おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
10月28日、政府は、物価高や円安に対応するための新たな総合経済対策を閣議決定しました。この新しい「総合経済対策」で述べられている取り組みのうち、2023年に実施されると思われる中小企業向け補助金・助成金について、2回にわたり解説します。
動画でも解説しています(無料・登録不要)
「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」の全文はこちらから
今回の経済対策を読んだ印象ですが、経済産業政策については、電気・ガス・ガソリン高への対策と、円安対策、経済安全保障対策に重点が置かれているようです。このブログの読者の皆さんの関心が深いものづくり補助金や事業再構築補助金は、来年以降も継続はされるものの、影が薄い印象があります。この度の経済対策と、その裏付けになる補正予算は、昨年度の補正予算よりも6兆円ほど少なくなる見通しですので、ものづくり補助金や事業再構築補助金も、よくて予算規模は昨年並。場合によっては昨年よりも予算が縮小される可能性もあると思われます。詳しくは、2022年度補正予算案が役所から公開されたら、またこのブログでも分析したいと思います。
Ⅰ-1.エネルギー・食料品等の価格高騰により厳しい状況にある生活者・事業者への支援
電気料金・ガス料金の激変緩和策
家庭向け(低圧)電気料金は、1キロ・ワット時あたり7円を補助。企業向け(高圧)電気料金については、1キロ・ワット時あたり3.5円が補助されます。また、再生可能エネルギー普及のために上乗せしている、「固定価格買い取り制度」(FIT)の賦課金を実質的に肩代わりするようです。特に申し込み等は不要で、補助によって差し引かれた額が電力会社から請求される仕組みのようです。
都市ガスについては、家庭や、年間契約量が1,000万立方メートル未満の企業には、1立方メートルあたり30円を支援するそうです。またLPガスは、全国に約1万7000社ある小売業者の事業効率化を通じて料金引き下げにつなげる支援を国がするようです。
燃料油価格の激変緩和事業
ガソリン価格を抑える補助金制度は、年末までの期限延長が決まっていますが、それを来年9月末まで延長する方向で調整しているようです。補助額の上限は現在、1リットルあたり35円ですが、来年1月からは緩やかに下げるようですので、自己負担するガソリン価格は上がっていくかもしれませんね。
Ⅰ-3.継続的な賃上げの促進・中小企業支援
中小企業等事業再構築促進事業
みなさんがよくご存知の「事業再構築補助金」です。3年目を迎えるこの補助金も継続される見込みです。ただ、経済対策を読むと「賃金の引上げへの支援」としてもこの補助金が位置づけられています。おそらくですが、補助金の申請にあたっては、賃上げをすることが必須要件になると考えられます。もちろん、しかるべき賃上げが果たせなかったら、補助金を一部または全額返還するという条件もつけられるでしょう。
中小企業生産性革命推進事業
いわゆる「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」のことですね。令和元年度補正予算から基金形式で3年間事業を行ってきましたが、今年それが終了します。それをまた補正予算で延長する、ということでしょう。
経済対策の中では「賃上げの促進」「中堅・中小企業が生み出す付加価値の向上 」「中小企業等の輸出拡大」「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という4つの目的のために、この中小企業生産性革命推進事業が実施されると書かれています。
とくに「中小企業等の輸出拡大」に関しては、「新規輸出中小企業1万者支援プログラム」というものが行われるようです。支援企業数は約1万社で、2022年度第2次補正予算案に100億円規模の関連予算を計上するという報道もあります。単純計算で1社あたり100万円ですね。このような輸出拡大に向けた取り組みが、ものづくり補助金や持続化補助金などと組み合わせて実施される可能性があります。
業務改善助成金の拡充
かねてより厚労省が行っている業務改善助成金が拡充されます。事業場内で最も低い賃金の引き上げをした企業が、生産性向上のために機械装置導入や人材育成などを行った場合に、その費用の一部が助成されます。経済対策によると「業務改善助成金の拡充」なので、申請期限の延長や、助成額の拡大などが行われるかもしれません。
働き方改革推進支援助成金の拡充
かねてより厚労省が行っている「働き方改革推進支援助成金」が拡充されます。経済対策には「賃上げ加算」の増額と書かれていますので、賃上げを行った企業は、より多くの助成を受けられるようになるのだと思われます。