
- 20分経ったら強制終了
ステップ2:赤テープを貼ったものを移動させる(20分)
ステップ2は、ステップ1でテープを貼ってから1カ月後くらいに実施します。もしステップ1でテープを貼ったものが、この1カ月以内に現場で必要になった場合は、赤テープをはがして使用してもよいのです。そう周知をしておきます。
そして1カ月後、ステップ2を実施します。ステップ2はかんたんです。グループで赤テープを貼ったものを、どこか定められた場所に動かすだけです。これも20分限定でやります。移動先はゴミ捨て場でよいでしょう。もし捨てることに抵抗感を示すようであれば、一時保管場所へ移して、さらにもう1カ月くらい置いてから捨てるようにします。
「20分間捨て活」の何がいいか?
「20分間捨て活」は、比較的手軽に達成感を味わうことができるのが最もよい点です。なぜなら「捨てる」という作業は、結果が見えやすいからです。今まで使わなかったものが現場からなくなってすっきりしたという形で結果が見えます。また、全グループから集められた「不用品の山」という形で結果が見えます。このような結果を見ると「自分たちがよくぞここまで不用品を集めたものだ」という達成感が生まれます。
環境整備(5S・3S)に限りませんが、何らかの活動をする際には、最初にこの達成感を味わせてあげることが重要です。20分間であればそれほど負担にはなりませんし、朝礼後すぐにとりかかるのであれば、全員での実施もしやすいです。一度達成感を味わうと「もう少し何かできるんじゃないか」とか「もっとこうしたい」という気持ちが従業員に生じやすくなります。そうすると、次のアクションにもつながりやすいのです。
ここで重要なのは、不用品を捨てつくして現場をきれいにしつくすことが目的ではないということです。あくまでも、最低限の負担で最低限の結果を見せてやり、活動に対する達成感を味わせることが目的です。
結果がでない活動はつらい。だから結果を見せる。
なぜこういうことを最初にするかというと、結果がでない活動は、やっているほうも辛いからです。勉強をしてもテストの点が上がらなければ辛いですし、スポーツをしていてもタイムが縮んだり試合に勝てなければ辛いでしょう。結果がでなくて辛いという状況になると、どんなに必要なことであっても、人はその活動に対する興味を失ってしまいます。だからまずは結果が出るようにおぜん立てをしてあげるわけですね。
実際、僕が環境整備の支援をするときは、この「20分間捨て活」から始めます。ある会社では「すごく片付いてすっきりした。今度は手つかずの倉庫をみんなでやろう」ということが自然に話し合われ、自主的に倉庫の整理に着手しました。こうなれば、活動は自然と自走するようになります。
経営者や上司、コンサルタントの役割は、やみくもに「ここ汚いじゃないか」と指摘して回ることではなく。こういうおぜん立てをすることだと僕は思っています。