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副業マッチングプラットフォームの案件が安すぎる問題

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

副業マッチングプラットフォームを眺めていると、その報酬水準の低さが気にかかることがあります。これが法的にどうなのかはぼくでは判断できませんが、課題を整理してみます。

その報酬設定、低すぎない?

ぼくは製造業支援を約20年間行ってきたコンサルタントとして、専門知識を生かしたコンサルティングが重要な役割を果たすことを実感していますが、ネット上で企業と副業者をマッチングするプラットフォームで見られる現状の報酬設定には疑問を抱かざるを得ません。

例えば、原価計算に関するコンサルティング案件で月額5万円という報酬が提示されているのを見かけることがあります。以下は一例です。

どのくらいの実働時間が想定されているのかは明記されていないものの、ぼくの経験からすると、専門的な助言業務に対する対価としては非常に低額です。

「募集時点で想定している情報を掲載しております。選考を通じて、最終的には双方合意した内容でのご契約となります。」と書いているものの、おそらく「いや、こんな低い額じゃ無理ですよ」と受託者側がいうと、十中八九、契約には至らないでしょう。

これは「買いたたき」ではないのか

このような報酬水準は、下請法やフリーランス新法における「買いたたき」に該当する可能性も考えられます。

例えば下請法やフリーランス新法では、「通常支払われる対価に比し著しく低い報酬の額を不当に定めること」を買いたたき行為として、不当な取引とみなしています。

「フリーランスとして安心して働ける環境を 整備するためのガイドライン」における

④ 特定業務委託事業者の予算単価のみを基準として、一方的に通常支払われる対価より低い単価で報酬の額を定めること。(これくらいしか払えないから安くやってもらおう、というようなこと)

⑥ 合理的な理由がないにもかかわらず、特定の特定受託事業者を差別して取り扱い、他の特定受託事業者より低い報酬の額を定めること。(副業者だから安くしてもいいや、というようなこと)

あたりに該当する可能性があるのでは?と思います。まあコンサル案件における「他の特定受託事業者より低い報酬の額」というのが明確にしにくいとは思いますが、都道府県や市区町村の専門家派遣が、だいたい2時間で3万円くらいなので、時間単価1.5万円として、資料作成や準備等を含めた実働時間が4時間を超えるようであれば、「月5万円の原価計算コンサルティング」は「相場」より安いといえるのではないかと思います。

これがまかり通るようであれば、ぼくのようにコンサルティングを生業としている事業者にとっては、かなりの打撃です。「市場が荒らされている」と言っても過言ではありません。

プラットフォーム事業者の責任はどうなっている?

では、なぜこのような低報酬がクラウドソーシングの市場で広がってしまうのでしょうか。その一因には、法的にプラットフォーム事業者の責任の曖昧さがあると考えられます。(下請法やフリーランス新法ではプラットフォームの事業者の責任は明確ではなく、この記事の執筆時点では独禁法が関連します)

クラウドソーシングのプラットフォームは、クライアントと副業者との間で案件を仲介する役割を果たしていますが、実際の報酬設定や取引条件に関して責任を負わない立場をとっています。これは先程の例で「募集時点で想定している情報を掲載しております。選考を通じて、最終的には双方合意した内容でのご契約となります。」と断りを入れていることからもわかります。

このような責任の不明確さが、副業者に対する不当廉売を助長している可能性があります。ちょっと類似の事例となるかどうかは自信がありませんが、過去には、中部読売新聞社に対する緊急停止命令が東京高裁で下された例もあります。これは端的に言うと、事業者(案件掲載主)から高額の費用を取っておきながら、もう片方(副業者やコンサル)に対して市場で競争力を失わせるような不当な廉売行為を問題視した判例です。

プラットフォーム事業者にとっては、取引が活発になってプラットフォームの認知度があがり、利用が増えるほうが都合がよいわけです。したがって少数でも高額の案件を扱うよりも、多数の定額の案件を扱うほうに動機づけられやすいでしょう。コンサル市場においても、このような動きによって「不当廉売」が起きている可能性があります。副業者やコンサルが経済的に持続可能な報酬を得られるような法的な仕組みが必要ではないか?と思う次第です。

クラウドソーシングは、多くの人に柔軟な働き方を提供する一方で、適正報酬の確保が大きな課題だと思います。副業者はもちろんですが、コンサルティングを生業としている事業者が持続的に働き続けられるためには、適正な報酬水準の確保とプラットフォーム事業者の責任ある運営が不可欠ですね。

参考文献

  1. 麻生裕子. (n.d.). 海外動向にみる「フリーランス新法」制定後の課題. 連合総研主任研究員.
  2. 平山賢太郎. (2020). プラットフォームと独禁法(競争法). 法学セミナー, 784, 60-65.
  • B!

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