おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
全国中小企業団体中央会は9月12日、第70回中小企業団体全国大会を京都市内で開き、ものづくり補助金の基金化等の要求を決議しました。基金化とは一体何でしょうか?解説します。
第70回中小企業団体全国大会での決議について
全国大会での決議(概要)については、全国中央会のホームページに掲載されています。下記に引用します。(赤線部分は僕がひきました)
赤線部分に「ものづくり等補助金の基金化」とありますね。
これはあくまでも、全国中央会が行政に対し、中小企業政策の拡充を求めるための決議という位置づけです。これをもって即、ものづくり補助金の基金化がなされるわけではありませんが、ものづくり補助金の事務局として長年の現場経験を積み重ねた中央会の決議ですので、それなりの影響力があるのではないかと思っています。
基金化とは何か
基金化とは、年度にとらわれずに予算の仕様ができるようにする仕組み化のことです。ご存知のとおりものづくり補助金は、毎年の補正予算で組まれています。しかし予算の単年度主義という原則から、事業の実施期間が短くなりがちです。昨今では受注増や部品不足の影響で工作機械の納期が遅れぎみとなっており、補助金の円滑な交付に支障をきたしています。
このような現場の現状を鑑みて、全国中央会は、年度にとらわれない補助金交付を実現する基金化要望の決議を出したものと思われます。
しかし基金化は容易ではない
ところでこのものづくり補助金は、平成24年度~26年度にかけて基金化されていました。したがって事業実施期間も長めに設定をされていたのですが、平成27年に基金の点検が行政事業レビューに位置付けられたこともあり、それまで基金形態であった「ものづくり補助金」は、単年度の補助金事業となり、年度に縛られるようになりました。ものづくり補助金の基金化は前例があるとはいえ、理由があって基金化ではなくなったのですから、これを改めて基金化するというのは容易ではないように思われます。
実際、平成30年の行政事業レビューのなかで、新居会計課長は「そもそも国の予算制度は単年度主義ですので、今、基金というのはほとんど認められないですし、従ってこの中で当初、補正、全体を見据えながら、単年度予算の制度的な限界の中で効果的にやっていくということです」と述べています。
この発言に基づいてなのか、平成30年度からは当初予算にもものづくり補助金の予算が計上されるようになりましたので、やはり基金化にはならない方向ではないかという気がします。全国中央会の決議は、現場のニーズに即した、意義のある決議だと僕は評価します。しかし行政にこの要求が取り入れられるかどうかは、それほど簡単な問題ではなさそうですね。
決議は衆議院議員逢沢一郎氏に手渡されたもよう
ところでこの決議は、全国中小企業団体中央会の大村会長から、衆議院議員の逢沢一郎氏に手渡されたもようです。さて、基金化のゆくえはどうなるでしょうか。
#全国中小企業団体中央会 大村会長と会談。日本経済は中小企業によって支えられている。事業承継支援をさらに強化。ものづくり補助金の充実と基金化。一連の災害で被災した中小 零細事業者への生業の再建 スピード感を持って。消費税率10%への対策。反動減を小さく。中小企業に相応しい働き方改革を。 pic.twitter.com/UuBq29dEZA
— あいさわ一郎 (@ichiroaisawa) 2018年9月19日