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まだ数値目標なんて立ててるの?数値目標の落とし穴(3)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

日本の製造業が戦後復興するきっかけをつくったことで有名なW.E.デミング博士は「数値目標の設定をやめなさい」と言っています。これはどういうことなんでしょうか?3回にわたって、数値目標のデメリットを解説をします。

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前回までの記事はこちら

まだ数値目標なんて立ててるの?数値目標の落とし穴(1)

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まだ数値目標なんて立ててるの?数値目標の落とし穴(2)

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目標の扱いはリーダーシップの問題

デミング博士は「数値目標をやめろ」と言っていますが「数字を一切使うな」とは言っていません。数字は、生産性や品質向上を妨げる要因を分析することなどに使うべき、と言っています。これはどういうことでしょうか?

仮に株主が「生産性2割アップだ」と経営者に求めてきたときに、経営者は株主に対しては、その目標をいったん受け入れます。しかしそれをただ下に押し付けるのではなく、社内に対しては、生産性2割アップのために必要な行動プランを、現場のデータを分析して導き出すようなリーダーシップを取るべきと言ってます。

「これはリーダーシップの問題だ」ということを、デミング博士は何度も強調しています。こうしたリーダーシップの中で定まった目標であれば、現場に展開してもいいと思います。

数値目標のデメリットを緩和する良い方法はないのか?

この連載の1回め、2回目でみたきたように、数値目標には以下のようなデメリットがあります。

数値目標のデメリット

  • 目標以上に努力しない
  • 目標未達でやる気低下
  • 達成可能な目標しか設定しない
  • 目標以外のルールがおろそかにされる
  • プレッシャーから不正に走る

このようなデメリットがあるので、デミング博士は「数値目標をやめなさい」と言ったわけですが、こうしたデメリットを和らげるような数値目標の運用方法も実はあるんですよ。それはOKRという手法です。OKRは、インテルやGoogleといった世界的企業が採用して、大きな成果を生み出したと言われています。日本ではメルカリが導入していることで有名ですね。

例えばOKRでは「最高の製品品質を実現する」という目標を掲げます。OKRでは目標は数値ではなく定性的な目標で、しかも容易には達成できないような高い理想の目標を立てます。

そして、その成果指標として工程内不良率とか顧客クレーム件数とか品質トレーニングの参加率といった数値の指標を定めます。

OKRのポイントとしては、上司や部下、チーム内で話し合って目標を決めることです。これにより、上から目標を押し付けるのではなく、全員の納得が得られるようにします。

また、成果指標は6割から7割程度を目指して取り組みます。つまり100%達成を求めないということですね。それでいいの?と思うかもしれませんが、OKRでは、数値ではなく、目標の達成にどれだけ貢献したかというプロセスが一般的には評価されます。指標はあくまでも指標です。これによって、目標が未達になるという考え自体をなくしているわけですね。

さらに人事評価には結び付けないのがOKRのお約束です。これによって余計なプレッシャーをかけないようにしてます。

また定期的に目標と成果指標を見直し、状況に応じて柔軟に対応することで、常に最適な状態を保つようにします。

このようなOKRを導入することで、高い目標を目指すようになり、やる気の低下を防ぎ、前向きに挑戦する姿勢が生まれます。そして、プレッシャーが少なくなるので、ルール違反や不正行為のリスクも減少するということですね。この手法は、心理的安全性を考慮に入れた目標管理の仕組みと言って良いと思います。

数値目標を活かすか殺すかは、最終的には経営者の責任

3回にわたって「まだ数値目標なんて立ててるの?数値目標の落とし穴」というテーマでお話をしましたがいかがだったでしょうか。

数値目標はマイナスの方向に動機づけられることが多くて、必ずしも思ったとおりに機能しません。目標に対する責任は最終的には経営者にありますので、無批判に数値目標を下に展開するのではなく、現場の声を反映し、適切なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

  • B!

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