おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
事業再構築補助金の成長枠・グリーン成長枠では、給与総額増加要件が課せられています。給与支給総額の確認は「法人事業概況説明書」でやると公募要領に書かれていました。これはどういうことでしょうか?
第10回公募要領1.0版で給与支給総額は法人事業概況説明書で判断すると書いている
まずは公募要領を確認しましょう。第10回公募要領1.0版のP20では、以下のように書かれています。
はっきり書いていますね。
給与支給総額の確認に当たって、法人の場合は、法人事業概況説明書の提出を求め、人件費の欄に記載された金額で判断します。個人の場合は、所得税青色申告決算書の提出を求め、給与賃金、専従者給与、青色申告特別控除前の所得金額の欄に記載された金額の合計で判断します。
今までも、ものづくり補助金をはじめ、給与支給総額の増加を要件にしていた補助金はありましたが、「法人事業概況説明書」で確認をすると明記したものは、今回の事業再構築補助金の公募要領が初めてだと思います(当社が知る限りは)。
法人事業概況説明書の人件費とは何か?
正直なところ、この公募要領を読んだとき、「法人事業概況説明書に人件費とか書いてたっけ?」「でも人件費と給与支給総額って、違う概念じゃないの?」と思いました。でもそれはぼくが無知で、単に知らなかっただけですね。
まずは法人事業概況説明書の人件費はどこに書いているかを見てみましょう。法人事業概況説明書裏面の「18 月別の売上高等の状況」に書いてるんですよね。以下の図をご覧ください。
ここの「人件費」の「計」の部分が、その会計年度の人件費(=給与支給総額)になりますので、ここを見て事務局は給与支給総額の増加ができたかどうかを見るというわけですね。
ちなみにこの「人件費」の「計」の部分は、表面の「労務費」「役員報酬」「従業員給料」の合計と同じになります。
なお表面の「労務費」「役員報酬」「従業員給料」の計算過程では、賞与を含みます。国税庁の「法人事業概況説明書の記載要領」を読むと、「3 「人件費」欄には、その月の俸給・給与及び賞与の支給総額(役員に対するものを含みます。)を記載してください。」と書いていますから。
人件費と給与支給総額って違う概念じゃないの?
確かに事業再構築補助金のQ&A(申請要件について Q4)を見ると、人件費と給与支給総額は別の概念です。人件費には法定福利費や福利厚生費、退職金等が含まれますが、給与支給総額にはそれらは含まれません。
ものづくり補助金も、事業再構築補助金と同じ考え方のようです。ものづくり補助金のQ&Aでもやはり、人件費には法定福利費や福利厚生費、退職金等が含まれますが、給与支給総額にはそれらは含まれないと書いています。
しかし「法人事業概況説明書の記載要領」を読む限りでは人件費とは給与支給総額と同じ意味のようです。同じ言葉でも省庁が違えば定義も違うんですね。知りませんでした。
つまりこういうことです。
- 事業再構築補助金で付加価値額の算出をするには「人件費」を用います(付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費)。これは法定福利費や福利厚生費、退職金等も含んで計算します。
- 一方、成長枠やグリーン成長枠で給与支給総額のシミュレーションをする場合、法人事業概況説明書の人件費を給与支給総額として使うことができる、ということですね。
しかしややこしいなあ。こういう用語の定義は役所のほうで統一してもらえないですかね。