おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO14001:2015 各解説シリーズ、ついに最終回です。最終回は、箇条10.3「継続的改善」について解説をします。規格がいう「継続的改善」とはいったい何なのか?を解説します。(全2回)
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箇条10.3「継続的改善」 の位置づけ
それでは今日のテーマである箇条10.3「継続的改善」 の位置づけについて確認しましょう。
箇条4では、課題や利害関係者のニーズ・期待などを考慮して、環境管理の仕組みをつくる手筈を整えました。
箇条5では、トップマネジメントが果たすべき役割について定めましたね。
つづいて箇条6では、環境側面と環境影響、リスクと機会、順守義務を明らかにして、その上で目標と取組計画を定めてきました。
箇条7では、必要な人材、道具、設備、インフラなどを準備しました。
箇条8では、プロセスを確立、実行して、管理、維持してきました。
箇条9では、マネジメントシステムがうまくいっているかどうかのチェックをしました。
そして箇条10では、チェックの結果に基づいて改善を行います。そして今日解説をする箇条10.3では、環境マネジメントシステム(つまり管理の仕組み)を継続的に改善することで、その適切性、妥当性、有効性を高めていきましょう、と言っています。
「継続的改善」とはなにか
規格要求事項を説明する前に、「継続的改善」とはなにかについて話をしておきましょう。ISO14001の原文は英文なので、英文を正しく解釈することで、「継続的改善」の正しい意味がわかります。
「継続的改善」という言葉は、ISO14001の英語の原文ではContinual Improvementと書かれています。これがISO的には正式な言葉ですね。これを日本語で「継続的改善」と訳をあてたわけです。
ところで日本語でいう「継続的」を示す英単語としては、Continuousという英単語と、Continualという英単語があります。日本語ではどちらも「継続的」と訳されるので、ContinuousであろうがContinualであろうが、どっちも似たような意味だろうと思いがちですが、実はニュアンスが違うんですね。
Continuousという言葉は、中断することなく一定期間にわたって発生することを指すんだそうです。したがって、Continuousなimprovementという言葉だと、このグラフのように、右肩上がりに、一直線に、改善が進んでいく、というニュアンスになります。
一方、ISO14001の原文で使われている英単語Continualは、ある事柄が一定の頻度で起こることをいうんだそうです。これもグラフで示すと、あがったり、停滞したり、時には下がったりもするけれども、一定の周期で徐々に上がっていく、みたいなニュアンスがあります。
つまりどういうことかというと、ISO14001のいう「継続的改善」は、右肩上がりに一直線に何かを良くしていくというのではなく、毎日毎日コンスタントに改善を積み重ねて、徐々に効果(パフォーマンス)をあげていくということを意味しています。長い目で見たときに効果(パフォーマンス)が向上していればよしとしていて、非直線的であっても構わない、ということですね。
ですので、ISO14001が求めている効果は、短期的な視点ではなく、長期的な視点で評価する必要があります。例えば5年とか10年スパンで、毎年きちんとデータを取って、そのデータがどんな形になってきているか、傾向はどうかみたいなことを把握する感じでしょうかね。短期的に目覚ましい効果が出ていなくても、長年をかけて徐々にでも改善の効果があがっているならば、それはよい傾向だと判断できるでしょう。