おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO14001:2015箇条6.1.2の解説をします。今日のテーマは環境側面なんですが、この環境側面という言葉はわかりにくいですが、とても重要なキーワードです。3回にわけてじっくりと解説していきたいと思います。
動画でも解説しています(無料・登録不要)
環境側面を決める際の考慮事項
では6.1.2の規格要求事項の続きを見ていきましょう。まずはこの黄色の部分です。環境側面を決めるときには、a)とb)を考慮に入れなさいということです。
a)はどういうことでしょうか。なかなか頭の中に入ってこない日本語ですが、要は、新しい製品やサービスを開発するときとか、製品・サービスの仕様変更などをするとき、または製品・サービスの作り方や提供方法を見直したときなどは、すみやかに環境側面と環境影響を決め直してね、ということです。
なにかの変更があったときには環境側面と環境影響を見直すというプロセスが確立されているべきでしょうね。
そしてb)は非通常と緊急事態についても考えなさいということです。
非通常というのは、設備などの立ち上げ時、停止時、保守・点検・清掃、故障など、通常の操業状態ではない状況のことを言います。こうした場合や、緊急事態が起きた場合も考えて環境側面を決めなさいということですね。
例えば非常用発電機を運転したら、ばい煙が出ます。「非常用発電機運転時のばい煙の発生」は非通常の環境側面といえます。非常用発電機に使う軽油をこぼすというのは、緊急事態における環境側面といえますね。
著しい環境側面を決める
続いて、後半の部分です。基準を用いて、著しい環境側面を決めなさいと言っています。
著しい環境側面とは、環境側面から引き起こされる環境影響が大きいもののことを言います。
なにをもって著しいとするかは組織が決めることになっていまして、著しい環境側面を決めるための基準を設定しないといけません。この基準は会社によっても様々ですね。法律や条例で基準値が設定されているものはすべて「著しい環境側面」にしている会社もありますし、発生可能性と影響の大きさの掛け算でリスク分析をして決めている会社もあります。その両方の組み合わせでやっているところもありますね。
そして、必要に応じて、著しい環境側面は社内で伝達をしないといけません、ということですね。
環境側面に関する文書化要求
そして規格要求事項の最後のパートです。ここでは文書化を求めています。
ここは読めばわかりますかね。環境側面・環境影響・著しい環境側面の一覧表のようなものを作るというイメージでしょうかね。
注記の部分も、読んでいてあまりピンと来ない表現です。これが言おうとしていることは2つあります。
まずひとつめは、通常の「環境側面」よりも、著しい環境側面のほうが、リスク・機会になる可能性が大きいよ、ということです。例えば法規制を著しい環境側面にした場合ですが、法規制を守らなかったら罰則や行政指導を受けるリスクがあったり、ニュースなどで報じられて評判を落とすリスクになりますよね。こうしたリスクは、経営にも大きな影響を与えるリスクです。
そして、この注記が言おうとしているもう一つの点は、著しい環境側面を決める基準に、リスク・機会を決める基準を使ってもいいよ、ということです。まあ、あくまでも方法の一つですが、著しい環境側面とリスク・機会は、お互い関連しあっているんだよということでもありそうですよね。