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世界で初めてAI規制法案"EU AI法"が可決されました

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

3月13日、欧州議会は、世界で初めてAI規制法案である"EU AI Act"を可決しました。2025年に発効し、2026年から適用される見通しです。(情報源は、The EU AI Act Newsletter #48です)

立法プロセスについて

3月13日、欧州議会はEU AI法を可決しました。AI(人工知能)に関して、世界で初めての拘束力のある法律となりました。

この連載でも繰り返し説明をしていますが、このAI規制法は、AIをユーザーが利用するにあたっての安全性の確保や基本的人権の保護を行いつつ、AIを活用したイノベーションを促進することを目的としています。

法案には、523票の賛成、46票の反対、49票の棄権という結果となりました。今後の流れとしては、発行後20日以内に発効し、24〜36か月かけて、さまざまな規定が適用されます。

AI法案の起草において主導的な役割を果たしている議員や専門家のグループは、この法律について「欧州の価値観と技術を中心とした新しいガバナンスモデルの出発点」だとして称賛し、「AIの社会的影響に対処するための道を開いた」と述べました。

この規制は、正式に理事会によって承認される前に、法学者によるチェックもされるようです。

その他の動き①AI事務局での専門家の採用について

2月21日に欧州AI事務局が発足しました。この事務局は、①EU AI規制法の実施(特に汎用AIに関して)、②信頼できるAIの開発と利用の促進、③国際協力の促進の3点において、重要な役割を果たすことが期待されています。

AI法は、法律を効果的に実施するために、トップのAI専門家を事務局に採用することを求めています。この規定を起草した欧州議会議員の一人であるドラゴシュ・トゥドラシュは、欧州委員会がAI法を監督するAI事務局に、米国の原子爆弾を建設するチームを組織した物理学者に類似した「オッペンハイマー」を採用する必要がある、と述べました。

つまり事務局には官僚ではなく、AIを内面から深く理解する技術者、学者、および未来学者の採用すべきと述べています。

しかしそのような専門家は、大手テック企業や、米英などでも引く手あまたのため、欧州でも採用が難しいとのこと。AI事務局の初期予算は4,650万ユーロであり、英国の1億ポンドのAI安全研究所と比較しても小さい規模です。

トゥドラシュは、AI事務局に予算を拡充するよう求めています。オフィスを率いる潜在的な候補には、現在のEU AIディレクターであるルシラ・シオリ、AI政策責任者のキリアン・グロス、および経験豊富なEU公務員のヴェルナー・シュテングが含まれます。トゥドラシュ自身もこの役割に興味を持っていると噂されています。

その他の動き②各国での監督について

法案が可決したことによって、各国での監督が焦点となります。

Euronewsのシンシア・クロエットは、AI法が発効するにつれて、今後12か月以内に加盟国が国内で規制を監督する機関を設置することが焦点となるだろうと書きました。

スペインでは2023年に人工知能監視機関(AESIA)を設立しましたし、オランダのデータ保護当局も2023年に、12人の従業員を抱えたアルゴリズム部門を設立し、今年は20人に増員する予定です。アイルランドの企業・貿易・雇用省は、国内実施計画の策定を主導し、ルクセンブルクは効率的な規制アプローチを調整するために利害関係者と協議しています。

一方、欧州委員会は、EU諸国間での執行を調整するためにAI事務局でのポリシーおよび技術的な役割の募集を開始しました。さらに、業界団体は企業への実装の課題や適合負担について警告しています。

  • B!

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