おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018 各箇条解説シリーズ、箇条7.4「コミュニケーション」について説明します。労働安全衛生に関するコミュニケーションはなぜ重要で、具体的にはどんなものなのか?という点も含めて、3回にわたって解説したいと思います。
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前回までの記事はこちら
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ISO45001:2018 7.4 なぜコミュニケーションが職場の安全・衛生に重要なの?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO45001:2018 各箇条解説シリーズ、箇条7.4「コミュニケーション」について説明します。労働安全衛生に関するコミュニケーシ ...
どんな情報をコミュニケーションする必要があるのか?(規格が求めるコミュニケーション)
労働安全衛生マネジメントシステムをうまく回して、ケガや病気のない職場を作るために、どんな情報をコミュニケーションしないといけなのでしょうか。まずは規格要求事項の面から説明したいと思いますが、ISO45001の規格が求めているコミュニケーションすべき情報は、内部コミュニケーションと外部コミュニケーションあわせて、以下のとおりです。これは要求事項ですから、ここに書いていることは、しかるべき人たちに伝えたり報告したりする必要があります。
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4.3 OHSMSの適用範囲を、利害関係者が利用できるように
5.1 e) 有効な労働安全衛生マネジメント及び労働安全衛生マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達
5.2 環境方針を組織内に伝達
5.3 労働安全衛生マネジメントシステムに関連する役割、責任、権限を組織内に伝達
5.3 b) 環境マネジメントシステムのパフォーマンスをトップマネジメントに報告
6.1.3 最新の法的要求事項及びその他の要求事項を入手
6.2.1 e) 労働安全衛生目標を伝達
7.3 働く人にa)~f)までのことを認識させる
8.1.1 複数の事業者が混在する職場では、組織は、労働安全衛生マネジメントシステムの関係する部分を他の組織と調整
8.1.4.2 調達プロセスを請負者と調整
8.2 e) 全ての働く人に、自らの義務及び責任に関わる情報を伝達し、提供
8.2 f) 請負者、来訪者、緊急時対応サービス、政府機関、及び必要に応じて地域社会に対し、関連情報を伝達
9.1.1 モニタリング及び測定の結果の、分析、評価及びコミュニケーションの時期を決定
9.2.2 d) 監査の結果を関連する管理層に報告
9.3 f) 利害関係者との関連するコミュニケーション(の考慮)
9.3 マネジメントレビューの関連するアウトプットを、働く人及び働く人の代表に伝達
10.2 (インシデント・不適合の)情報を、関係する働く人及び働く人の代表、その他の関係する利害関係者に伝達
10.3 継続的改善の関連する結果を、働く人及び働く人の代表に伝達
どんな情報をコミュニケーションする必要があるのか?(法律が求めるコミュニケーション)
もちろん、法律でコミュニケーションが求められている情報もたくさんあります。その一例をお見せしますが、こうしたことを社内・社外とコミュニケーションしなさいと法律では要求しています。
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・安全管理者・衛生管理者の選任報告(労働基準監督署長に対して)※安衛則第4条第2項・安衛則第7条第1項第1号/2号
・安全衛生推進者等の氏名を周知(関係労働者に対して)※安衛則第12条の4
・作業主任者の選任後の周知(関係労働者に対して) ※安衛則第18条
・安全・衛生委員会の議事概要の周知(労働者に対して) ※安衛則第23条の3
・リスクアセスメントの調査結果等を周知(労働者に対して) ※安衛則第34条の2の8
・SDSの周知(労働者に対して) ※安衛法第101条第2項
・健康診断の結果についての医師等からの意見聴取(産業医等に対して) ※安衛則第51条の2
・健康診断の結果の通知(労働者に対して) ※安衛法第66条の6
・労災発生時の労働者死傷病報告書の提出(労働基準監督署長に対して) ※安衛則第97条
※他にもたくさんある
これもやはり、ケガや病気の予防のため、起きてしまった後に再発防止を徹底するためという目的が垣間見えます。なお、我が社はどんな法律が関係するかについては、箇条6.1.3「法的要求事項及びその他の要求事項の決定」で特定したはずですよね。我が社が関係する法律をよく読み、どんなコミュニケーションが必要なのかを洗い出さなければなりません。
誰とコミュニケーションする必要があるのか?
こうしたコミュニケーションを行う対象者にはどういう人たちがいるのでしょうか。大まかに社内の人と社外の人に分けることができます。
社内の人には、様々な階層・部門で働く人たちが含まれますが、その中でも安全衛生委員会のメンバーなどとは、より密度の濃いコミュニケーションが必要でしょう。彼らは社内でも、ケガや病気を予防したり、再発防止策を検討する中心的な役割を担っていますからね。
一方、社外の人としては、顧客や親会社がまず挙げられます。彼らは我が社の安全衛生活動を監督する立場にあり、「ちゃんとやっているよ」ということをコミュニケーションする必要があります。
また、行政機関や監督官庁には、安全衛生管理者の選任報告や労災発生時の報告書を提出するなどのコミュニケーションがあります。場合によっては立ち入り調査などを求められることもあり、その際には適切に対応する必要があります。
産業医などのお医者さんとは、健康診断の結果を共有し、必要なフォローアップや対策について意見を聴くことが求められます。
さらに、我が社に出入りする請負者や外部委託者には、我が社の安全手順や安全衛生ポリシーを説明し、それを守ってもらうよう促す必要があります。
工場見学などに来る来訪者も対象者です。工場内での安全ルールや緊急時の対応方法を、こちらから説明する必要がありますよね。
最後に、マスコミも重要な対象者ですね。重大な事故が起きた場合に記者会見を開いて詳細を説明したり、今後の対策について公表したりする必要があります。もちろん、ここに挙げた人たち以外にも、コミュニケーションの対象者はたくさんいると思います。
次回は規格要求事項を解説します。