ものづくり経営革新等支援機関

ものづくり補助金の審査項目を読む(政策面② 資金調達)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

今日はものづくり補助金の審査項目のうち、政策面②について解説をします。

政策面とは

企業が申請する「ものづくり補助金」事業計画書の内容が、国の方針に沿っているかどうかを評価するポイントです。どんな補助金施策もそうですが、国として達成したい目標があって、それの実現のために「補助金」という手段で実施を促しているわけです。この「ものづくり補助金」も、中小企業の経営革新を促進したいからやっているんですね。単に、がんばる中小企業を応援するためだけに行われているわけではありません。

したがって、国の方針をより多く満たしているほうが、審査でも高評価が得られるというわけです。具体的にどういう方針を満たしているのがよいのかが、この「政策面」で明らかにされています。

政策面② 審査項目にはどう書いているか

平成29年補正予算「ものづくり・商業・サービス経営力向上補助金」公募要領28ページ(2)政策面②には、次のように書かれています。

金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか

この審査項目はシンプルで明確です。資金調達の見込みを書けばよいということです。

ズバリ下記のようなことを書くということですが、これだけで点数がもらえるとも思えません。少し考察をしてみたいと思います。

財務諸表面から見る資金調達の見込み

やはりまず考えられるのは、財務諸表から読み取れる資金調達の見込みがあるでしょう。これは一般論ではありますが、次のような企業には、金融機関は融資を控えるといわれています。

  • 本業で利益が出ていない企業(営業利益が、2期や3期にわたって赤字)
  • 債務超過
  • 借入金残高が月商の3~6倍以上
  • 流動比率や当座比率が低い(何%以下ならダメとは一概にはいえないが)
  • 自己資本比率が低い(何%以下ならダメとは一概にはいえないが)

なぜ金融機関からの資金調達が補助金の審査項目になっているかというと、補助金が後払いであることと関係があります。補助金が後払いだということは、機械装置の購入費用などは先に手当てをしなければなりません。その手当ての可能性がない企業に補助金を出しても意味がないからですね。

しかしこれは「政策面」の審査項目であることに注意

しかし単に財務諸表を見て、この政策面②の点数を決めるとは僕には思えません。なぜなら、この政策面とは前述の通り、国の方針と合致しているかどうかを見る項目です。単に財務諸表を見て判断するのであれば、事業化面①の審査項目である「最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか」を見れば十分なはずです。

「政策面」で資金調達の見込みをきくのには、何か意図があるはずです。可能性としては、資金調達に結びつく公的な制度などを利用しているかということが考えられます。

可能性① 事業性評価

「事業性評価」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?事業性評価とは、財務データや保証・担保の有無だけではなく、事業の内容や成長可能性、経営者の姿勢などを非財務データを評価して、金融機関が融資の可否の判断をすることです。ここ数年来、金融庁が推している融資可否の判断方法なんですよね。

ですので、この「ものづくり補助金」の申請書上でも、補助金をもらって取り組む事業の将来性や実現性のほか、企業の経営ビジョンや、それの実現に向けての経営者の思いなど、事業性の部分で評価できるポイントがあるかという観点で、審査をされている可能性もあります。

じゃあ申請対策上は何を書けばいいかと言われると悩ましいのですが、企業としての理念やビジョン、中期経営計画、経営者の経験や資質などの情報は記入しておいたほうがいいのではないかと思います。ちなみに僕が支援する場合は、経営ビジョンや中期経営計画の要旨のようなものを、必ず申請書に記入するように助言しています。

可能性② 認定支援機関の関与

もうひとつ可能性があるとすれば、認定支援機関の関与が明記されているかどうかでしょう。ご存知の通り、経営革新等支援機関という制度は、中小企業経営力強化支援法に基づく公的な制度です。この補助金でも、認定支援機関による確認書の作成が義務付けられていますよね。経営革新等支援機関の役割の一つに、金融支援というものがあります。中小企業の資金繰りの支援のことですね。経営革新等支援機関は、金融機関や税理士が中心なので、国としても財務面での支援を期待しているはずです。

ということなので、この経営革新等支援機関の関与が高い企業は、この政策面②で加点をされている可能性があります。

審査対策上は、技術面④や事業化面①で「体制」を記述することが求められていますが、その体制図や表の中に経営革新等支援機関も記述しましょう。そのうえで、認定支援機関がどういう役割で本補助事業に関与するのかを明確にしておきたいところです。

そのほかの可能性

経営革新計画の認定や経営力向上計画の認定、保証協会による保証の見込みといったことなどが評価の対象となっている可能性もあるかもしれません。まあ経営革新計画や経営力向上計画は「加点項目」のところで明記されているので、政策面②の審査項目とは別かもしれませんが。

自己資金で事業を行う場合、政策面②は加点されないのか?

審査項目には「金融機関」となっていますので、自己資金だからといって政策面②で加点されないとはいいきれません。そもそも、自己資金でまとまった額の投資ができる企業は、財務状態は良好に決まっていますからね。

しかし他の補助金制度では(創業補助金のことですが)、金融機関からの融資が前提になっているものなどもあるので、やはり金融機関から借りるというほうが、確実に点が採れるのかもしれません。

このあたりのことは、僕にはよくわからないというのが正直なところです。

まとめ

  • 財務諸表の面から融資可能企業であることが読み取れるということが前提
  • そのほか、事業性(理念、ビジョン、中計、経営者の姿勢等)が評価されている可能性
  • 経営革新等支援機関の関与が評価されている可能性
  • 自己資金だからといって加点されないとは限らない
  • B!

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