おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
内部監査レベルアップ講座、今回はあらゆるマネジメントシステムに関係する「インフラストラクチャ」を内部監査するというテーマでお届けします。設備投資から運用方法改善まで、どういう点を監査すべきかがしっかり理解できるようになりますよ!
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【内部監査レベルアップ講座】インフラストラクチャを内部監査する(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 内部監査レベルアップ講座、今回はあらゆるマネジメントシステムに関係する「インフラストラクチャ」を内部監査するというテーマでお届けします ...
インフラストラクチャを管理するプロセスとは
では、インフラストラクチャを管理するプロセスとは、一体どのような流れを指すのでしょうか。その全体像をイメージしながら、一例として典型的なステップを追ってみましょう。
まず着目すべきは、「資源ニーズの特定」フェーズです。経営計画や品質目標だけでなく、日々の現場から上がってくる声や顧客の要望に耳を傾けることで、「本当に必要なものは何か」が見えてきます。たとえば、製造現場で頻繁に起こる小さな停止トラブルを拾い上げることで、見逃されがちな設備更新ニーズが浮かび上がることもありますし、営業部から「この設備があれば提案の幅が広がる」といった声が上がる場合もあります。こうした多角的な視点を取り入れることで、ただ設備を買い替えるのではなく、組織全体の戦略や現実的な運用に寄り添ったニーズの洗い出しが可能になるわけです。
次にやってくるのが、ニーズを「投資判断」に昇華させるステージです。ここでは、「今すぐ手配すべきものなのか」「もう少し経過観察すべきなのか」を見極めるために、費用対効果やリスク評価を念入りに行います。ただし数字だけを追いかけるのではなく、会社の今後の成長ビジョンや、サプライチェーンの変化、さらには規制動向といった「外部環境」の要素も加味する必要があります。たとえば、ある機械の消費電力が大幅に改善できるという数値が出たとしても、電力コストの低い地域へ生産拠点を移す計画があるなら、投資の優先順位は変わってくるかもしれません。こうした全体最適の観点を持って判断するのが、この段階の肝になります。
投資が承認されれば、いよいよ「資源の計画・確保」へとフェーズが移ります。発注先の選定や見積り比較、契約手続き、納期調整といった実務タスクをスムーズに進めるには、調達部門や経理部門、さらには品質保証部門との連携が欠かせません。ここでの適切なコーディネーションが、納入後のトラブルを未然に防ぎ、現場への迅速な立ち上げにつながるのです。
そして導入が完了した後は、「運用・維持」のフェーズに移行します。どんなに高性能な設備でも、日々のメンテナンスや定期点検、作業者教育が行き届いていなければ性能を発揮できません。特に予防保全の徹底は、突発的なダウンタイムを減らし、生産の安定性を確保する上で非常に重要です。同時に、現場での声を吸い上げる仕組みも維持し、点検項目やマニュアルに反映させていくことが、後戻りのない運用につながります。
ある程度運用が定着したら、次に「資源の評価」のフェーズです。稼働率や不良率の変動といった数値を追うだけでなく、「導入した設備は本当に当初の経営目標や品質目標に寄与しているか」というマクロな視点で検証することが求められます。たとえば、あるラインの自動化によって稼働率が向上したものの、検査工程のボトルネックが解消されず総合的なリードタイムが改善しないといったケースでは、設備単体では成功と呼べても、システム全体の有効性という観点では再考が必要になります。
最後に位置づけられるのが、評価結果に基づく「改善」です。ここでは、点検頻度の見直しや運用手順の修正を通じて、前のステップで明らかになった課題を具体的なアクションに落とし込みます。場合によっては、投資判断やニーズ把握の段階に戻ってプロセス自体を再構築することもあるでしょう。こうして継続的改善サイクルを確実に回し続けることこそが、組織のインフラ管理を真の強みへと昇華させるポイントです。
逆に言えば、行き当たりばったりの設備投資や、導入後に現場任せで放置するような運用は、規格が意図する「一貫したプロセスの管理」とは相いれません。たとえ目先のトラブルが起きていなくても、内部監査の視点では「プロセスが機能しているか」を厳しくチェックされるため、結果だけを良しとする態度では通用しないのです。インフラストラクチャ管理の本質は、一連の流れにきちんと根拠を持たせ、より高い品質と生産性を追求し続ける仕組みづくりにあると心得ておきましょう。