おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO14001:2015年版各箇条解説シリーズ、今日は箇条8.2の「緊急事態への準備及び対応」について解説します。この箇条8.2は、緊急事態とは具体的にはどういうものなのかという説明も含めて解説します。
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箇条8.2「緊急事態への準備及び対応」の位置づけ
それでは今日のテーマである箇条8.2「緊急事態への準備及び対応」の位置づけについて確認しましょう。
箇条4では、組織をとりまく課題や利害関係者のニーズ・期待などを考慮して、環境管理の仕組みをつくる手筈を整えました。
箇条5では、トップマネジメントが果たすべき役割について定めましたね。
つづいて箇条6では、皆さんがたの仕事のなかで、環境に影響を与える要因や、リスクと機会、そして環境に関する法令などを明らかにして、その上で環境に関する計画や目標を定めてきました。
箇条7では、その計画・目標などに取り組むために必要な人材、道具、設備、インフラなどを準備しました。
箇条8では、プロセスを確立し、実行し、管理し、維持しましょうと言っていますが、今日説明をする箇条8.2は、特に緊急事態への準備と対応のためのプロセスを確立しなさいと言っています。
環境マネジメントシステムにおける緊急事態とは何か
そもそも、環境マネジメントシステムにおける緊急事態というのは、具体的にどういうものがあるのでしょうか。
これは、附属書Aの6.1.1にも書かれていることですが、おおまかにいって、2つの考え方があります。
ひとつは「有害な環境影響をもたらす可能性があるもの」ですね。これはわかりやすいですよね。ISO14001は環境の管理の仕組みですから、環境に悪い影響が起きてしまうようなことは緊急事態になりえますよね。例えば、ゴミとか汚水はもとよりですが、化学物質とか毒劇物などが河川に流出したら大変ですもんね。
そして、もう一つの考え方もあります。それは、「組織に対するその他の影響をもたらす可能性のあるもの」です。要は、環境に悪影響を及ぼさないけれども、組織にとってヤバいことも、緊急事態なんですよと言っているんですよね。例えばゲリラ豪雨のようなものもそのひとつです。工場が冠水して仕事ができないというようなこともありますし、コロナで緊急事態宣言が出て出社ができないということもありますし、なにかの不祥事を起こして、社会的な評判が下がるというのもあるでしょう。自社で起きることだけではなく、自社の近くの施設(例えば工場や道路、鉄道など)で緊急事態が発生する可能性もあります。
実はこうしたものも、ISO14001で扱う緊急事態なんですよね。これは意外と誤解されているというか、あまり認識されていないことのように思います。緊急事態をどこまで含めるべきかというのは、規格には特に書いていませんので、基本的には箇条6.1.1で緊急事態を特定する際に、みなさんがたの分析に応じて決めていただければ良いんだと思います。