ものづくり経営革新等支援機関

ものづくり補助金の審査項目を読む(課題の解決方法、優位性編)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

今日はものづくり補助金の審査項目のうち、技術面③について解説をします。課題解決方法と優位性に関してです。

審査項目にはどう書いているか

平成29年補正予算「ものづくり・商業・サービス経営力向上補助金」公募要領28ページ(2)技術面③には、次のように書かれています。

課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込めるか。

これもシンプルであり、あいまいで抽象的な書きっぷりですね。具体的にはどういうことを書けばよいでしょうか?

「課題の解決方法」は設備投資の内容のこと

昨日も書きましたが、「課題」は「中小ものづくり高度化法」の指針や「中小サービス生産性向上ガイドライン」に書かれている課題だと置き換えて考えればわかりやすくなります。

そして技術面の審査項目③で明確にすることが求められている「課題の解決方法」とは、補助金を活用して購入したい設備投資のことと絡めて書くとストーリーが組みやすくなります。例えば、

課題:取引先から、〇〇の加工についてもっと精度を高めてほしいといわれているので、それに取り組む必要がある

課題の解決方法:高精度の加工を実現できる設備

ということですね。

ただし解決方法は、明確・妥当・優位性がなくてはならない

ただし審査項目をよく読むと、課題の解決方法は「明確かつ妥当であり、優位性が見込めるか」と書かれています。したがって、課題の解決方法が明確、妥当、優位性がなくてはならないということですね。

明確であるためには「この設備が解決手段である」とはっきり書くことが必要でしょう。そして妥当であるためには、この設備がなぜその課題を解決するのかということを、説明してあげる必要がありますね。

優位性はどうでしょう?実はこの審査項目では、この「優位性」の取り扱い方が難しいところです。

課題解決方法の優位性とは何か

優位性という言葉の説明は、公募要領の20ページから21ページにかけてにあります。ちょっと引用します。

本事業を行うことによって、どのように他者と差別化し競争力強化が実現するかについて、市の方法や仕組み、実施体制など、具体的に説明してください。(28ページ:審査項目(2)③、④参照)

ここにあるように「優位」とは、他者(競合他社)との差別化、競争力強化につながるという意味だと推察できますね。このことから「課題の解決方法についての優位性」については、下記の2つの解釈が成り立ちます。

  1. 課題解決方法そのものが、他社と差別化されているか・他社と比べて優れているか。
  2. 課題を解決した後に実現できる生産プロセスや新製品が、他社との差別化、競争力強化につながるものとなっているか

審査項目を文字通り解釈すると、1番目の解釈が順当だとは思いますが、公募要領の20ページに書かれている解説を見ると2番目の解釈も可能です。これは、補助金の申請上は、どちらも盛り込んだほうが、リスクを低減するでしょう。

それぞれを詳しく解説します。

課題解決方法そのものが他社と差別化されているか

例えば「取引先から、〇〇の加工についてもっと精度を高めてほしいといわれているので、それに取り組む必要がある」というのが過大だったとすれば、課題の解決方法は「高精度の加工を実現できる設備」などになります。しかし審査員に

「お金を出して設備さえ買えば、誰だってこういう作り方(生産プロセス)ができるようになるんじゃないの?」

と思われてしまうと、点が採れません。課題解決方法そのものも他社と差別化することが求められているわけですから、自社の強みなどと絡めて、次のように書くことが必要です。

高精度の加工を実現できるマシニングセンタを購入する。これによりボトルネックであった穴あけ工程の生産性が高まり、外注工程もすべて内製化できる。当社は材料調達から加工、検査、組み立てまで一貫して社内でできるのが強みであるが、穴あけ工程の内製化ができることで、完全な社内一貫生産が実現できる。同業他社で、当該製品の完全内製一貫生産ができる企業はほかにはない。

ここでは設備に優位性があるというのではなく、設備を含めた完全内製一貫生産に優位性があるという表現になっています。

課題を解決した後に実現できる生産プロセスや新製品が、他社との差別化、競争力強化につながるか

上記を踏まえたうえで、次の一文を挿入することによって、課題解決後の生産プロセスの差別化要因を強調することができます。

高精度の加工を実現できるマシニングセンタを購入する。これによりボトルネックであった穴あけ工程の生産性が高まり、外注工程もすべて内製化できる。当社は材料調達から加工、検査、組み立てまで一貫して社内でできるのが強みであるが、穴あけ工程の内製化ができることで、完全な社内一貫生産が実現できる。同業他社で、当該製品の完全内製一貫生産ができる企業はほかにはない。これにより、当該製品の加工については、他者と比べて大幅にリードタイムの短縮が可能となり、最短で注文翌日に納品できる体制が構築できる。

ここまで書けると、かなり説得力が高まりますね。

まとめ

  • 何が課題解決手段であるかを明確に書く
  • この設備がなぜその課題を解決するのかということを、わかりやすく説明する
  • 課題解決方法そのものが、他社と差別化されているか・他社と比べて優れているかを明確にする
  • 課題を解決した後に実現できる生産プロセスや新製品が、他社との差別化、競争力強化につながるものとなっているかを明確にする
  • B!

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