おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
デミング博士「マネジメントのための14原則」を読み直しています。ただ読むだけではなく、2020年代の現代の考え方や最近の経営理論と比べてみたりもしたいと思います。第9原則です。
デミング博士「マネジメントのための14原則」の第9原則
⑨部門の壁を打ち破れ。製品やサービスが生産段階で直面する問題、使われる時に直面する問題を予見するためには、研究・設計・販売・生産の人々が1つのチームとして力を合わせて働かなければならない。
原則9は、部門間の壁を取り除き、企業全体が協力して共通の目標を達成することの重要性を強調しています。特に、営業や開発、製造、研究、調査などの部門が、互いに協力せずに自分たちの目標だけを追求すると、会社全体としての効率が低下し、最終的には顧客に悪影響を及ぼすことになると指摘しています。したがって、部門間のコミュニケーションと協力を促進し、全体最適を目指すべきだというのが、この原則の主張です。box]
デミング博士は、第9原則で、部門間の壁を取り除き、企業全体が協力して共通の目標を達成することの重要性を強調しています。営業や開発、製造、研究、調査などの部門が、互いに協力せずに自分たちの目標だけ(個別最適)を追求すると、会社全体としての効率が低下し、最終的には顧客に悪影響を及ぼすことになると指摘しています。したがって、部門間のコミュニケーションと協力を促進し、全体最適を目指すべきだというのが、この原則の主張です。
製造業ではデザインレビューやFMEAでおなじみ
第9原則の事例では、設計部門が製造やアフターサービスのことを考えずに設計をしてしまい、現場が苦労するという例を挙げています。そうならないように、設計段階から関連各部署を巻き込みなさいということを言っているのですが、これは製造業ではデザインレビューでおなじみのやり方です。
また製造業では、FMEAで製品自体や製造工程におけるリスクを事前に洗い出しをしますが、このFMEAも複数の部門が知恵を出し合ってやるのが一般的ですね。
中小企業も、顧客から新しい部品加工の打診があった際には、製造や品証、営業などが受注検討会議をしたりすることが一般的なので、(程度の問題はあるでしょうけど)製造業ではこうした部門間の連携というのは、当たり前にやっている会社も多いのではないかと思います。
デザインレビュー(部門間の協議)は形骸化する
製造業では部門間連携は当たり前にやっているといっても、それで十分とは限りません。特に2020年代の現代では、デザインレビューは形骸化しているという声を現場の人たちから聞くことがよくあります。形骸化している理由は、だいたい以下の3つにまとめられると思います。
- 開発期間が短かすぎて、十分な時間をかけたレビューができない(なので部門間の協議が果たせないまま量産化してしまう)
- 人手不足でどこも忙しく、重要なメンバーがデザインレビューに参加できない
- 問題があっても納期優先で次のフェーズに進むよう圧力がかかる
これでは部門間連携ができているとは言えませんね。FMEAも似たような状況だと思います。
部門間連携のためにマネジメントがすべきこと
デミング博士は、「実務者を積極的に助けるのがマネジメントの仕事だ」と述べ、部門間連携を促進するためにはマネジメントが積極的にその役割を果たすことが不可欠であると述べています。
設計や製造、販売、アフターサービス部門は、自らの役割や目標があるので、どうしても個別最適に傾きがちです。個別最適は、しばしば部門間の軋轢を生みます(例えば管理部門は在庫を減らしたいと思うが、現場は安全のために在庫を確保しておきたいと思う)。こうした軋轢の調整は、トップマネジメントしかできませんね。