おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2026年に予定されているISO 9001の次回改訂について、3回にわたってお話しします。
動画でも解説しています(無料・登録不要)
2026年に新しいISO9001が発行される予定
ISO 9001は品質管理の国際規格として多くの企業に利用されていて、次の改訂にもちょっとずつ注目が集まっていますね。ISOの公式からも、2026年に新しいISO9001が発行される予定だと、公式発表がありました。
そこで今回は、これまで行われてきたISO 9001の改訂の経緯を説明しつつ、次回の改訂でどんな部分が変わるのか、私の予想を解説していきたいと思います。
ISO 9001の規格が改訂されると、企業にとっても仕組みや文書類の見直し、社内での教育訓練などにお金と労力がかかり大変だと思いますので、この動画を見ることで、皆様が早めに対策していただけたら嬉しいです。
1987年移行の規格改訂の経緯
ISO 9001というのは、皆さんご存知のとおり、お客様に満足してもらうための仕事のやり方を定めた国際規格ですよね。
このISO 9001は、1987年に初めてルールが定められましたが、その後も時々見直しや改良が行われており、世の中の変化や技術の進歩に対応できるようにしています。
最初のISO 9001は、軍隊での物資調達に使われる品質基準を参考に作られました。ビジネス活動の範囲に応じて、3つのバリエーションがありましたが、基本的には製造業に重点を置いた内容でした。そして1994年に最初の改訂が行われました。この改訂では、最終検査に頼るような管理方法ではなく、「あらかじめ問題が起きないようにする」という予防処置の考え方が新たに追加されました。
2回目の改訂が行われたのは2000年です。私がこのISOの世界に入った時は、この2000年バージョンでした。懐かしいですね。2000年の改訂では、かなり根本的な改良が行われましたが、このときの基本的な考え方は、今もあまり変わっていません。この改訂では、それまで3つあったバリエーションが1つに統合されたこと、プロセスを重視する内容に変わったこと、そして経営者の関与がより重視されるようになったことが主な特徴です。その後8年の期間があき、2008年に3回目の改訂が行われました。このときの改訂は、規格の言葉づかいをわかりやすくすることが主な内容でした。
そして2015年に改訂が行われ、このときの改訂版が、現在の(この動画を収録している2024年11月時点での)最新のルールです。2015年の改訂では、規格の構造、つまり章立てが他のマネジメントシステム規格と一致するように大きく見直されたほか、予防処置の発展型として「リスクに対してあらかじめ備える」という考え方が導入されました。
ところで、この2015年版には、2024年2月に細かい変更が加えられ、「気候変動を考慮すること」が規格内でより明確にされました。
そして、最後の改訂から10年以上大きな改訂が行われなかったのですが、次の改訂が2026年に予定されていると、ISOの専門委員会が公式に発表しています。
次回に続きます。