おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
事業再構築補助金事務局は、「事業再構築補助金第1回公募の結果について」という資料を公開しています。1次公募の応募と採択結果を様々な面から分析した資料ですが、この資料を基に、当社が業種別・都道府県別・認定支援機関別採択率を割り出しました。
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公式資料「事業再構築補助金第1回公募の結果について」はこちら
事業再構築補助金1次公募 採択結果の全体像
まずは1次公募の採択結果の全体像を見ていきましょうか。この表は、応募類型別に応募件数、うち申請要件を満たした件数、採択件数、そして採択率を示したものです。この表は、公式資料の1ページ目に掲載されている表と同じものです。
まず全体として22,231件の応募がありました(これが応募件数)。うち、申請要件を満たした件数が19,239件ですね(これが申請件数)。つまり要件を満たさないまま申請をしたものが2,992件もあったということです。申請全体の13.5%が要件を満たしていないということですので、要件はしっかり読んで申請をしましょう。「要件は満たしていないけどダメ元でやろう。採択されたらラッキー」という考えでは、ここで確実に弾かれます。
そして全体では採択件数が8,016件ですかね。よって採択率は、応募件数に対しては36.1%、申請件数に対しては41.7%となりました。
採択率4割前後といわれると、ものづくり補助金と同レベルなので、まずまずの高さかなという印象はありますが、内訳を見ていくとちょっと事情が異なるのがわかります。中小企業特別枠の採択率は、応募件数ベースで55.3%だったのに対し、中小企業通常枠は応募件数ベースで30.1%でした。25ポイント以上も開きがあります。特別枠をかなり優先して採択されたことがわかります。
中小企業通常枠における応募件数ベースの採択率は30.1%ですが、特別枠で不採択だったけれども、再審査されて通常枠で復活採択されたという申請者も少なからずいるでしょうから、純粋に通常枠で申請をして採択をされたという企業の採択率は、3割を切っているのではと思われます。なお、特別枠は現在公募中の2次公募をもって終了となりますので、3次公募以降はまたちょっと事情が変わってくるかもしれませんね。
事業再構築補助金1次公募 業種別採択率
続いて、業種別の採択率を推定してみたいと思います。「事業再構築補助金第1回公募の結果について」の2ページ目に、「業種別の応募と採択割合について」としてこのようにスライドがあります。このスライドでは、応募件数に対する業種別の構成比と、採択件数に対する業種別の構成比が明示されています。応募件数と採択件数は、先程お見せした表でわかりますので、ここにある構成比をかけ合わせると、業種別の応募件数と採択件数が算出できます。この方法で、業種別の採択率を割り出してみます。
結果はこのようになりました。おそらく小数点の繰り上げ、繰り下がりの問題でしょうけど、この方法で割り出された推定の応募件数と推定の採択件数が、公表された数値と微妙に合いません。しかし全体的な傾向を掴む上では誤差の範囲ですので、このまま分析することをご容赦ください。
これを見ると製造業が最も高い49.3%で、ついで宿泊業・飲食サービス業、教育・学習支援業という順で採択率が高いようです。ただしこの結果をみて「おおそうか、製造業が高いのか。うちは製造業だから、じゃあこの補助金に申請すれば高い確率で採択されるな」と判断するのは、ちょっと早いと思います。というのも、この公表データは、この業種が何の業種なのかを示していません。事業再構築補助金では、現在と将来の業種・事業が変わることを想定していますが、この資料の言う「業種」とは、事業再構築前の業種なのか、事業再構築後の業種なのかが明確にはわかりません。したがって可能性としては、これまで飲食業を営んできたけど、立ち行かないので食品製造業に事業転換する企業などが含まれている可能性もあります。データの定義がわからないので、あくまでも参考にとどめておいてください。
事業再構築補助金1次公募 都道府県別採択率
次に、都道府県別の採択率を推定してみたいと思います。都道府県別の応募件数、申請件数、採択件数は「事業再構築補助金第1回公募の結果について」の4ページ目に明記されています。
これを基に、採択率を割り出してみます。採択率だけではなく、不備率も求めてみました。不備率とは、「(応募件数ー申請件数)÷応募件数」で算出したもので、応募件数のうちどれだけが要件を満たさないものだったのかを示しています。
いろんな感想が浮かんでくるんですが、応募件数に対する採択率としては、秋田県の47.6%というのが、最も高い採択率でした。応募件数に対する採択率は全体平均が36.1%ですから、秋田県は全体平均よりも14ポイントも高くなっています。一方で、九州には応募件数に対する採択率として20%台の県がいくつか見られます。通常枠と特別枠をミックスした採択率でも20%台なのですから、これらの県については通常枠の採択率は相当低いのではないかと推察されます。
こうした都道府県差が出る理由はよくわかりません。審査の質の違いなのか、申請者の属性の違いなのか、加点の有無の違いなのか、それともその全てなのか、というところでしょうか。
事業再構築補助金1次公募 認定支援機関別採択率
最後に、認定支援機関別の採択率を推定してみたいと思います。「事業再構築補助金第1回公募の結果について」の7ページ目に、「認定支援機関別応募・申請・採択状況」としてこのようにスライドがあります。
このスライドでは、認定支援機関別に応募件数、申請件数、採択件数が表示されていますので、この数値をもとに認定支援機関別の採択率と不備率を割り出してみます。
応募件数に対する採択率としては、公益財団法人の47.6%というのが、最も高い採択率でした。公益財団法人ってどんな機関なの?という疑問が湧いてきますが、これは各都道府県や市町村がもつ中小企業支援センターのことを指します。公益財団法人は不備率も最低でしたので、優秀なスタッフがそろっているのでしょうけど、支援件数が相対的にはかなり少ないです。最も多くの件数を手掛けているのも関わらず、不備率も採択率も良好なのは、地銀ですね。
反面、税理士さんは支援件数が金融機関についで多いにも関わらず、不備率も高めで、採択率も20%台です。ちょうど1次公募の時期は確定申告の時期とも重なっていたこともあり、この補助金のように複雑な制度への対応が難しかったのかもしれません。
当社としては、数字から見えること以上にあまり深く立ち入った分析はしません。「どうしてこうした数字なのか」ということについては、皆さんでそれぞれ思いを巡らせてみて下さい。