おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
環境法令解説シリーズ、今日は廃棄物処理法の中でも水銀使用製品の廃棄物処理について解説します。水銀に関する廃棄物の規制が厳しくなってきた背景も踏まえてお話します。
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水銀とその毒性について
省エネの一環として、蛍光灯をLEDに変えようとしている会社も、まだまだたくさんあると思いますが、蛍光灯を廃棄物として処理する場合は、ちょっと処分にも手間を要します。というのも、蛍光灯は水銀を使用しているものが多いからなんですね。水銀を含んだ廃棄物の処理方法については、5年ほど前の廃棄物処理法改正によって、管理を厳しくしなければならなくなりました。
どうして水銀に関する廃棄物の規制が厳しくなってきたのでしょう?これに答えるために、まずは水銀とその毒性について話をします。
水銀というのは、とても便利な物質で、蛍光灯や電池などの身近な製品にたくさん使われていたほか、工業製品や薬品の材料としてもよく使われていました。とても安くて便利な物質なんですね。ところが水銀が人の健康に大きな害を及ぼした公害事件がありました。それが水俣病です。水銀を含んだ工場の排水で海が汚染されたんですが、その汚染された海の魚などを食べた人が中毒となった事件です。50年以上も前に公式に確認された公害病なんですが、現在でも国の認定患者が3千人ほどいらっしゃいます。
この事件を契機に、水銀は人の健康に害を及ぼすということが認識されたんですが、水銀はとても便利な物質だったので、なかなか規制が進まなかったんですね。ようやく2013年に、熊本で国際会議が開かれ、世界各国が賛同して、水銀を規制しようということになりました。これが水俣条約なんですね。水俣条約は2017年に発行され、条約の締結国は水銀を厳しく管理しようということになりました。もちろん、水俣条約という名称は、水俣病の教訓を世界の人々と共有しようという意図でつけられています。
水俣条約をうけて廃棄物処理法も改正に
この水俣条約の締結を受けて、日本の法律も見直されることになりました。大きく変わったのは廃棄物処理法です。水銀は安くて便利な物質であるがゆえに、いろんな企業でも使われているんですね。蛍光灯や乾電池などはふつうにどんな会社でもあると思いますが、こうしたものがゴミとして排出されるときにも、もっと管理をしないといけないということで、条約発行直後の2017年10月に、新しい廃棄物処理法が施行されました。水銀を使っている製品などをゴミとして排出したり処理したりする場合のルールが、より細かくなったという感じでしょうか。
具体的には、廃棄物処理法改正によって、新しく廃水銀等、水銀含有ばいじん等、水銀使用製品産業廃棄物という区分ができました。
このうち、廃水銀等は特別管理産業廃棄物に分類され、より一層厳しい管理が求められています。廃水銀は、ふつうの企業から排出されることはほとんどないと思います。普通の企業がもっとも関係するのは、水銀使用製品産業廃棄物でしょうね。もっともメジャーなものとしては、使わなくなった蛍光灯、すなわち廃蛍光灯があります。蛍光灯を廃棄するときは、基本的には通常の産業廃棄物の廃棄方法と同じなんですが、水銀使用製品産業廃棄物として、普通の産業廃棄物よりもちょっと気を使って管理をしないといけなくなりました。
そもそも廃棄物というのは、法律上はこのような分類になっています。
事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類の廃棄物のことを「産業廃棄物」といいますが、水銀含有ばいじん等と、水銀使用製品産業廃棄物は、この産業廃棄物に該当します。一方、廃水銀等は、特別管理産業廃棄物に該当します。特別管理産業廃棄物のほうが、通常の産業廃棄物よりも厳しい基準を守って管理する必要があります。
明日は、多くの企業に関連をするであろう、水銀使用製品産業廃棄物の処理方法についてちょっと踏み込んで説明をします。