おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ものづくり補助金「その3:事業計画における付加価値額等の算出根拠」の具体的な作成方法紹介の4回めです。今回は減価償却費の算出方法について解説します。
「減価償却費」ものづくり補助金ではとても大切
前回は「人件費」の話をしたけど、ものづくり補助金では「減価償却費」もとても大切なんだよ。
どうしてなの?
前回も説明したとおり、ものづくり補助金の申請に必須の要件が「付加価値額が年率3%以上向上」なんだけど、減価償却費も付加価値額を算出するための数値なんだよ。
そうなんだ。ところで減価償却費って何?
機械装置や器具備品など、ある程度の値段以上のものを買った時、購入金額を一度に経費扱いにするのではなく、使用できる期間で分割して経費に計上する会計手続きかな。
そんな面倒くさいことするの?
パソコンなどをイメージしてもらうとわかりやすいけど、機械装置なんかは複数年使うことが前提だし、時間の経過とともに価値も薄れていくからね。こうした会計手続きをすることがお約束なんだよ。
2つの減価償却費の計算方法~定率法と定額法~
じゃあ、どうやって使用できる期間で分割して経費にするの?
具体的な方法とには、定率法と定額法という方法があるんだ。分割するための計算方法の違いといったらいいかな。
どっちの計算方法でもいいの?
減価償却資産の区分によって、どっちの計算方法なのかがだいたい決まってるんだ。まあものづくり補助金で購入するような機械装置だとだいたい定率法じゃないかな。ソフトウエアなんかは定額法だけど。詳しくは税理士さんに訊いたらわかるよ。
えー💦どうやって計算するのか教えてよ!?
僕がいつも使ってるのが下記のサイトだよ。取得価額、耐用年数、初年度使用月数を入力したら自動で減価償却費を計算してくれるんだ。取得価額は見積書を、耐用年数は耐用年数表を見る感じかな。似たような設備を過去に導入したことがあるなら、固定資産台帳を見てアタリをつけるという方法もあるかな。
減価償却費も販管費と製造経費に分かれて計上されている場合があるので注意
ところで「その3」のシミュレーションをする上では、直近期末の数字を調べる必要があるんだけど、その調べ方を教えようか。
よろしく!
人件費もそうだったけど、減価償却費も販管費と製造経費にわけて計上されている場合があるので、その両方を調べるのがまずやることだね。
販管費の減価償却費は事務用の機械装置の費用で、製造経費の減価償却費は製造現場の機械装置の費用ってこと?
そうだね。ものづくり補助金における減価償却費は重要な費目なので、かならず両方を調べてね。企業によっては製造経費がない場合もあるので、そのときは販管費分だけで計算してね。(例えば小売業や商社、コンサルティング業などでは労務費がふつう計上しません)
表を作って5年後までシミュレーションをする
さて、上記のように調べて基準年度(直近期末)の減価償却費がわかれば、次のような表を作って5年後までのシミュレーションをしよう。
うーん……数字がたくさん……。どこからやればいいの?
まずはこの補助金をもらって投資をする機械装置の減価償却費シミュレーションかな。取得価額、耐用年数、初年度使用月数をしらべ、さっきのサイトで計算したものをここに入力することだね。
複数の機械装置を取得する場合はどうするの?取得価額や償却期間が違ってくると思うけど。
もちろんちゃんと計算したほうがいいね。ただしあまりにも多い場合は、価額の大きなものなどを標準にして計算にするという手抜きの方法でもいいと思うよ。あくまでもシミュレーションだし。
直近期末(基準年度)時点で既に償却中の資産の減価償却費はどうすればいいの?
これももう減価償却費がわかっているものだから、ちゃんと計算したほうがいいのが大前提かな。でも設備がたくさんあると大変なので、毎年の平均的な減価償却費などを代用してもいいんじゃないかな。税理士さんにも確認してみてね。
上の表には「2年後投資」「4年後投資」ってあるけど、これは何?
一度だけ投資をして、その後5年間まったく減価償却資産を取得しないということはあんまりないと思うんだ。現行設備の更新なんかもあるはずだしね。だから将来、このタイミングで、この程度の投資をするかな?というものも計上したほうが正確さが増すよね。
2年後や4年後はあくまでも例?うちの会社はだいたい毎年設備投資してるんだけど。
その場合は毎年設備投資をするという前提でシミュレーションしたほうがいいよ。上記の表はあくまでも例なので、自分の会社の実態に即してシミュレーションをしてね。
うーん、この作業は結構たいへんですね💦毎年税理士さんに相談して、将来にわたってのこういう予測数値をちゃんと立てていたほうがいいのかなあ?
それがいいと思うよ。補助金の申請が楽になるだけではなく、ある程度の計画があれば、現状との比較が容易になったり、経営判断をする場合の材料になるからね。事業計画書はダテに作るもんじゃないしね。