おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
事業再構築補助金の審査項目は全部で13あります。一つずつ解説をします。今回は政策点⑤について解説します。
事業再構築補助金審査項目は動画でも概説しています(無料・登録不要)
事業再構築補助金審査項目「政策点」とは何か
そもそも「政策点」とはどういう位置づけの審査項目なのでしょうか。事務局が公開した動画「中小企業等の思い切った事業再構築への挑戦を支援 事業再構築補助金のご案内 =実践編=」にて、中小企業庁経営支援部長村上敬亮氏は下記のように説明をしています。
基本はここまで(事業化点と再構築点)で(採択が)ほとんど決まります。ですが、いくつか政策的に、今、政権をあげてデジタルとカーボンニュートラルってやっていますんで、これDXで考えるとすごいこと言っているよねと、コロナ禍のV字回復の中でこれおもしろいねとか、ニッチな分野でこれちょっとグローバルニッチトップっていうんですけど、世界のトップ取れちゃうかもとか、それからこれ地域引っ張るよねとかいうようなやつは、そのチャレンジは買おうと言うところは逆転ありと、いうふうにしようと思っている(後略)(動画39:08ごろより)
当社の解釈としては、行政として政策的に重要視しているものと合致する取り組みであれば加点をするという審査項目といえます。村上氏は「基本はここまで(事業化点と再構築点)で(採択が)ほとんど決まります」と説明をしているところから、政策点の得点配分はもしかしたら事業化点や再構築点の得点配分と比べて低いのかもしれません。
事業再構築補助金審査項目 政策点⑤
異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。
この審査項目は個々の事業者が連携して遂行する事業である場合の事実上の加点項目
この審査項目は文字だけを読んでいても何を書いているのかあまりイメージが沸かないのですが、事業再構築補助金事務局の公式動画において、中小企業庁の部長さんが次のように解説をしています。
5番目は僕が「スイミー戦略」と呼んでいるやつなんですけれども、連携して取り組むと。先程、ドラゴンから吐き出された小魚が、スイミーさんのように、みんなでイワシの大群のようにチームを組んで戦うと。誰か言い出しっぺになって、みんなでやろうねっていうふうに、でしかもそれぞれの人が2/3、6,000万円にチャレンジしようねっていうと、実がすごい大きなプロジェクトが作れるんです、この補助金。なのでぜひその類型にチャレンジできる場合は、チャレンジしていただけると、スイミー型……束ね型取り組みについても逆転のチャンスありと、そういう考え方で審査をすると。
要は、個々の事業者が連携して遂行する事業である場合の事実上の加点項目と当社では解釈しています。事業再構築補助金の電子申請「8.補助事業実施体制」では、次の3つの類型が選択できるようになっています。下記の3つの類型のうち、1または2を選択した場合は加点されるということだろうと思われます。
- 複数の事業者が連携して取り組む事業であり、個々の事業者がそれぞれ本事業に応募する
- 代表となる者が複数の事業者を束ねて1つの申請として応募する
- 上記のいずれでもない
「スイミー戦略」とはなにか
唐突に「スイミー戦略」とかいう馴染みのない用語がでてきて戸惑う人もいるでしょうが、、事業再構築補助金事務局の公式動画には下記のような図でも示されています。スイミーというのはレオ・レオニ氏の絵本の主人公のことで、日本では谷川俊太郎氏が翻訳したことでも有名ですね(昔も今も教科書にも載ってますね)
このスイミーと補助金に何の関係が?といぶかしがる気持ちも湧いてきますが、またこれについては別の動画(背景編)で中小企業庁の部長さんが解説しています。当社なりにものすごく端的に要約しますが、大手メーカーの下請の製造業のような企業をイメージしてください。これまでは親会社(大手メーカー)の言われるがままにものづくりをしていた中小企業が、もう親会社に頼ることなく、中小企業同士が連携をして新たなことに取り組んでいくことを「スイミー戦略」と名付けているようです。ですので、こうした取り組みをする企業に対しては加点をするよ、ということなのでしょう。
中小企業庁はこうした中小企業同士の連携を促進する施策が大好きですね。今はコロナ禍で状況が変わってきていますが、かつては「産業の空洞化」ともいわれ、大手企業が海外へ生産拠点を移すことが活況でした。親会社の海外移転に伴って自社も海外進出できない企業は系列から放り出される形になるわけですが、そうした企業が新たな活路を見出してほしいという背景から、こうした中小企業連携の施策を古くからとってきたのだと思います。
「スイミー戦略」という話を動画の解説どおりに素直に読むと、この審査項目の対象は主には製造業で系列取引をしている企業で、今後は独立独歩の経営をしていきたいと思う企業で、さらに中小企業同士が連携をしたいと思っている企業というかなり狭い範囲になるでしょう。こうした連携の上での取り組みは「船頭多くして船山に登る」になりかねないので、補助金がもらえるからと飛びつくと痛い目に合うと思います。