おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
昨日に続いて、ものづくり補助金の加点項目「1%の賃上げ」について考察をしてみたいと思います。この賃上げに関する考え方、本当に奥が深いのです。今日は教育訓練費支出総額についての考え方です。
教育訓練費に関する公募要領の記述を確認
まずは公募要領に書かれている内容を確認したいと思います。
企業による従業員向けの教育訓練費支出総額(外部研修費用、資格取得・技能検定の受験料、定時制高校や大学の授業料などに対する企業による補助総額)が給与支給総額の1%以上である企業
ここでいう給与支給総額については、先日考察をしました。結論からいうと、王道としては賃金台帳における「総支給額」の従業員総計であるが、他の方法として決算書類(貸借対照表上)の「給与手当」「雑給」「賃金」「賞与」「福利厚生費」「法定福利費」あたりだとみなすという考え方ですね。
この「給与支給総額」の1%以上を、教育訓練費支出総額に充てていれば、この「1%の賃上げ」項目は加点されるというわけです。
教育訓練費の支出を、賃金台帳と領収書・請求書何で証明する
研修の実施や賃金アップの証拠書類として、公募要領には「源泉徴収票の写し、領収書、賃金台帳、賃上げの従業員への表明を証する書類。又は、給与台帳、決算書類等、企業全体の給与総額がわかる書類でも可」と書かれています。
今このブログで考察しているのは教育訓練費の支出なのですから、上記の書類の中でいうと、やはり領収書に該当するでしょうか。つまり、従業員が受講した外部研修や通信教育などの受講費用の領収書ですね。領収書でよいのであれば。請求書でも可能だと思います。外部研修であろうが、講師を社内に招いての研修であろうが区別はありませんので、費用が発生するものは対象になると思われます。(このあたりは推測が続いて歯切れが悪くて申し訳ないのですが、正解が示されていないので、こちらも推測でしか語れないのでして……)
対象期間(1月~12月)に支払った領収書、請求書を証拠書類としてかき集め、その合計額が給与支給総額の1%を超えていることを立証できればよいですね。
もっと簡単に、損益計算書で証明する
しかし、従業員一人ひとりの総支給額を合計したり、1年分の領収書や請求書をひっくり返したりするのはなかなか大変なことです。補助金の申請書類(事業計画書)を作成しながら、このような検証を行うのは、小さな会社では無理がありますね。
もっと簡単にやるとしたら、損益計算書を確認することでしょうか。直近の損益計算書で「給与手当」「雑給」「賃金」「賞与」「福利厚生費」「法定福利費」を給与支給総額とみなし、同じく損益計算書での勘定科目「教育訓練費」との割合をもとめ、それが1%であることを立証するという方法です。この場合、証拠書類は決算報告書になります。
これが最も簡単だとは思いますが、この方法で事務局(中央会)が納得するかどうかはわかりません。賃金台帳と領収書・請求書で検証するのと比べて、すこし数値がざっくりしてしまうという感があります。したがって、事務局が納得するともいえるし、しないとも言えます。しかし、何も書かないよりははるかにマシだと思います。
もちろん、証拠能力の高いものを提出するに越したことはありません。しかし短い公募期間内、申請書を作成しつつ、もちろん日常の仕事も行いながら用意しなければならないのですから、そのあたりの労力を考慮したうえで、御社にとっての最適な方法を検討してみてください。