おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
企業ではいろいろな取り組みを行っています。例えば僕は、3Sや5Sなどの環境整備活動の導入推進を支援することが多いですが、トップが「環境整備をやろう!」と決めたとしても、それが組織の隅々まで浸透し、行動となるのは容易ではありません。
どうしてやると決めたことが組織で実行されないのでしょうか?その理由を、僕のこれまでの支援経験からまとめてみました。御社には当てはまりませんか?
知識・能力の面
知らないのでできない
やり方がわからないので実行できない、ということですね。例えば「いらないものを捨てる」ことも簡単そうですが、やり方があります。有名なところでいうと「赤札作戦」という手法がありますが。そういう手法をしらないと「とにかく捨てよう」と精神論になりがちで、結果もでにくいので、やがて嫌になってくるのです。
能力がないのでできない
やり方はわかっているけど、能力や経験が不足していて実行できないという問題ですね。不良対策に統計的分析手法を使えば効果的だとわかっていても、統計的分析手法をやったことがなければ分析できませんね。
理解・納得の面
トップが決めたことは知っているが、その内容に納得出来ない
トップが「環境整備をやろう」と決めたとしても、「なぜこの忙しいのに環境整備をしないといけないのか」が納得できていなければ、行動にはなりませんね。
トップが決めたことが合理的でないと思っている
トップが「この6カ月間使っていないもの一斉に捨てなさい」と指示をしたとしても、「6カ月間使っていなくても、2年に1回は必ず使うものがある。そういうものまで捨てるのは間違っている」と思うと、トップの指示には従いません。
トップが決めたことができる条件がない
トップが「毎月最終水曜日は必ずミーティングをする」といったとしても、「月末の忙しい時にミーティングなんてできる時間なんてない」と思われてしまうと、行動にはなりません。
優先度をつけることができない
トップが「環境整備をやりましょう」「目標管理もやりましょう」「ISOもやりましょう」「サンクスカードも送りあいましょう」などと、たくさんの施策を打ち出しすぎると「どれからやればいいのか」と迷ってしまい、行動にはむずびつきません。
決めたことそのものを知らない
周知がされていない
これは論外ですね。知らないことは実行できるはずはありません。
周知はされているが、忘れている
一度説明しただけで「ちゃんと言っただろう」は通用しません。人間は忘れる生き物ですし、忙しくなると頭から抜けるものです。組織に決まりごとが浸透するまでには、何度も繰り返し説明する必要があります。
必要な場所に明示されていない
新しい検査ルールや、修正された作業手順などは、必要な場所(実際に作業する場所)などに明示されている必要があります。一度聞いただけでは完全には理解はできないからですね。
システムの面
決めたことを守ろうが守るまいが、罰せられないし認められもしない
決まりごとを守っても、自分に何の影響もないと思うと、行動にはなりませんね。罰で人を動かすのは下策です。でも、承認もないというのはもっと下策です。
決めたことを守る労力より、守らないほうがメリットが大きい
不良が出たら是正処置をすることは必要です。でも、是正処置を検討するよりも、とにかく目の前の仕事を終わらせて、いままさに要求されている納期を満たすことのほうがメリットがある(怒られずに済む)と思うと、不良の是正処置は行われません。こういうケースでは、目の前の納期を守るために、不良の是正処置をしないことを直属の上司も黙認する場合があるので、なおさらです。
組織文化の面
集団にルールを守るという規範がない
実際にあったケースです。「また社長が何かをやると言い出した。きっと今回もいつものようにすぐにやめてしまうだろう」と従業員が学習していれば、決まりごとは守られません・
集団が形成されていない
一匹狼の集団にありがちですが「一人ひとりがやればよい」とか「自分はベストを尽くしているからやらなくてもよい」と思っている従業員がいれば、会社全体としての決め事は守られません。
自己評価がひくい
例えば「私はマネジャーから嫌われているから、どうせ何をやっても否定される。だから何もしたくない」という人がいます。こういう人は、組織には結構いるものです。