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ものづくり補助金様式2「会社全体の事業計画」を作るうえでの留意点

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ものづくり補助金の様式2に「会社全体の事業計画」という表があります。今後5か年の予測PLを作成することが求められているのですが、これを作るうえでの留意点をまとめてみたいと思います。

ものづくり補助金様式2「会社全体の事業計画」

「会社全体の事業計画」とは、この表のことです。

表の下に注記が書かれているので、それをしっかり押さえましょう。

まず「会社全体」の事業計画であること

これは会社全体の事業計画です。補助金で投資する設備が入る部署や工場、その製品単位などの、範囲の絞られた計画ではないことに注意してください。

直近期末とは、補助金実施(≒設備投資をする)期の前年度期末決算

注記にはこう書かれています。

「直近期末」は補助金事業実施の前年度期末決算(実績又は見込み)、「1年後(補助金事業実施年度末)」は、直近期末の1年後で補助金事業実施を実施した年度の決算(計画)を指します。また、創業まもなく、当該年度の期末を迎えていない場合は、直近期末欄に応募時点の見込み数値を記入し、1年後以降の計画額(見通し)を記入してください。

例えば、3月末決算の会社だとします。その会社が、補助金を使い、2018年12月に設備投資をするとします。そうすると、直近期末とは2018年3月期(2017年4月~2018年3月の期)になりますね。この時には、直近期末の数字として、2018年3月期の決算報告書を参照することになるでしょう。

もし、11月末決算の会社が、2018年12月に設備投資をするとします。その場合、直近期末は2018年11月期(2017年12月~2018年11月)になります。こうなると、2018年11月期の決算報告書は、2018年8月の時点では入手できません。なぜなら、まだ期中だからですね。このようなときには、今期(2018年11月期)の見込み数値を直近期末の欄に記入します。試算表を参照に予測をするのがよいでしょう。

経常利益の算出は、営業外収益を含めません

これは通常の決算報告書の記述と異なるポイントです。この補助金の事業計画では経常利益は、営業利益から営業外費用を引いた額(営業外収益は考慮しない)を経常利益と称しています。

ただし下図の、様式2の(4)経営状況表(直近2期分の実績)における経常利益は、決算報告書通りに記載します。

伸び率について

「伸び率は、直近期末を基準に計算してください(前年同期比ではありません)」と注記に書かれています。

ちなみに、伸び率の計算式は下記の通りです。下記の式は経営革新計画の伸び率式を参考にしています。

A:直近期末値 B:x年度の値
伸び率(%)=(B-A)÷|A|×100
※ | |は絶対値を表す記号、小数点以下第2位を四捨五入

【計算例1】

直近期末が1,000,000円で、1年後が1,300,0000円だった場合の、1年後の伸び率

(1,300,000-1,000,000)÷1,000,000×100=0.3×100=30%

【計算例2】

直近期末が-1,000,000円で、1年後が1,300,0000円だった場合の、1年後の伸び率

1,300,000-(-1,000,000)÷|-1,000,000|×100=2,300,000÷1,000,000=2.3×100=230%

ところで伸び率は、小数点第一位まで求めなければダメと言われて、修正・再提出になったことがありました。ダメと言われても、そのほかの企業では、伸び率が整数であっても問題なく受理されていましたので、担当者の好みとしかいいようがないのですが……。(この補助金の事務処理段階では、こういうことがしばしば起きます)

設備の取得価額も会社全体の数字

注記には「補助金事業実施年度に会社全体での設備の取得価額の合計額を記入してください」とあります。1年後(補助金事業実施年度末)にだけ、⑥設備投資額を記入する欄がありますが、この数字も補助金で投資する金額ではなく、その年度に会社全体で行う設備投資額を記入する、ということです。

個人的には、こういう全社事業計画では、補助金の効果を判断する正確性に欠けるのではないかとも思うのですが、これは要求事項なのでこの通りに従いましょう。

続きの記事はこちらです

ものづくり補助金様式2「会社全体の事業計画」を作るうえでの留意点(その2)

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