ものづくり経営革新等支援機関

株式会社マネジメントオフィスいまむら

トランプ関税を受けた中小企業支援策について

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

トランプ政権による相互関税政策は、輸出企業の下請け中小企業にとっても大きな打撃となります。これを受けて国(経産省等)が短期の支援策を公表しました。このうち、中小企業支援策に絞って解説をします。

経済産業省「米国の自動車関税発効等を受けた短期の支援策」

相談窓口の設置

相談窓口を設置、といっても、新たに設けられたわけではなく、既存の相談窓口をまとめただけですね。ここに相談したとしても、どれだけ気の利いた助言が受けられるかはもちろん不透明……というか、こうした窓口の担当の方も、どう案内したらいいか戸惑っていると思います。窓口が案内可能な、幅広い施策を国が設けなければ、こうした窓口も機能しないでしょう。とはいえ、すでに案内可能な施策も一部はこの資料に載っていますので、引き続いて案内します。

セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)

利率は安くありませんが、資金が借りやすくなるセーフティネット貸付です。数値要件(例えば、最近3か月間の売上高等が前年同期、前々年同期の売上高等と比較して5%以上減少)を満たさなくても借りられる特別措置があるようです。

中堅・中小自動車部品サプライヤーの事業強化

国は「補助金を優遇します」と言えば中小企業が喜ぶとでも思っている節がありますが、それは現場を知らない机上の発想です。とりわけ今回のように外部環境の急変(相互関税など)に直面している状況で、「業態転換してください。その補助金は優先しますよ」というのは、あまりにも他人事です。

既存の補助金制度を「優先採択」にするだけでは、目の前で困っている企業の支えにはなりません。しかも申請~審査~交付~実行~成果まで数ヶ月単位、下手をすれば年単位です。即効性ゼロです。しかも業態転換は誰にでもできるような話ではなく、むしろリスクの高い賭けでもあり、経営基盤が脆弱な中小企業ほど、リスクを取る余力がありません。にもかかわらず「攻めの業態転換」などと煽るのは、生き残るためにジャンプしろと言っているのと同じですよ。相互関税をいい機会だと思って、ショック・ドクトリンでも仕掛けたいのか?と疑いたくなるほどです。

限られた行政リソースを“優遇措置の審査や優先選定”などに割くより、もっと直接的で即効性のある支援に使うべきです。たとえば、中小企業の実態把握、減税、ハンズオン支援強化、コロナ禍でも行われた無担保・無保証融資の拡充や、金融機関に対するリスケ要請、下請けGメンの活動強化など、行政だからこそできる動きがあるはずですよ。そうしたものを差し置いて、なぜ補助金の優遇措置が出てくるのか、理解不能です。業態転換の補助金は平時にもやっているわけですから、それは現行制度のもとて粛々と行いながら、目の前の危機を緩和する即効性ある対策を講じるべきです。

無利子無担保ゼロゼロ融資の可能性を首相が言及

石破茂首相は相互関税への国内対応に関し、7日の参院決算委員会で、「実質無利子・無担保のいわゆる『ゼロゼロ融資』も含めて、新型コロナの時の対策に匹敵するようなものは考えていかなければならない。より効果的に、弱い立場や苦しい立場の人たちに届くような対策を実行する」と述べました。

首相が言及するだけではなく、自民党も政府にゼロゼロ融資復活の提言をするようです。

こちらも関税対策の施策の一つになるかもしれません。

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