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ものづくり補助金公募要領1.0版(8/7公開) グローバル展開型の条件を読む(その1)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

8月7日に、ものづくり補助金公募要領(一般型・グローバル展開型)1.0版が公開されました。はじめてグローバル展開型の全貌が明らかになりましたので、その条件を読み解きます。

グローバル展開型の概要

まずはざっとグローバル展開型の概要を説明します。最初は補助上限額、補助率等の基本情報ですね。

一般型との主な違いは下記のとおりですね。

一般型との主な違い

  • 特別枠(および事業再開枠)の適用はない
  • ①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業、のいずれかに合致する必要がある
  • 補助金交付額は1,000万円~3,000万円
  • 海外旅費が対象に
  • 海外子会社が主たる補助事業実施主体となることも可。この場合、 本事業で購入した機械装置等について貸与の契約を締結した上で、海外子会社に貸与することも可能
  • 事業実施機期間は交付決定日から12ヶ月以内(ただし、採択発表日から14ヶ月後の日まで)
  • 審査項目も、一般型で要求されていることに加えて求められる項目がある(技術面①、事業化面①、事業化面②、政策面①)
  • 海外事業の準備状況を示す書類を添付する必要あり(ファイル名「海外展開準備書類(事業者名)」)
ところで、グローバル展開型に関しては近日中に「よくあるご質問」を更新するそうです。その内容もあわせて読むと理解が深まると思いますが、この記事の執筆時点では「よくある質問」が未公開なので、本記事の内容は当社の解釈を含めたあやふやなものであることをご承知おきください。

「グローバル展開型は特に優れた内容を求めます」という注意書き

心して読みたいのが、1ページ目の注意事項に「グローバル展開型は特に優れた内容を求めます」と書いているところなんですよね。

ちょちょいと書いた"作文"は絶対に認めないぞという強い意思を感じますね……。
ここから想定できるのは、採択予定数がかなり限られているのではないかということですかね。
ビジネスモデル構築型も、最初の公募での採択率は5%くらいだったしね。
そうだね。この先も解説するなかで明らかになると思いますけど、「海外子会社もコロナで困ってますから補助金ください」的なライトな内容だとまず評価されないと思っていいだろうね。海外展開する企業の中でもかなり特徴を有する企業でないと難しいかもしれませんね。

グローバル展開型で求められる4つの類型

グローバル展開型については、以下のいずれか一つの類型の各条件を満たすことが求められています。
電子申請画面で、下記の4つのうちのどれかを選択させるっぽいね。

グローバル展開型の4累計

  • ①類型:海外直接投資
  • ②類型:海外市場開拓
  • ③類型:インバウンド市場開拓
  • ④類型:海外事業者との共同事業
この4類型の理解がグローバル展開型のキモなんですが、この類型の条件が複雑すぎてため息が出るレベルです。とても今回だけでは説明しつくせないので、後日一つずつ解説をしていきたいと思います。

補助金交付額下限は1,000万円であることに注意

一般型との大きな違いの一つが、補助金交付額の下限が1,000万円という点ですね。
グローバル展開型は特別枠がないし、補助率が原則1/2(小規模事業者は2/3)なので、2,000万円以上(小規模事業者では1,500万円以上)の補助対象額を計上する必要があるわけですね。
そうだね。結構な額だと思うよ。一般型は100万円が補助金交付下限額だもんね。
コロナ禍のためn海外との行き来も困難で、各国経済の先行きも不透明なこのタイミングで、2,000万円以上(小規模事業者では1,500万円以上)の投資を決めるって、攻めの姿勢としては評価できるかもしれないけど、決して容易なことではないですよね。

海外旅費を経費として申請ができる

グローバル展開型のみに活用できる補助対象経費として「海外旅費」が申請できるようになったね。

「海外渡航の計画をあらかじめ申請いただくことが必要です」って書いてるね。これってどういう名目の出張だと使えるのかな?
それがあまりピンとこないんだよね。④類型(海外事業者との共同事業)で、相手方企業との打ち合わせに関する旅費とか、あとは②類型:海外市場開拓で、販売先の海外顧客へ営業へ行く、みたいなケースもあるのかな。
海外新工場を設立する際の調査名目とか?
事業実施期間が採択後14ヶ月だし、そんな短期間で新工場設立して新製品・新生産プロセスの開発が完了するとも思えないな。それにもともとものづくり補助金では、応募申請時点で補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有していることが条件で、応募申請時点で建設中の場合や土地(場所)のみを確保して建設予定である場合は対象外だからね。
8月12日時点で、日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置をとっている国・地域(119か国/地域)、日本からの渡航者や日本人に対して入国後に行動制限措置をとっている国・地域(93か国/地域)あるんだよね(外務省ホームページより)。行動制限措置としてPCR検査や入国後に自己負担で14日間の自己隔離を要求している国も多いんだけど(例えばタイ国)、自己隔離のための宿泊費も補助金で負担してもらえるのかなあ?
別紙1の「旅費支給に関する基準」には書いていないね。コールセンターに問い合わせすべき案件だろうね。

海外事業の準備状況を示す書類を添付する必要

どの類型にも共通する要求事項としては、電子申請時に「海外事業の準備状況を示す書類」を添付する必要があります。これも②類型~④類型は結構ハードル高そうだよね。

海外事業の準備状況を示す書類

  • ①類型(海外直接投資):海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料
  • ②類型(海外市場開拓):具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書※
  • ③類型(インバウンド市場開拓):具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書※
  • ④類型(海外事業者との共同事業):共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)
    (申請類型以外の類型に関する資料は任意で追加添付を可とし審査の対象とする)
    ※ ①の事業内容とは別に、Word等で作成の上、PDF形式に変換した電子ファイルを電子申請システムの所定の場所に添付してください(様式自由、ページ数の制限なし)
②類型と③類型は、様式自由の報告書を添付する必要がありますね。
どの程度の市場調査報告書である必要があるのか想像もつかないけど、「審査の対象とする」と書いているくらいなので、まあ1~2枚ではダメなんだろうね。海外市場調査の代行会社が作るレベルの報告書じゃなきゃダメということはないだろうけど、それと遜色ないくらいの調査範囲やボリュームは求められるだろうね。
④類型の海外事業者との契約書の写しというのもなかなかハードル高いね。
そうだね。秘密保持の関係で契約書自体を第三者に開示困難なケースもあるんじゃないかな。相手方の海外企業に説明し、承認を得る必要もあるだろうしね。
「検討中の案も含む」と書いているけれども、検討中の案といえども開示には相手方の承認をもらうべきだろうね。
仮に相手方の海外企業から「案の開示をしてもいいよ」と言われたとしても、日本的な契約書を自動翻訳したレベルでは付け焼き刃だと審査で判断されかねませんね。一般的には海外事業者との契約書は英文だし、英文契約書のお約束事もたくさんあるので、ちゃんとした翻訳をした上で、企業間の国際契約に熟知した弁護士のリーガルチェックもあったほうがいいだろうね。
企業間の国際契約を締結する上で必要なことはすべてやっておくべきですね。
  • B!

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