ものづくり経営革新等支援機関

株式会社マネジメントオフィスいまむら

【兵庫県】令和7年度6⽉補正予算(緊急経済対策) 中小企業対策を読む

https://imamura-net.com

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

5月28日、兵庫県は「令和7年度6⽉補正予算(緊急経済対策) (案)」を公開しました。いま6月議会で予算を審議中ですが、予算案のうち中小企業対策を読んでみます。

令和7年度6⽉補正予算(緊急経済対策) (案)はこちら

⽶国関税措置対策パッケージ

米国による高関税の一件は、米国と中国の協議などをみているとある程度の政治的な交渉が通用するようにも見えて、今後どうなるかは流動的です(日本はなかなか交渉のテーブルについてもらえないようですが)。

兵庫県はこの状況に対して、どのような手を打つのでしょうか。その全体像がこれです。

短期的な視点としては相談窓口の設置や、県の制度融資の要件緩和という、何かあったときのお決まりの組み合わせです。まあすぐにできることはこの程度でしょう。

中長期的な視点としてもいろいろ書いていますが、はっきりいって「これ、高関税対策となにか関係あるの?」というものもたくさんあって、無理やりパッケージにねじ込んだ印象があります。ものづくりDXの推進や理工系人材の育成は必要なことですが、これがあるからといって米国の高関税政策の何の対策になるのかがよくわかりませんね。

⽶国の関税措置への対応(体制整備)

国であろうが自治体であろうが、中小企業を取り巻く環境に大きな変化があった時に必ず拡充されるのがこれ(窓口の設置)です。といっても窓口は既存の相談窓口です。

窓口に相談に行っても、案内できる施策がなければ窓口として機能しません。というわけで、その施策が何かというのが次のページから書かれています。

影響を受ける事業者への資⾦繰りを始めとした⽀援

県の制度融資の貸付要件の緩和(売上要件)です。貸付限度額を引き上げてくれてもいいと思いますが、兵庫県の場合はもとの限度額が他の都道府県としても結構高めなので、これは据え置きなんでしょうね。

中⼩企業における経営改善・成⻑⼒強化への⽀援

これは信用保証協会の保証料に対する補助支援ですね。保証料はバカにならないくらい高いので、監査割れるのはありがたい限りです。

その他(中長期的な取組)

ここからが中長期的な取組です。イメージとしては、神戸牛や日本酒(兵庫県の特産品)をアメリカ向けに輸出しているようなメーカーが、欧州とかアジア等に売り先を変える取組に対する支援です。

輸出先が米国一本しかないという企業にとっては有益でしょうけど、ある程度輸出先も多角化しているのが一般的じゃないのかな。

このあたりから「これって関税対策なの?」感が強くなってきます。

ものづくり・DX専門家派遣ですが、今回「拡充」と書いているのが意識付けであったり提案であったり啓発であったりと、どうもふわっとした抽象的な内容で、これが具体的に米国の高関税政策にどういう効果があるかが見えません。「中長期的な経営目線の啓発」というのは、要は「専門家が経営者を教育してやる」ということなんでしょうけど、それのどこが「拡充」なのかがよくわかりません。600万円という予算規模も、要は専門家に対する謝金だと思うのですが、積極活用する気が感じられない額です(そもそも外部の専門家が「啓発」するってすごい表現ですよね。中小企業の経営者のことを何だと思っているのか)

価格転嫁の伴走支援や農林水産物も高関税政策と関係なく必要な施策です。まあ補正予算なので、高関税政策を大義名分にしないと予算が付けられないのかもしれませんが、緊急対策として必要なのは資金繰りなので、こうした細かい予算も制度融資のほうに集約してしまったほうがいいのではないかと思います。

  • B!

最近の人気記事

1

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 国際標準化機構(ISO)は、現行のISO9001:2015(品質マネジメントシステム規格I)を改訂する準備を進めているようです。現在の ...

2

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 2024年2月、ISO(国際標準化機構)は、マネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」を盛り込む形で規格の一部を改定しました。今回 ...

3

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 5Sの考え方がISO9001や14001の運用に役立つことがあります。その逆もあって、ISOの仕組みが5S活動に役立つこともあるんです ...