ものづくり経営革新等支援機関

【謝罪】事業再構築指針「新分野展開」に対する僕の解釈が誤っていました

https://imamura-net.com

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

何人かの方から指摘を受け、「新分野展開」についての僕の解釈が誤っていたことがわかりました。ここにお詫びを申し上げるとともに、ちゃんと指針の定義に立ち返って、正しい理解を試みたいと思います。指針チェックリストも再ダウンロードをお願いします。

動画でも解説しています(無料・登録不要)

「新分野展開」に対する僕の解釈が誤っていたことを謝罪します&動画・記事は削除・修正しました

YouTubeやSNSで、僕の「新分野展開」に関する解釈に対して疑問を数名の方からいただきました。ご指摘を受けて、自分が誤読していることにようやく気が付きました。あらためてご指摘いただいた方には感謝申し上げるとともに、当方の浅い理解を晒したことをお詫び申し上げます。誤った解釈が流布しないよう、ブログ記事は修正をした上、YouTube動画は公開を止めました。YouTube動画は、後日修正版をアップする予定です。

「新分野展開」の定義を再確認する

さて、「新分野展開」の解釈が間違っていたのであれば、ちゃんと指針の定義に立ち返って、正しい理解を試みたいと思います。まずは指針における「新分野展開」の定義を再確認しましょう。

新分野展開とは、中小企業等が主たる業種(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業をいう。以下同じ。)又は主たる事業(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業をいう。以下同じ。)を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出することをいう。

「事業再構築指針」P1より)

長くわかりにくい文章ですが、短くまとめると、この文には3つの要素があります。

①「主たる業種」または「主たる事業」を変更することなく、②新製品製造または新商品・新サービスを提供し、③新たな市場に進出する。

ということです。そして解釈の上で最も注意をしなければならないのは「①「主たる業種」または「主たる事業」を変更することなく」の部分でしょう。僕も確固たる自信はないのですが「AまたはBを変更しない」という表現は、「Aも変更しないし、Bも変更しない」と理解するのが最も自然だと思いますがどうでしょう。法律の専門家の方で、この解釈に異議がある方は遠慮なくご指摘下さい。

その解釈に立てば「主たる業種も変更しないし、主たる事業も変更しない」と指針は言いたいのではないかと思います。

では、主たる業種も変更しないし、主たる事業も変更しない、とはどういう意味でしょう。まずは下記のパターンは、主たる業種を変更しない例と言えます。下記のパターンでは、もともとの主たる業種(売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業)はAだったとします。この会社は業種Aの売上構成比が70%で、その他にも業種Bと業種C、業種Dで業を営んでいるとします。業種B、C、Dの売上構成比はそれぞれ10%とします。

業種Aの売上構成比は70%で、「主たる業種」になっています。これが変更しなければよいので、例えば事業再構築として新業種Xにおいて新製品を投入し、3~5年後に新製品の売上高が総売上高の10%以上になったとしても、主たる業種はAのままであれば、これは「新分野展開」の要件にあうと解釈できます。別の観点から言うと、主たる業種がAのまま変わらない(主たる業種が変更されない)限りは、補助金をもらってやろうとしている新製品の投入が、業種AであろうがBであろうがCであろうがXであろうが、どの業種における取組であっても「新分野展開」に該当するのではないかとも読めます。(ただし事業再構築で取り組む業種で投入する新たな製品は、3~5年後に総売上の10%以上にならないといけません。業種における売上構成比ではないことに注意です)

今の例は「業種」の例ですが、これが「事業」であっても同様の考えでよいと読めるのはないかと思います。主たる事業がAのまま変わらない(主たる事業が変更されない)限りは、補助金をもらってやろうとしている新製品の投入が、事業AであろうがBであろうがCであろうがXであろうが、どの事業における取組であっても「新分野展開」に該当するのではないかと思います。(ただし事業再構築で取り組む事業で投入する新たな製品は、3~5年後に総売上の10%以上にならないといけません。事業における売上構成比ではないことに注意です)

「新分野展開」でも事業が変更していいのであれば、「事業転換」とどう違うのか

次にわからなくなるのは、じゃあそれは「事業転換」とどう違うの?ということです。まずは指針における事業転換の定義を見てみましょう。

事業転換とは、中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいう。

「事業再構築指針」P2より)

先程見た新分野展開での例は、主たる事業が変わらないという例でしたが、事業転換では主たる事業が変更になります。図にすると下記のような感じでしょうか。これまでは主たる事業がAだったけど、事業再構築として取り組んだ新しいこと(下記の図では事業X)が、3~5年後に構成比最大になる、ということです。主たる事業が変更になりさえすれば指針の定義を満たせそうですので、事業再構築として取り組む新製品の投入は事業BでもCでもDでもいいと解釈することも可能です。

「新分野展開」でも業種が変更していいのであれば、「業種転換」とどう違うのか

では「業種転換」はどういうことを指すのでしょうか。指針における業種転換の定義を見てみましょう。

業種転換とは、中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することをいう。

「事業再構築指針」P3より)

これも図にすると下記のような感じでしょうか。これまでは主たる業種がAだったけど、事業再構築として取り組んだ新しいこと(下記の図では業種X)が、3~5年後に構成比最大になる、ということです。主たる業種が変更になりさえすれば指針の定義を満たせそうですので、事業再構築として取り組む新製品の投入は業種BでもCでもDでもいいと解釈することも可能です。

この解釈でいいかどうか自信がありません。最終的にはコールセンターで確認が必要と考えます

改めて指針を読み込んでみて考えてみましたが、この解釈で本当に合っているかどうか、僕にも正直なところ自信がありません。「専門家のくせにそのくらいもわからないのか!」と怒られそうですが、はじめて出てきた概念ですから、解釈に疑問があればきちんと中小企業庁の公式な回答を見て判断するほうが安全だと考えます。

中小企業庁に電話しても回答してくれないと思いますので、後日設置予定のコールセンターで確認をすることになるでしょうか。コールセンターの担当者も即答ができるかどうかわかりませんが……。

当社が今できることとして、この解釈であっているかどうかを「中小企業等事業再構築促進事業 質問フォーム」に投げかけました。運が良ければ、後日Q&Aとして回答してもらえるかもしれません。気になる方がいらっしゃれば、質問フォームに同様の質問を投げかけていただければ……と思います。(送られた質問のうち、よくあるご質問についてはQ&Aを作成してくれるとのことですので……)

それにしても非常に理解が難しい指針です。自分の理解力のなさを棚に上げるつもりはありませんが、この指針をどれだけの人が「正しく」理解できるのか、疑問ですね。

  • B!

最近の人気記事

1

「事業再構築補助金」は制度開始から3年目を迎えました。多くの中小企業に知られるようになった事業再構築補助金ですが、このページでは2023年の制度の全容を10分でわかるようにまとめて解説します。 「事業 ...

2

「ものづくり補助金」は制度開始から11年目を迎えました。中小企業政策で最もよく知られているといってもいい「ものづくり補助金」ですが、このページでは2023年の制度の全容を10分でわかるようにまとめて解 ...

3

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 先日、納税地の所轄税務署から「消費税課税事業者届出書の提出について」という文書がきました。個人事業主は、ある期間の課税売上高が1,00 ...