おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛でうs.
内部監査レベルアップ講座「"顧客の苦情・クレーム"を内部監査する」というテーマでお届けします。内部監査という機会を活かして、苦情やクレームの処理に関するプロセスが適切なのか、ちゃんと効果を生んでいるかを確認するポイントを解説します。(全2回の1回目)
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顧客からの苦情やクレームの取り扱いに絞って述べている箇条
実はISO9001や14001では、顧客からの苦情やクレームの取り扱いに絞って述べている箇条は一つもありません。
絞って述べている箇条は確かにないんですが、規格のいろんなところにちらばって、顧客からの苦情やクレームについての要求が書かれています。まずはそれらを簡単に説明したいと思います。ISO9001の規格要求事項に従って解説をします。
箇条5.1.2の「顧客重視」
まずは箇条5.1.2の「顧客重視」のa)に書かれている内容です。
ここの黄色の文字の部分では、「お客さんが求めていることを一貫してみたすように、トップは責任を持ちなさい。」ということが書かれているわけですね。
苦情やクレームがあれば、それは、お客さんが求めていることみたしている状態とはいえませんから、苦情やクレームの対応についてもトップは責任をもちなさいよと言っているわけですね。
箇条8.2.1「顧客とのコミュニケーション」
箇条8.2.1「顧客とのコミュニケーション」の中でも苦情・クレームについて触れられています。
c)では、苦情を含む、製品及びサービスに関する顧客からのフィードバックの取得をやりなさい、と言っています。苦情・クレームがあればお客さんの話を聞きなさいと言っているわけですね。
上記はISO9001の条文ですが、ISO14001でも似たような箇条があります。ISO14001の箇条7.4では「環境マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションに必要なプロセスを確立し,実施し,維持しなさい」といっています。環境に関する苦情やクレームが外部からあることを想定して、必要なプロセス、つまり苦情・クレーム処理プロセスみたいなものを確立することになるでしょう。
箇条9.1.2「顧客満足」
箇条9.1.2にも苦情・クレームに関する要求事項があります。
黄色の文字で書かれていますが、ここでは、顧客のニーズ・期待が満たされている程度について監視しなさい、と言っています。
当然苦情やクレームがあれば、それもちゃんと監視しないといけませんよね。ところでISO14001でも似たような箇条があります。ISO14001でも、環境パフォーマンスに関して、測定、分析、評価をしなさいと言っています。規格の言う「環境パフォーマンス」には、利害関係者からの苦情やクレームも含まれると考えることができるでしょう。
箇条9.1.3「分析及び評価」
箇条9.1.3はさきほどの箇条の続きですが、箇条9.1.2で監視・測定したデータや情報を分析して評価しなさいと言っています。
苦情・クレームについても9.1.2にしたがって監視をしたはずよね。ただ監視をするだけではなくて、苦情やクレームについてのデータを分析して、評価までしないといけませんよね。
苦情やクレームに関して、具体的にはどんな分析と評価が考えられるでしょうか。例えば、今年1年間とか、この半期、四半期というスパンで起きた、苦情・クレームの数や種類の推移を分析する、みたいなことが考えられるでしょうかね。その他にも、どういう製品で苦情・クレームが多いのかとか、どういう作業で多いのか、誰が多いのか、いつの時間帯が多いのか、みたいな分析もできそうですよね。
箇条9.3.2「マネジメントレビューへのインプット」
そしてマネジメントレビューでも苦情・クレームを取り扱わないといけないでしょう。
箇条9.3.2では、顧客満足及び密接に関連する利害関係者からのフィードバックをトップに報告しなさいと言っています。これには苦情やクレームを含むと考えるのが自然でしょうね。ISO14001でも、マネジメントレビューでは「組織の環境パフォーマンスに関する情報」をインプットしなさいと言っていますので、利害関係者からの苦情やクレームは、やはりマネジメントレビューでトップに報告するのが望ましいと考えます。
箇条10.2「不適合及び是正処置」
そして最後です。箇条10.2.1では、苦情から生じたものも含めて、不適合はレビューして、原因の特定をして、修正と是正処置を実施して、有効性の検証をやりなさいといっています。
したがって苦情やクレームが起きた場合も、不適合報告書に記述して、原因分析や是正処置等を行うのがいいんでしょうね。