おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
EUのAI規制法案である"EU AI Act"に関して、4/30時点での最新情報を、かいつまんでお伝えします。(情報源は、The EU AI Act Newsletter #76です)。
「汎用AIモデル」のルールについて、意見を集めています
ヨーロッパの「ヨーロッパ委員会(European Commission)」は、「汎用AIモデル(GPAIモデル)」のルールについて、専門家や市民の意見を集めるヒアリングを、特定の関係者に向けて始めました。
汎用AIモデル(General-Purpose AI / GPAI)とは、人間とまったく同じように(もしくはそれ以上に)物事を理解し、学習し、実行することができる人工知能のことです。汎用AIはまだ実現しておらず、実現まで今後数十年はかかるとみられている技術です。(汎用AIは絶対に完成しないだろうという意見もあります)
EUは、汎用AIモデルが実現できた将来のことを考え、こうしたヒアリングを実施しているのだと思われます。
このヒアリング結果をもとに、ヨーロッパ委員会は以下のようなガイドラインを作る予定です。
- 汎用AIモデル(GPAI)とはなにか。基本的な言葉の説明
- AIを作る会社が守るべき責任について
- どうすればAIを市場に出してよいかについてのルール
- どうやってルールを守っているか確認する仕組みをAIオフィスがサポートするか
もしこのガイドラインが承認されれば、どのように行政手続き負担がへり、規制を守るための基準として機能するかも書く予定です。
この意見募集には、いろんな人や組織が参加できます:
- GPAIを作る会社
- そのAIを使って何かを作る会社
- 市民団体や研究者、その他専門家
- 公的機関など
2025年5月22日までに意見を送ることができます。
このガイドラインは法律ではありませんが、「このAI法のもとでヨーロッパ委員会が、汎用AIモデルをどう理解して、どう使うか」を示すものです。
この「ガイドライン」と「行動規範」の最終案は、2025年8月までに発表される予定です。
すでに、このガイドラインのたたき台も公開されていて、「GPAIモデルを作る人は何をしなければいけないか」がまとめられています。
AI法の質問窓口をつくるチームを募集中です
ヨーロッパ委員会は、「AI法サービス窓口(AI Act Service Desk)」という新しい相談窓口の立ち上げに向けて、委託先を決めるための入札を開始しています。
この窓口は、AI法をスムーズに実行するための情報センターのような役割をします。たとえば
- AI法をどう使えばいいかを、わかりやすく説明する
- 市民や企業からの質問に、ピンポイントで答える
- 市民や企業からの質問は、サービスデスクを通じて、AIオフィスに直接届けることができる
このサービスデスクは、AI技術に対する市民の信頼を高め、企業が安心してAIをヨーロッパで使えるように、法律的な不安をなくすために作られます。
この募集は、2025年5月19日まで受け付けています。実際のサービスは、2025年の夏からスタート予定です。そして、この窓口はすべてのEU公用語で対応できるようになります(専用のウェブサイトも開発中)。