おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
国際標準化機構(ISO)は、現行のISO9001:2015(品質マネジメントシステム規格I)を改訂する準備を進めているようです。現在の予定では、2025年後半~2026年ごろに公開される予定です。
TC176/SC2でISO9001の改訂が賛成多数となった
IRCAのホームページにも書かれているように、昨年夏、技術委員会176、第2分科委員会 (TC176/SC2) を構成する国家規格機関のかなりの多数が、ISO9001の改訂を直ちに開始することに賛成票を投じました。つまり、ISO9001の規格を「直ちに改訂することを選んだ」ということです。
前回の改訂(2015年)から、ビジネスを取り巻く環境は大きく変化しています。10年前には想像もできなかった技術(特にAI)が、いまでは当たり前になっていますもんね。EUでは、AI規制法案が議会で可決されましたが、そのEU AI法の第17条には品質管理システムについての要求もありますので、テクノロジーの進展に伴って、品質マネジメントシステムが求められる役割も変わってきたと言えるでしょう。
ISO9001規格の次の改訂内容は?
改訂の内容はまだわかりませんが、一部の認証機関では次のような変更があるのではと囁かれています。
- リスク管理の強化
- 利害関係者との関わりをより重視
- 他のマネジメントシステムとの整合性の向上
確かにISO9001のリスク管理は、ISO14001やISO45001に比べるとあっさりしているというか、規格がリスクの管理について踏み込んでいる部分が少ないようにも思えます。このあたりが強化をされるというのは、改訂内容としては納得できるものと言えます。
ISO9001規格の改訂スケジュールは?
日本規格協会のホームページによると、2023年10月12日に開催されたSC2ルワンダ・ギガリ/ハイブリッド総会で、ISO9001規格の改定には「24 か月の規格開発トラックを選択する(※ただし、進捗状況による延期の可能性有)」と決議されたそうです。
2023年10月から24ヶ月ということですから、2025年後半ごろ、延長の可能性を加味すれば、2026年には規格が改定される可能性があるということですね。
国際規格であるISOは、WD(ワーキングドラフト:作業用原案)→CD(コミッティードラフト:委員会原案)→DIS(規格案)→FDIS(最終規格案)→国際規格の発行、という流れで作成されます。DISやFDISの段階では草案が公開されるでしょうから、そのときには改訂内容もわかっていることでしょう。
認証取得企業はどう備えたらよい?
ISO9001の認証を取得している企業が、今すぐ何かをする必要はありませんが、改訂内容が見えてきたら、それに合わせて自社の運用の見直しも検討をする必要があるでしょう。
その次の段階として、規格の移行期限内に新しい規格で審査を受け、認証を受ける必要もあります。このあたりのプロセスは、2008年版や2015年版に改定されたときとそう変わりはないでしょう。