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なぜSDGsは偽善だと思われるのか

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

SDGs(持続可能な開発目標)は、地球規模の課題に取り組むための指針として国連が掲げた目標ですが、一部では「綺麗事だ」「偽善だ」といった批判的な声もよく聞きます。こうした斜に構えた態度は、心理学や哲学の観点からどのように説明できるのでしょうか。

そもそも人はなぜ「偽善」だと感じるのか

そもそも人はなぜ「偽善」だと感じるのかという疑問は、心理学や哲学ではまずまずホットな分野で、関連する研究が結構あるんですよね。

偽善とは「望ましい態度を表明しながら、それを実行しない」ことと定義されることが多いです(Alicke, Gordon, & Rose, 2013)。これは、「言っていることとやっていることが違う」非一貫性を含んでいるわけですが、要は「口ではSDGsが大切だとか言っているけど、本音は儲けたい」という気持ちのことを「偽善」というわけですね。

日本の心理学研究(針原, 2015)では、動機が利他的か利己的かが偽善と判断される重要な要因であることが指摘されています。たとえば、企業がSDGsに取り組む理由が明確でない場合、「本音では利益を追求しているのでは?」と疑われやすくなる、というわけです。さらに、動機が不明な場合、人はデフォルトで「利己的な理由」による行動だと解釈する傾向があるんだそうですね。つまりSDGsを掲げる企業や政府に対して「建前はきれいだが、本音は利益追求だろう」と、人はデフォルトで捉えたくなる気持ちがある、ということのようです。

SDGsに対する斜に構えた態度の多くは、この「隠れた動機」への不信感に由来していると考えられそうです。反対に考えると、SDGsを「偽善だ」と批判すれば、批判する側が「理想論に惑わされず、冷徹に現実を見ている」という印象を他人に与えやすい可能性もあります。そうした現実主義者のイメージを外部に与えるため、戦略的にSDGsに対する斜に構えている人もいるかもしれませんね。(それこそ「偽善」ではないかと思いますが)

SDGsの理念に対する誤解

「SDGsが大切だとか言っているけど、本音は儲けたいんだろ?」という不信感が原因だとして、SDGsでは本当に儲けを否定しているのでしょうか。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を読んでみると、経済成長を明確に否定している箇所はありません。例えば第27項(経済基盤)では、『包摂的で持続可能な経済成長の継続は、繁栄のために不可欠である。これは、富の共有や不平等な収入への対処を通じて可能となる。』と書いており、経済成長は不可欠であるとまで言い切っています。アジェンダが言っているのは「経済、社会、環境」の調和であり、利益追求と社会的責任を両立させることを求めているわけです。

SDGsをを「建前」「偽善」として捉え、斜に構える人々は、SDGsが掲げる理念を表面的にしか理解せず、「どうせ本音は利益追求だろう」と短絡的に解釈してしてしまっている可能性がありそうです。

SDGsに対して斜に構えることは社会全体や未来への責任を放棄することではないか

斜に構えるのはいいですが、我々の暮らしが途上国の森林伐採で成り立っていたり、旧ジャニーズのように立場の弱い者を搾取することで成り立つビジネスがあったり、今年の能登の豪雨災害だけでも15人も亡くなっているという現実があります。今の世界は「持続可能性に疑問を持たざるを得ない状況」が顕在化しており、それを「綺麗事」と片付けて斜に構えるだけでは済まされないとぼくは思っています。

斜に構える姿勢の人は、こうした現実に対して「自分が行動する必要はない」という逃げ道を作っているのではないかとさえ思います。もしくはもっと素朴に「今ここで自分が困っていないから」という理由で、SDGsを胡散臭いものとして批判しているのかもしれませんが、こうした態度は近視眼的であり、社会全体や未来への責任を放棄している態度と言えます。これは個人の問題だけでなく、社会全体で蔓延する思考の罠です。

結局は未来の自分や子どもたちの生活を脅かすことになるんですよね。たとえ現状で自分に直接影響がなくても、より良い未来を築くために、自分ができる範囲で行動を起こすことが社会の一員としての責務でしょう。

  • B!

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