おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
7月27日、政府は脱炭素化等に向けて「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」の初会合を首相官邸で開催しました。今後10年で150兆円(うち20兆円は国債で調達して財政支出)の投資を行うようです。
GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議に関する記事はこちら
10年間で150兆円の投資を目的としたGX経済移行債(仮称)の創設
政府は、脱炭素社会(2050年までのカーボンニュートラルの実現?)を目指すため、今後10年間で官民で150兆円の投資を行うようです。
この150兆円の投資の内容については、政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」資料で、次のように述べられています。
東日本大震災の復興にかかる予算は2011年度から5年間で19兆円と見積もられていましたので、震災復興の規模のおよそ4倍程度の投資を行うということのようですね。相当大きな投資になるでしょう。
150兆円の財源の出どころは”国民”?
ただし150兆円の財源の出どころについて、今のところわかっているのは、150兆円のうち20兆円は「GX経済移行債」と呼ばれる国債で確保するということだけのようです。これについてはTBSが次のように報じています。
20兆円は「GX経済移行債」とよばれる国債、つまり国の借金で確保しますが、財源が決まっていません。 検討されている案の一つは、広く長く薄く国民に負担してもらうこと。 山口壯環境大臣 「東日本大震災の後の復興債に似たような格好になるかもしれない」
(2022年7月27日 TBSテレビホームページより)
時事通信のホームページには下記のように書かれています。今のところ考えられるのは、国民がこれらの財源を負担することになるという可能性です。
政府資金20兆円を賄うGX債は、将来の償還財源を明確にして発行する「つなぎ国債」を想定する。その財源候補の筆頭が、電気料金に上乗せされている「再生可能エネルギー賦課金」の活用だ。現在は再エネの固定価格買い取りに使われているが、買い取り期間が順次終了することで浮いた資金を充当する。ただ、電気代に占める賦課金の割合(20年度)は企業で16%、家庭で12%に上る。GX債の財源に転用されれば、今後も企業・家庭にとっては重い負担が続くことになる。
「移行債」とはなにか
そもそも「移行債」というのは何のことでしょうか。日本経済新聞には次のように解説されています。
中長期的な脱炭素へ移行するために発行する債券で、「ESG(環境・社会・企業統治)債」の一種。鉄鋼や化学など温暖化ガス排出量が多い重厚長大産業の利用が見込まれている。ESG債はほかにも環境関連の特定事業に資金の使い道を絞る「環境債」のほか、脱炭素目標の達成度合いで利率などが変わるタイプもある。
(2022年1月20日 日本経済新聞記事より)
つまりどういうことかというと、国は脱炭素化実現の投資費用をまかなうために、移行債を20兆円発行市、投資家に買ってもらうということです。国債を買った投資家は、債権の満期(3年とか5年とか10年後)に利息をつけてお金を返してもらうことになります。
その返すお金(元本や利息)は、所得税や法人税等の税金の上乗せで賄う(償還財源を確定する)と言うことなのだと思われます。
脱炭素化投資のために補助金も活性化する?
この20兆円の移行債を財源にして脱炭素化を進めるわけですが、そのための取り組みとしては補助金のばらまきもありうるでしょう。これについては朝日新聞が次のように報じています。
政府はまず年内に、今後10年間で官民あわせて150兆円超の投資を実現するためのロードマップをつくる。その後、GX債を発行して脱炭素化の事業に補助金を出すなどし、民間投資の呼び水にしたい考え。
(2022年7月24日 朝日新聞記事より)
これからの補助金業界は、GXがトレンドになるかもしれませんね。