おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村です。
8/27の日刊工業新聞で、平成31年度(2019年度)の当初予算概算要求についての記事がありました。当記事によると、当初予算としてものづくり補助金が100億円計上されているとのことです。来年のものづくり補助金は、従来とは異なる動きになるかもしれません。考察します。
日刊工業新聞記事「2019概算要求/経産省、中小対策22%増1352億円」
記事中、ものづくり補助金に関しては次のような記述があります。
これまで補正予算に計上していた「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(ものづくり補助金)」を当初予算でも100億円計上。補正予算から当初予算まで切れ目なく中小企業の設備投資を支援し、生産性向上を後押しする。
記事はこちらから確認できます。
従来のものづくり補助金は、補正予算で執行されていた
平成24年度から6年間にわたってものづくり補助金の公募が実施されていますが、それらは全て補正予算として執行されていました。補正予算とは、その年度において緊要性のある事柄に対して予算化を行う措置のことであり、もともとの予算(当初予算)に追加して定められるものです。
実は、今年の6月8日に行われた、ものづくり補助金に関する行政事業レビューで、ものづくり補助金を当初予算で取り扱わないのはなぜか?ということが議論されています。この行政事業レビューでは、上山委員が「毎年(補正予算で)出されているのだったら当初(予算)から入れらればいいのになというふうに素朴に思うのですけれども、何かしら理由があるのですかね。」という疑問を呈しています。
それに対して新居会計課長は「その時々の政策課題にそってメニュー化しているので補正予算で計上しているが、当初予算にするか補正予算にするか、全体を見据えながら、単年度予算の制度的な限界の中で効果的にやっていきたい」(筆者要約)と返答しています。
予算はたった100億円!?でもこれは「当初予算」の話です
次に気になるのは、来年度当初予算のものづくり補助金の予算計上額が100億円という点です。今年度は1,000億円が計上されたものづくり補助金ですが、たった100億円?予算が減るの?という声が聞こえてきそうです。
しかしここで議論されているのは、平成31年度当初予算についてです。日刊工業新聞の記事にも「補正予算から当初予算まで切れ目なく中小企業の設備投資を支援し、生産性向上を後押しする」とありますので、この100億円に加えて、平成30年度補正予算で幾ばくかの予算が計上されるのではないかと推察できます。
なぜ補正予算と当初予算に分けて計上するか?
ここからは僕の考察です。行政事業レビューで会計課長が話している通り、役所の予算は「予算単年度主義」が前提です。単年度主義とは、会計年度ごとに予算を編成し、当年度の支出 (歳出) は当年度の収入 (歳入) で賄うべきであるとする考え方です。しかし予算の円滑な執行の妨げになる場合もあり、支出の継続性・額の大きさに従って、次年度繰り越しなど若干の例外が認められています。(ブリタニカ国際大百科事典より)
ものづくり補助金の場合、その施策の性質上、当年度内に予算を消化しつくすことができません。そうすると繰り越しにならざるを得ないのですが、繰り越しは制度上制約が大きく、これが今回の二次公募のように、極端に短い事業実施期間となる背景になっているのではないかと思います。これを避ける方法は、基金制度にするか、当初予算にするかという手立てがありますが、基金化は現在ほとんど認められていないので、当初予算化するのでしょう。
まとめると、補正予算と当初予算を分けて計上するのは、事業実施期間を適切な期間確保するため、ではないかというのが僕の推察です。もう少し発想を飛躍させて大胆に推察すると、従来の1次公募を補正予算で、従来の2次公募を次年度の当初予算でやる、というイメージなのではないかと思います。
補正予算は秋の臨時国会で成立する可能性が
ところで、平成30年度補正予算は、秋の臨時国会で成立する可能性があります。
-
-
今秋の臨時国会で平成30年度補正予算成立?年内にもう一度「ものづくり補助金」公募はあるか?
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 どうやら今秋、臨時国会が開かれて、平成30年度補正予算案が提出をされるようです。毎年の補正予算では、各種補助金や税制優遇措置などが盛り ...
ここで審議される補正予算で、ものづくり補助金が予算計上されているとすれば、この秋から冬にかけて補正予算による公募が行われ、来年春に当初予算による公募が行われる、というスケジュールもありうるかもしれません(かなり憶測も入っていますが)。
しかし100億円程度では、採択企業数は知れている
当初予算で100億円を計上するとはいえ、採択企業数は知れていることでしょう。補助金交付額の平均が800万円程度だと過去の実績から推測されるので、そのまま単純に割り算をしても、1,250者程度しか配分されません。実際はこの100億円から事務局運営経費などが差し引かれますので(平成28年度の実績では40億円が事務局経費)、ものづくり補助金の当初予算での採択は狭き門となるのは必至でしょうね。
来年のものづくり補助金についてはまだまだ情報がでそろっていません
というわけで、少しずつ来年のものづくり補助金についての情報が見えてきましたが、まだまだ情報は出そろっていません。まずは秋の臨時国会における補正予算審議の動向を見守りたいと思います。