おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
多くの企業でISOの内部監査にチェックリストが使われます。内部監査のチェックリストは便利なツールである反面、作成や更新に手間がかかるというデメリットがあります。このデメリットを、AIで克服できないか検証してみました。
前回までの記事はこちら
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【内部監査レベルアップ講座】ChatGPTでISO内部監査チェックリストを爆速作成してみた(1)
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【内部監査レベルアップ講座】ChatGPTでISO内部監査チェックリストを爆速作成してみた(2)
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QC工程表の記述内容に基づいて力量を監査するチェックリストを作成する
3つ目の実験としてQC工程表をインプットにして、製造現場の内部監査のチェックリストをAIに作ってもらいたいと思います。
今回実験に使用するQC工程表のサンプルをご覧いただきましょう。
これは、手打うどんの麺製造プロセスに関するQC工程表です。材料調達から始まって、道具の準備、混ぜる、こねる、寝かす、伸ばす、切る、茹でる、茹で具合の確認までの9ステップに対して、何を使ってどんな管理をするのかということが、1枚のシートにまとめられた表です。これをAIにインプットします。
ChatGPTに対するプロンプトを、QC工程表のファイルとともに、以下のように投げかけます。
あなたは、製造業のISO9001の内部監査員として、添付のQC工程表に書かれた製造現場の内部監査をします。この製造現場を内部監査するときに必要なチェックリストを作成してください。
チェックリストを表形式にまとめてください。。その際、内部監査で確認すべき文書名も一緒にしてください。チェック項目が、どの工程に該当するかも示してください。
すると、以下のような表ができました。
1つめのチェック項目は「材料調達簿の記録は正確か?」というものです。正確かどうかを判断するには、何が正確かという基準がないと判断することはできません。例えば小麦粉の入荷量が正しいかどうかは、標準の入荷量や、小麦粉を納入する業者への注文書などがわからないといけませんが、そのあたりを「確認すべき文書」では挙げているわけではありません。
2つめのチェック項目では「道具の型番と実際に使用している機器が一致しているか?」です。これは段取手順書を見ながら、この手順書通りに道具が準備されてるかどうかを現場で見るっていうことでしょう。このチェック項目は、現場目線のよいチェック項目と言えます。
少し飛ばして、7.「切る」工程のチェック項目を見てみましょう。「麺の幅が規定通りにカットされてるか?」を測定記録簿を見て確認するようですね。これもよいと思いますが、もう少し他の視点のチェックもできそうです。例えば、麺の幅の測定に、物差しやノギス、マイクロメーターなどを使っているのであれば、そうした測定機器をどう管理や校正しているかというのは、現場で確認したいところです。さすがにそこまでAIに求めるのは難しいかもしれませんが。
【結論】AIに内部監査のチェックリストを作ってもらうことは一部実用的
3回にわたり、3つの実験を行って、AIに内部監査のチェックリストを作ってもらいました。
結果としては、AIは規格やマニュアルに基づいたチェックリストを作ることは得意ですけれども、有効性審査のように、規格やマニュアルにはっきりと書かれていない部分までカバーするというのは難しそうです。ただ、規格やマニュアルに基づいたチェックリストは迅速に作ってくれるので、AIの力を借りつつも、熟練した内部監査員の経験と知識も組み合わせてチェックリストを作成するというのが良さそうです。
最後に注意事項ですが、AIを使って内部監査チェックリストを作成する際にはセキュリティに十分注意をしてください。AIに会社のマニュアルや文書をそのまま読み込ませることで、会社の機密情報が学習されてしまうリスクがあります。慎重に対応してくださいね。