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事業再構築補助金「異質」なグリーン成長枠を徹底解説!

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

事業再構築補助金第6回公募から設けられたグリーン成長枠について解説をします。結論からいうと、事業再構築補助金といいながらも、かなり他の申込プランとは異質で、しかもキツい要件がたくさんある、ハードルのたかい申込プランであると当社では思っています。

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グリーン成長枠の補助率・補助額と他の申込プランの比較

ではグリーン成長枠の補助率・補助額と、他の申込プランの比較からやっていきましょう。

グリーン成長枠は、中小企業等は補助上限額が1億円、中堅企業は1.5億円と、他の申込プランと比べても格段に大きくなっています。補助率は、中小企業者等が1/2、中堅企業等が1/3ですね。金額だけを見れば魅力的にうつりますが、結構キツい要件が数々あります。

グリーン成長枠の固有要件について

最初の点が一番重要な点です。「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」というものにそった取組内容でなければダメというものです。

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」というのは、2021年6月に、経産省が公開した産業政策のことです。政府は「2050年にカーボンニュートラル」、つまり2050年までに温室効果ガスの排出を国全体としてゼロにすることを目的としているんですが、その実現に向けて国が民間企業の投資をバックアップしようとしているんですね。どういう事業に対してバックアップするか、ということを示したのがこの「2050年カーボンニュートラルに伴う成長戦略」というものです。

これは全部で14分野おいて、国が重点的にバックアップする事業を定めているのですが、各分野ごとに「現状と課題」が示されています。その「課題」の解決に資する取組であることが、このグリーン成長枠の申請要件です。これについては次のスライドでもう少し詳しく説明をします。

2点目ですが、売上高減少要件が課されません。この補助金は、コロナ以前と比較して、売上高(もしくは付加価値額)が一定以上減少していることが申請の要件なのですが、グリーン成長枠に関してはそれは求められないということです。そもそもこの補助金はコロナ対策の補助金だったはずなのですが、コロナの影響をうけていなくてもグリーン成長枠には応募できるようなんですよね。趣旨が違うんじゃないかという気もしますよね。なお、売上高減少要件は課されないですが、コロナ以前に比べて売上高が減少している場合は、そのことを示す書類の提出をすることもできます。売上高が減少していてその証拠書類も提出した場合に限りますが、グリーン成長枠で不採択だった場合似、通常枠で再審査されるようです。

3点目ですが、事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均5%以上の増加が求められます。通常枠など他の申込プランでは、付加価値額の年率平均は3%以上の増加なので、相当なレベルで儲かる事業でないとダメということですね。「2050年カーボンニュートラルに伴う成長戦略」には、そんなすぐには実用化できないだろうというものが「課題」として示されている場合があります。例えば航空機産業では「航空機の電動化」というものが挙げられていますが、航空機の電動化ってそんなすぐには実現できそうにないですよね。それを3~5年で、付加価値額の年率平均5%以上の増加を求められても、無理じゃないかという気もします。このあたりは「2050年カーボンニュートラルに伴う成長戦略」をしっかり読み込む必要がありそうです。

4点目です。研究開発・技術開発計画書又は人材育成計画書の提出が必要です。「2050年カーボンニュートラルに伴う成長戦略」に示された課題の実現のためには、関連する2年以上の研究開発・技術開発、または従業員の一定割合以上に対する人材育成を行うことが必要です。それについての研究開発・技術開発計画書又は人材育成計画書を提出しないといけません。さきほど、航空機の電動化の話をしましたが、技術的にもそんなに簡単に実現できるものではないので、研究開発をしないといけませんよね。どういう研究開発をするのか、ということを事業計画書とは別に、提出をしないといけません。こんな研究開発を2年かけてやって、そして3年目から付加価値額が年率5%以上もあがるくらい収益化できるって、ちょっと想像できないというのが本音ですね。むりじゃないでしょうかね。

5点目ですが、グリーン成長枠については、既に採択・交付決定をうけている事業者も申請が可能です。ただし制約が多数あります。まず、既に採択・交付決定をうけている事業者は減点されます。その上、別事業要件及び能力評価要件についても審査されるようです。別事業要件というのは、既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であることの説明をすることです。これが説明できなければさらに減点となるようです。また、能力評価要件というのは、既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があることの説明をすることのようです。これも説明できなければさらに減点となるようです。

グリーン成長枠に関する最後の点ですが、事業実施期間は交付決定日から14か月以内(ただし、採択発表日から16か月後の日まで)となっています。

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」14分野の課題

グリーン成長枠の申請要件でもある「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」14分野の課題とはどういうものでしょうか。まずこのスライドにある14の分野が、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で定められた分野です。

ここに、自社が取組んでいる分野があるから対象になるんじゃないか?と喜ぶのはまだ早いです。この14分野それぞれに、課題というものが「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で示されているのですが、その課題の解決に資する取組でなければダメ、と公募要領には書いています。

例えば、自動車・蓄電池分野というものがあります。うちの会社は自動車部品を作っているから、14分野に該当するだろう、と思うのは早計です。自動車・蓄電池分野の課題として、EV等の低価格化・インフラ整備、合成燃料の商用化に向けたコストと製造技術の確立、蓄電池の大量生産と性能向上という3つの課題が、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で示されています。これの解決に資するとりくみでなければならない、ということですね。この課題を見ていると、研究開発が必要そうだなあというイメージが湧いてきますよね。ですので、設備を入れて簡単にできるというものではなく、ある程度の研究開発が必要な取組であるというのも要求されているのだと思われます。こうした研究開発をクリアした後、3~5年で付加価値額が年率平均5%以上向上するような取組でなければなりません。

グリーン成長枠固有の審査項目

グリーン成長枠には、固有の審査項目があります。

まず最初の①は研究開発・技術開発をする企業も、人材育成に取り組む企業も共通の審査項目です。これは審査項目といいながら、グリーン成長枠の申請必須要件でもありますので、これは絶対に満たしていなければならないでしょう。

つづいて、研究開発・技術開発計画書を提出した場合は、②、③、④について審査されます。②は結構厳しくて、研究開発・技術開発の内容に新規性、独創性、革新性があるかということを求めています。革新性を求めるって、ものづくり補助金みたいですよね。もはやコロナ対策としてのこの補助金の意義はどこにあるのか、という疑問も湧いてきます。

そして人材育成に取り組む企業は、人材育成計画書を提出しないといけませんが、その場合は一番下の②、③、④について審査されます。もちろん、人材育成ならなんでもいいというわけではなく、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資するスキルアップのための人材育成です。したがって基本的には、技術者やエンジニア等のスキル向上が前提になっているんだろうと思います。

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