おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
4月7日、政府は108兆円規模の緊急経済対策を閣議決定しました。そのうち、個人事業主・中小企業が活用できると思われる施策のうち、感染症拡大の収束に目途がつくまでの間の「緊急支援フェーズ」における施策をまとめました。
ご注意!
- 現時点では、これらの制度はまだ申し込みできません。具体的にはまだ何も決まっていません。この記事にある条件も変更になる可能性があります。詳細が明確になるのは、補正予算が成立する4月末から連休明けにかけてと思われます。
「持続化給付金」についてはYouTube動画でも解説しています!
持続化給付金についての解説動画です!こちらもご覧ください!(無料・登録不要です)
緊急経済対策の「5つの柱」
まずは
『新型コロナウイルス感染症緊急経済対策』の全体像を見てみようか。今回の緊急経済対策は(1)感染拡大の防止(2)雇用維持と事業継続(3)経済活動の回復(4)強靱な経済構造の構築(5)今後への備えの「5つの柱」からなっているようだね。
この中で個人事業主や中小企業と関連ありそうなものはどれなの?
基本的には全部関連はありそうだね。今日は、コロナ収束に目途がつくまでの「今すぐ助けてほしい!」に応えられる施策を中心に説明するよ。(下図の桃色の部分を中心に)
【柱その1】感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
マスク・アルコール消毒液等生産設備導入補助事業(経済産業省)
国内でマスク・消毒液等を製造する企業に対して生産設備への投資を支援するようだね。
だいじょうぶだね。
経済産業省の資料にも中小企業のことが言及されていますからね。これはおそらく、今年3月に公募のあった
「マスク生産設備導入支援事業費補助金」を継続するものだろうね。この時の公募では中小企業も採択されていたしね(例えば株式会社metecoは資本金1,000万円)。
マスクにやアルコール消毒液等の生産に関連する設備を導入する場合、中小企業は最大4分の3の補助。補助額上限は3,000万円/製造ラインのようだね。
アビガン・人工呼吸器生産のための設備整備事業(経済産業省)
アビガンと人工呼吸器生産のための設備投資に対する施策もあるようだね。これも補助金だね。
中小規模の人工呼吸器メーカーもあるし、最近では経済産業省が、自動車メーカーに人工呼吸器や医薬品などの生産協力を要請したというニュースもあるからね。自動車メーカーの下請けの中小企業が、これらの部品を生産するというのは有り得る話だと思うよ。
【柱その2】雇用の維持と事業の継続
この柱が個人事業主・中小企業向け施策の中心かな。主だった施策を見てみましょう。
雇用調整助成金の特例措置の更なる拡大(厚生労働省)
『雇用調整助成金』ってよく聞くけど、一言でいうとどんな制度?
経済上の理由で事業活動の制限を余儀なくされた事業者に対し、雇用を維持してもらう目的で、国が休業手当などの一部を助成する制度だよ。
今回の拡大では、休業手当などのうち中小企業は4/5が助成されるよ。一人も解雇をしていない場合は、中小企業で9/10が助成されるようだね。
でも注意しないといけないのは、助成される金額には上限があり、対象の従業員一人あたり8330円までなので注意してね。
申請の現場が大変混雑しているみたいだね。また、書類が多く複雑です。詳しくは都道府県の労働局か、ハローワークに相談してみてくださいね。
新型コロナウイルス感染拡大により困難を抱える外国人材の受入れ支援体制強化(法務省)
法務省の資料(4/19時点リンク切れ)を見ると『外国人材等の相談受付窓口設置や支援,外国人受入環境整備交付金の増額等により,外国人材の雇用等を下支えする。 』とあるね。
新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等された技能実習生及び特定技能外国人と、新たな受入企業をマッチングしてくれるみたいだね。外国人材の雇用をしたいなら、コールセンターに問い合わせてみることができるようだよ。
日本政策金融公庫等による特別貸付及び危機対応業務による資金繰り支援の継続(財務省等)
これは「継続」と書いているくらいだから、いま政策金融公庫がやっている『新型コロナウイルス感染症特別貸付等』を今後も継続しますということだろうね。
『新型コロナウイルス感染症特別貸付等』を一言で説明して!
一言じゃ難しいよ?下記の表を参考にして、政策金融公庫に問い合わせをしてね(下記は国民生活事業の例です)。
小規模事業者経営改善資金(マル経融資)の実質無利子化(経済産業省)
『小規模事業者経営改善資金(マル経融資)』ってなんなの?
商工会議所や商工会の経営指導を受けている企業向けの融資制度なんだよ。これもコロナの影響がある企業に対しては(一定の条件あり)利子率を下げたり、限度額の別枠化をしたりする、って話だね。
民間金融機関でも実質無利子・無担保の融資を受けることができる制度の創設(経済産業省、金融庁)
セーフティネット保証4号、5号、危機関連保証の認定を受けた事業者が対象のようだね。(詳しい条件は金融機関に確認をしてくださいね)
小規模企業共済の契約者に対する、掛金納付額の範囲内で無利子融資の実施(経済産業省)
これは地味だけど、該当者にはすごくいい施策だと思うよ。
小規模企業共済という、いわば経営者のための退職金制度のようなものがあるんだよ。毎年最大で840,000円まで掛金をかけられるんだ。その掛金を支払っている人が対象で、支払った掛金の範囲内で無利子融資をうけられるという制度だね。
その他、中小企業の融資に関するいくつかの施策
上記以外にも、融資については、業種別などの対応策もいくつかあるようです。また、すでに借り入れている債務に対し、元本・金利を含めた返済猶予などの条件変更(いわゆるリスケ)もやりやすくなるかもしれません。詳しくは金融機関に問い合わせてみてね。
その他融資対策
- 日本政策金融公庫等や保証付き民間融資の既往債務の借換(財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、内閣府)
- 保証料減免を含む信用保証の強化・拡充(経済産業省)
- 医療・福祉事業者への資金繰り支援の拡充(厚生労働省、内閣府)
- 農林漁業者向け融資の実質無利子・無担保化等の資金繰り支援の拡充(農林水産省、内閣府)
- 中堅外食事業者資金融通円滑化対策(農林水産省)
- 中小食品流通事業者の信用力強化(債務保証事業)(農林水産省)
- 民間金融機関への要請に際し、事業者の貸出し後の返済能力の変化を適時適切に捉えた対応の徹底(金融庁、農林水産省)
中小・小規模事業者等に対する新たな給付金(持続化給付金(仮称))(経済産業省)
これも今回の緊急経済対策の目玉施策だね。中小企業(法人)には上限200万円、個人事業主には上限100万円の給付金を出すという施策だね。
ただしいろいろな条件があるので、詳しくは下記を参考にしてね。
-
-
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 【5/3更新】5月1日、『持続化給付金』の申請受付が開始されました。この記事では「当社は給付金の対象になるだろうか」「どんな手続きだろ ...
続きを見る
中小企業生産性革命推進事業の特別枠創設(経済産業省)
まあそうかな。これまで毎年、お決まりのように公募されていた補助金制度(ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金)があるんだけど、それに特別枠が設けられるということのようだね。
補助率のアップや、補助額のアップなどがあるよ。あとは多少の条件の緩和があるかな。
そうだね。ただこの補助金にはいろいろと注意点があるよ。いまこの時点で資金繰りに困っている企業は使いづらいと思うので、注意をしてね。
-
-
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 4月7日に「緊急経済対策」が発表となりました。この中に、中⼩企業⽣産性⾰命推進事業(ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金)の ...
続きを見る
「ものづくり補助金」の特別枠については
公募要領が4/10に公開されたので参考にしてね。
経営環境悪化のしわ寄せ防止に向けた取引適正化等を促進する体制整備(経済産業省、内閣府)
推測だけど、下請法の徹底強化のことかな。個人事業主や中小企業に対して仕事を発注する大企業が、一方的に契約を破棄したり、払いしぶりをしないように、相談窓口(
下請けかけこみ寺)を増員するみたいだね。
リーマンショック時や東日本大震災時もそうだったけど、下請けいじめのようなことは、これから確実に増えていくと思うよ。泣き寝入りせずに、「
下請けかけこみ寺」に相談をしてね。
収入が減少した事業者の社会保険料の納付猶予(厚生労働省)
そうそう。税金も同じなんだけど、納付を遅らせるという制度があるんだ。
報道によると、企業経営が厳しくなり、一時的に厚生年金保険料などを納められない場合は、1年間の猶予があるようだね。で、特例制度が成立すれば猶予期間中に生じる延滞金や担保の差し入れも不要になる見込みだそうです。
賃貸用ビルの所有者等に対する、飲食店等のテナント賃料の支払い猶予など柔軟な措置の検討要請の周知(国土交通省)
これはすでに
国交省からそういう要請が出てるね。この施策も「検討要請の周知」だから、家賃を国が補助するとかではなく、あくまでもお願いベースのようだね。だからこれについては過度な期待は控えたほうがよさそうだね。
その他、中小企業の事業継続に関するいくつかの施策
上記以外にも、事業継続に関する施策がいくつかあります。詳しくは該当する省庁に問い合わせてみてね。
その他事業継続に関する施策
- 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業(経済産業省)
- 国内外の中堅・中小企業等へのハンズオン支援(経済産業省)
- 経営資源引継ぎ・事業再編支援事業(経済産業省)
- 旅客自動車運送事業者の事業継続に資する道路運送法等の柔軟な運用(国土交通省)
生活に困っている世帯に対する新たな給付金(生活支援臨時給付金(仮称))(総務省)
これはいわゆる「一世帯あたり30万円もらえる給付金」ってやつだね。収入が大幅に減った個人事業主、フリーランスは給付の対象になると思うよ。
待って!これは受給要件がめちゃめちゃ難解なうえ、ハードルが高いんだ。個人事業主、フリーランスならば、今年に課税所得(売上から必要経費を除いたもの)が年間で35万円以下に減少していないとダメなんだよ。※単身世帯の場合です。
行政から今後出される情報を待って、自分が該当するかどうかをちゃんと確認する必要がありそうだね。
-
-
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 【4/14新】4月7日、経済対策の目玉のひとつとして、低所得世帯へ1世帯当たり30万円を給付する「生活支援臨時給付金」が創設されました ...
続きを見る
納税の猶予制度の特例(財務省、総務省、厚生労働省)
これも社会保険と同じなんだけど、売上が急減した場合などに限って(
報道では昨年と比べて2割以上減という話も)、税金にも納付を遅らせるという制度があるんだ。
報道によると、1年間の猶予だね。特例制度が成立すれば無担保かつ延滞金なしで猶予できるみたい。猶予を受けるには管轄の税務署で申請手続きをしてね。
中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置(経済産業省)
これも税金に関する施策なんだ。これも支払いの猶予?
いや、これは「税金払わなくていいよ」という施策だね。
報道によると、売上高が前年に比べて50%以上減少した中小企業は免除、減少幅が30~50%未満の場合は半分に軽減する、とあるね。
生産性革命の実現に向けた固定資産税の特例措置の拡充・延長(経済産業省)
これも固定資産税のこと?さっきのやつとは何が違うの?
これは「先端設備等導入計画」という制度のことだね。これから買おうと思っている先端設備(一定の条件を満たすもの)の固定資産税を3年間減額する制度を延長するという話だね。さっきの話(中小企業等が所有する償却資産……)は、すでに持っている資産の固定資産税の減免の話かな。
この「先端設備等導入計画」という制度は2年前からある制度で、その減免対象が来年3月31日までに購入した設備までだったんだよ。それを延長するって話だね。
まあ、コロナ終息後のことも見据えてということなんだろうね。
テレワーク等のための中小企業の設備投資税制(経済産業省、総務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省)
いま流行りのテレワークをするときも税金が安くなるんだ!
うーん、まあそうだろうけど、これは昨年12月に出た「税制改正大綱」でも触れられてたね。中小企業強化税制のことだろうし、作業場等に設置されるテレワーク用PC等も対象のようだけど。
もともとの既定路線をここに再掲しているだけの気がしなくもないけど、もしかしたら何かしらの拡充がされているかもしれません。
その他、中小企業の税制に関するいくつかの施策
上記以外にも、税制に関する施策がいくつかあります。詳しくは該当する省庁に問い合わせてみてね。
その他事業継続に関する施策
- 欠損金の繰戻しによる還付の特例(財務省)※資本金1億円超10億円以下の企業が対象
- 文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対する払戻請求権を放棄した観客等への寄附金控除の適用(文部科学省)
- 自動車税・軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長(経済産業省)
- 耐震改修した住宅に係る不動産取得税の特例措置の適用要件の弾力化(国土交通省)
- 消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例(財務省)
- 特別貸付に係る契約書の印紙税の非課税(財務省)
各施策の詳細な情報はどうやって入手したらよい?
ややこしいよね?しかもこれらの施策についての具体的な条件や手続き方法などは、これから徐々に明らかになってくると思うよ。
あるかもね。緊急事態宣言が4月7日に発せられて状況が刻一刻と変わってきているからね。最新の情報は必ず各省庁のホームページで確認してね。