おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
今話題沸騰中のDeep Researchですが、どのくらいの実力なのかを試してみました。今回試したのはGoogle GeminiのDeep Researchです。ぼくが属する業界である「中小企業診断士」の市場を分析してもらいました。分析内容を一つ一つ検証していきます。(今日は3回目)
前回までの記事はこちら
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Gemini Deep Researchを試してみた&実力を検証(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 今話題沸騰中のDeep Researchですが、どのくらいの実力なのかを試してみました。今回試したのはGoogle GeminiのDe ...
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Gemini Deep Researchを試してみた&実力を検証(2)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 今話題沸騰中のDeep Researchですが、どのくらいの実力なのかを試してみました。今回試したのはGoogle GeminiのDe ...
2-1. 顧客の交渉力
ここからは、ポーターのファイブフォースモデルに基づいて、中小企業診断士業界を分析してもらいました。ポーターのファイブフォースモデルとは、業界の競争構造を分析するためのフレームワークです。 顧客の交渉力、サプライヤーの交渉力、新規参入者の脅威、代替品の脅威、競合企業間の競争の5つの力から、業界の状況を分析します。
まずは、2-1. 顧客の交渉力の分析結果です。
中小企業診断士の顧客である中小企業は、価格感度が高く、コンサルタント費用に対して費用対効果を重視する傾向があります 。また、専門知識やノウハウの提供だけでなく、現場に寄り添った支援や経営者自身の負担軽減、人脈の活用などを期待しています 。
中小企業診断士の費用は、1社につき月額平均14万円程度となっています 。ただし、契約内容やコンサルタントの経験・スキルによって費用は大きく変動します 。
この前半の部分は、中小企業庁のホームページと、経産省のホームページを参照しています。よくわからないのが、どちらも「価格交渉促進月間」についての記事なのですが、中小企業診断士はもとより、コンサル費用についての情報が載っているページではありません。これの何を参考にしたのかがよくわかりません。わからないのですが、価格感度が高く、費用対効果を重視する傾向というのは、別にコンサル費用に限った話ではなく、何においてもそうではないかと思います。
また後半の1社月額平均単価が14万円という話ですが、これは大分県中小企業診断士協会の記事を参考にしています。元のソースは社団法人中小企業診断協会が平成6年11月に調査したコンサルティング・フィーの状況のようです。これはまずまず信頼性のあるソースだとは思います。ただ元記事には3.4日の稼働で14万円と書いているので、そこも分析結果に反映させるべきだと思います。
記事の内容はともかく、ファイブフォースモデルの「顧客の交渉力」の説明になっていないように思いますね。(価格のことしか書いていない)
2-2. サプライヤーの交渉力
中小企業診断士の資格取得には、1,000時間程度の学習が必要とされ、難易度が高い試験です 。資格取得後も、実務補習や研究会活動などを通して、継続的にスキルアップを図ることが可能です 。また、中小企業診断士協会などの団体に所属することで、情報交換や人脈形成を行うことができます 。
なぜ資格取得の情報が「サプライヤーの交渉力」になるのか理解に苦しみます。ファイブフォースモデルを理解していないと言わざるを得ないでしょう。
中小企業診断士をはじめ、コンサルの「サプライヤー」は、人材紹介会社や協力関係にある同業者など、もしくは市場調査会社やITツールのプロバイダーなどが考えられますが、そうした多面的な分析になっていません。
2-3. 新規参入者の脅威
中小企業診断士の資格取得には、一定の学習時間と費用が必要となります 。しかし、中小企業診断士には独占業務がないため、誰でもコンサルタント業務を行うことができます 。そのため、新規参入の障壁は低いと言えます。
さらに、中小企業診断士の資格は、他のコンサルタント資格と比較して、知名度が低いという課題があります 。
中小企業診断士としての新規参入者の脅威を聞いているのですから、「誰でもコンサルタント業務を行うことができます」というのは、新規参入者の分析としては誤りだと思います。(他のコンサルタントは、ここではなく、2-4.代替品の脅威や、2-5.競合企業間の競争で分析すべきでしょう)
内容としては特にコメントはありません。
2-4. 代替品の脅威
中小企業診断士の代替サービスとしては、経営コンサルタント、税理士、行政書士などのサービスがあります 。また、AI技術の進化により、市場分析や財務分析など、一部の業務はAIによって代替される可能性があります 。
しかし、中小企業診断士は、他の専門家と連携することで、より幅広いサービスを提供することができます 。AI技術を活用することで、業務効率化や新たなサービスの提供なども実現できます 。
AIによる代替可能性があるのはその通りだと思いますが、AIに代替されそうなコンサル業務って、表面的な市場分析のようなものしかないんじゃないかと思います。その会社の現場に入り、現場の問題点を明確にして、その企業の現場固有の問題に対処するというのは、今のレベルの生成AIなどではできない業務ですね。そうした点で代替可能性を評価するべきだと思いますが、この分析結果では他の専門家との連携を代替品の脅威を低減させる方策として示しています。それがAIによる代替可能性を減らすかなあ?
2-5. 競合企業間の競争
中小企業診断士は、他のコンサルタントや士業と競合関係にあります 。中小企業診断士間の競争は激化しており、差別化が重要となっています 。
中小企業診断士は、専門性の強化、ニッチ市場への特化、顧客との長期的な関係構築などを通して、差別化を図っています 。
「差別化が必要で、専門性を強化するか、ニッチ市場へ特化するか、関係構築するか」ということは、別に中小企業診断士業界に限ったことではなく、競争戦略における差別化戦略の一般論ですね。これはまったく中小企業診断士業界の分析にはなっていません。
ちょっと分析のレベルが低すぎますね。